表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/61

【第五十八話】大宴会と、終わらない契約

シリーズ1部はこれで完結。残り3話はエピローグになります。読んでくれた皆さまありがとうございます。残りの3話もお楽しみください。

その夜。 源頼光の屋敷では、前代未聞の大宴会が開かれていた。 人間も、式神も、そして戦いに協力した妖怪たち(玉藻前の一行)も入り乱れての無礼講だ。


「カンパーイ!」


「うめぇ! やっぱ平和な飯は最高だぜぇ!」 金時が猪の丸焼きにかぶりつく。 「カケル殿、あーん♡」 綱が膝に乗りかかってくる。彼女は暴走時の記憶がないふりをしているが、積極性が三倍増しになっている。 「……今日の占いは『大吉』でした。逆に怖いです。明日死ぬんでしょうか」 貞光も、なんだかんだ言いつつ酒を飲んでいる。


「カケル様。お疲れ様でした」 玉藻前が、僕の隣で優雅に盃を傾ける。 「道満も退屈な男でしたわね。永遠の命より、こうして刹那を楽しむ方が、よほど贅沢ですのに」 彼女の尻尾が、僕の背中をくすぐる。


「こら玉藻! 私の席だぞ!」 頼光が割り込んでくる。 彼女の手には、紫色に発光するおにぎり(特製)が握られている。


「カケル、食え。精がつくぞ」 「いや、命が尽きますって!」


「ふふふ。……平和だね」


安倍晴明が、少し離れた場所からその光景を眺めていた。 彼の手には、修復された僕のスマホがあった。 画面はまだつかないが、彼はそれを興味深そうに弄んでいる。


「カケル君。この板は私が預かっておこう。いつかまた、君が未来へ帰りたくなった時のために、修理を試みてみるよ」


「……ありがとうございます。でも、急がなくていいです」


僕は宴会の中心を見た。 騒がしくて、乱暴で、暖かくて、愛おしい仲間たち。 現代の快適なアパートも、高速なWi-Fiもないけれど。 ここには、僕を必要としてくれる「居場所」がある。


「当分は、ここで残業することにしますから」


僕は清明に頭を下げ、頼光たちの元へ走った。 「おーいカケル! 早くしないと金時に全部食われるぞ!」 「今行きます!」


こうして、平安京を揺るがした「末法・システムダウン事件」は幕を閉じた。 筋肉ゼロの社畜SE・カケルの戦いは、これで終わりではない。 明日からはまた、金時の食費を稼ぎ、綱の暴走を止め、貞光を励まし、頼光の殺人料理を回避する、壮絶な日常が待っている。


けれど、今の僕には怖くない。 どんなバグも、どんなトラブルも、この最強のメンバー(と僕のSE魂)があれば、きっと乗り越えられるはずだから。


空には満月。 今度はバグることなく、優しく僕たちを照らしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ