【第六十一話】よろず屋『カケル』と、1000年の青空(エピローグ3)
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季節は巡り、春。 京の都・朱雀大路の一等地に、新しい看板が掲げられた。
『平安コンサルティング・よろず屋カケル』 『業務内容:鬼退治、システム開発、恋愛相談、害獣駆除、その他なんでも』
「よし。いい看板だ」
僕は腕組みをして頷いた。 清明の屋敷の居候を卒業し、僕は自分の店を持ったのだ。 もちろん、スタッフは最強の四天王たちだ。
「おい店長! 腹減った! 昼飯まだか!」 「金時、お前は配達に行ってこい! 運動しないと飯抜きだ!」
「店長……。お客さんから『生きるのが辛い』という相談が来てます……。私、意気投合して文通始めました……」 「貞光さん、それはそれで解決になってるからOK!」
「カケル殿! 新製品『全自動餅つき機Mk-III』が完成しました! 動力は爆薬です!」 「季武さん、それ兵器だから! 封印して!」
「カケル殿……♡ 今日の業務日報です。カケル殿と目が合った回数、34回……♡」 「綱さん、仕事して! 怖いよ!」
騒がしい日常。 ブラック企業で死んだ魚のような目をしていた僕は、もういない。 ここでは毎日がトラブル続きだが、最高に充実している。
「カケル。昼餉だぞ」
奥から、割烹着姿の源頼光が出てきた。 彼女の手には、少し形はいびつだが、焦げていない普通のおにぎりがある。
「どうだ。……毒見は済ませてある」 「言い方! ……うん、美味しいです」
僕が一口食べると、頼光は花が咲いたように笑った。 この笑顔を見るためなら、どんな残業も苦じゃない。
カランコロン。 店の入り口に、安倍晴明が立っていた。 彼の手には、修理された僕のスマホがある。
「カケル君。ついに直ったよ。……電源を入れれば、未来と繋がるかもしれない」
店内が静まり返る。 みんなが僕を見る。 未来へ帰る手段。それが復活したのだ。
僕はスマホを受け取り、画面を見つめた。 そして。
「……清明さん。これ、預かっててもらえますか?」
「おや。いいのかい?」
「ええ。今は必要ないですから」
僕はみんなの方を向いた。 不安そうな顔をしていた頼光が、パァっと明るくなる。
「だって、僕の『スケジュール』は、向こう1000年先まで埋まってますからね!」
「カケル!!」
頼光が飛びついてくる。 金時が、綱が、貞光が、季武が、みんなが笑顔で駆け寄ってくる。 もみくちゃにされる僕。
窓の外には、どこまでも青い、平安の空が広がっていた。 筋肉ゼロの社畜SEは、今日もこの空の下で、愛すべき仲間たちと生きていく。
「さあ、午後の業務開始だ! 行くぞみんな!」
「「「「応ッ!!!!」」」」
筋肉ゼロの社畜SEですが、平安京で鬼退治することになりました(式神美少女付き)(完)




