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【第五十話】末法(EOS)の到来と、赤く染まるエラーコード

明けましておめでとうございます。カケルたちの戦いもいよいよクライマックスフェーズへと向かいます。

その異変は、唐突に訪れた。


秋が深まり、冬の足音が聞こえ始めたある日の暮れ方。 京の都の空が、あり得ない色に染まった。 夕焼けの赤ではない。 血のような、毒々しい赤黒い色が、空全体を覆い尽くしたのだ。 そして、空の裂け目から、無数の「文字」が雪のように降り注ぎ始めた。


『404 Not Found』 『System Error』 『End of Service』


「なんだ……あれは」


清明の屋敷の庭で、僕は空を見上げて絶句した。 降り注ぐ文字に触れた木々が、枯れ落ちるのではなく、砂のような「ノイズ」になって崩れ去っていく。


「カケル! これはどういうことだ!」


源頼光が駆けつけてくる。 彼女の手には刀が握られているが、斬るべき敵が見当たらないことに困惑していた。


「都の様子がおかしい! 人々が……倒れていくぞ!」


僕たちは屋敷の外へ飛び出した。 大路には、数え切れないほどの人々が倒れ伏していた。 死んでいるのではない。 皆、虚ろな目で空を見上げ、ブツブツと呟いているのだ。


「……もう終わりだ」 「……救いなんてない」 「……仏様も死んだ」


絶望。 圧倒的な無気力。 それは、かつて貞光が発していたネガティブ・オーラを、都市規模に拡大したような現象だった。


「これは『末法まっぽう』ですわ……」


渡辺綱が、震える声で言った。 彼女は古文書の知識を持っている。


「お釈迦様の入滅から二千年。仏の力が消え失せ、世が混沌に沈む『終わりの時』。……予言されていた年が、今日なのですか?」


「末法……」


僕はスマホを取り出した。 画面は真っ赤に点滅し、緊急警報が鳴り響いている。


『警告:メインサーバーへの接続が切れました』 『警告:世界維持システム(ワールド・カーネル)の強制シャットダウンを開始します』 『残り時間:72時間』


僕は理解した。 末法思想。それは宗教的な概念じゃない。 この世界(シミュレーション?)における**「サービス終了(EOS)」の告知**だ。 管理権限を奪取した蘆屋道満が、この平安京という世界の「サーバー電源」を落とそうとしているのだ。


「ふざけるな……。ここで生きている人間を、ただのデータとして消去する気か!」


僕は拳を握りしめた。 空からはノイズの雨。 地面からは黒いバグが湧き出し、建物が次々とデータ落ちして消えていく。


「カケル。敵はどこだ」


頼光が僕の肩を掴んだ。 彼女の目に迷いはない。世界が終わると言われても、彼女の闘志は揺らいでいなかった。


「敵は……空です。この世界を管理している『システムそのもの』です」


「空か。……ならば、空ごと斬ればよいのだな?」


単純明快。 だが、その力強さに僕は救われた。


「行きましょう。世界の『終了ボタン』を押される前に、運営(黒幕)を殴りに行きます!」

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