表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/61

【第四十七話】未来からのメールと、粘着質な護衛

蘆屋道満との激闘から数日。 京の都は平穏を取り戻したかに見えたが、清明の屋敷では深刻な解析作業が行われていた。


「……ふむ。これは厄介ですね」


安倍晴明が、扇子でポンと手のひらを叩く。 彼の目の前には、道満が落としていった(頼光が真っ二つにした)タブレット端末の残骸が置かれている。 画面は割れているが、内部の基盤はまだ微かに発熱していた。


「カケル君。君の言う『くらうど』とは、天界にある書庫のようなものかい?」


「概念的には近いです。データ(情報)を端末の中ではなく、ネットワーク上の巨大なサーバーに保存する仕組みです。道満は、この時代のデータを未来へ送信したと言っていました」


僕は寒気を感じていた。 もし道満が、平安京の妖怪や呪術のデータを未来へ送り、それを現代の技術で「養殖」あるいは「強化」しているとしたら? そして、その強化されたデータを再びこの時代にダウンロードしようとしているとしたら? それはもう、歴史改変どころの話ではない。


ブブブッ。 僕のスマホが震えた。 またしても、電波のないはずの端末に通知が届く。 だが、今回はシステム警告ではない。 『新着メール:1件』 差出人は『不明』。 件名は『1000年後の君へ』。


「……え?」


震える指でメールを開く。 本文には、たった一行だけ記されていた。


『バグの修正を急げ。さもなくば、君の世界(現代)が消滅する』


添付ファイルとして、一枚の写真。 それは、荒廃し、ビル群が植物と機械に侵食された、東京の風景だった。 そして、その廃墟の中心に、巨大な「九尾の狐」の影が映っていた。


「これは……」


「カケル! 無事か!」


バン! と襖が開け放たれ、源頼光が飛び込んできた。 彼女は完全武装だ。屋敷の中だというのに。


「頼光さん? どうしたんですか」


「道満の残党が襲ってくるかもしれん。今日から私は片時もそなたの側を離れんぞ! トイレも風呂も一緒だ!」


「それは困ります! プライバシーの侵害です!」


「問答無用! 夫婦(予定)に秘密などない!」


頼光は僕の腕を抱え込み、胸に押し付けた。 温かい。柔らかい。でも、力が強すぎて腕が鬱血しそうだ。 シリアスなメールの内容と、物理的に密着してくる美少女。 僕の脳内CPUは処理落ち寸前だった。


「あらあら。頼光様ったら、独占欲が強すぎて引かれていますわよ?」


窓の外から、玉藻前が顔を覗かせていた。 彼女の目は笑っているが、その奥には、添付写真にあった「影」と同じ、底知れない何かが潜んでいるように見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ