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異世界召喚!!

文才能力0の初作品です

よろしくお願いします


プロローグ


「俺は、必ずここでお前を止める――ルゼラフィード!」

稲妻が地を裂き、轟音が大地を震わせた。

雷をまとった剣を掲げ、青年は宙に浮かぶ男を睨みつける。

幾重もの翼をはためかせたその男は、中性的な顔立ちで、ただ無表情に青年を見下ろしていた。


「シュウ! 私も……まだ……戦える……から!」

観客席から、一人の少女が剣を支えに立ち上がり叫ぶ。

しかしすぐに支えきれず、倒れそうになる――が、気づけば一人の女性に抱きとめられていた。


「大人しくしてなさいな。先の戦いでもう戦える状態じゃないでしょう? それに私たちが加勢したところで、邪魔になるだけよ」

妖艶なオーラを纏う、長い耳が特徴の女性は、あきれ気味に言う。


「そんなこと分かってる……けど……!」

それでも助けに行きたい衝動が抑えられない少女。

何とか助けになれないかと、自称IQ5000の頭を必死に回転させる。


相棒の精霊は眠りについて動けないし、自身のマナも空っぽ。

情けなさに、ホノカは拳を握りしめた。

爪が掌に食い込んでも、それすら感じないほどに。


そんな心中を察したのか、隣にいた女性――フローラが言う。


「大丈夫よ。ここにいる六人みんな、同じ気持ちだから。でも、シュウが言ったでしょ。“これは勝利するための敗北だ”ってね。だからホノカも、シュウの最後の戦いをちゃんと見届けてあげて」


ホノカは女性の顔を見て我に返る。彼女――フローラが涙を流すところなんて、見たことがないからだ。

他の五人も視線はシュウとルゼラフィードに釘付けだった。

それもそのはず。光の狂戦士と恐れられたホノカでさえ、捕らえるのがやっとの戦いなのだから。


皆の視線が、ただ一人――シュウへと向けられていた。

轟いていた雷が、一瞬、静まる。

その静寂の中で、ホノカは小さく呟いた。


「ごめんね、シュウ。でも、必ず未来きぼうにつないでみせるから――」



私はいつも通り目を覚まし、起きようとすると、ある異変に気付く。

「あれっ? 涙?」


紫紺の瞳から、涙が頬を伝っていた。

とっさに手で拭い取り、ふとさっき見た夢を思い出す。思い出すだけで鳥肌が止まらない悪夢だった。


「ほんっと最悪な夢ね」

よいしょとベッドから降り、学校へ行く準備を始める。


「行ってきます」

藍璃は玄関を出て、いつもの待ち合わせ場所へ歩いていく。


「今日に限って嫌な天気ね」

空を見上げれば、曇天が広がり、今にも雨が降りそうな空模様。

思わず夢のことを思い出してしまう。

そう、確かあの日も、こんな薄暗い曇天の日だった――。


「おはよ! あいりん!」

その時、不意に声を掛けられ、思わず驚いてしまう。


「うわーっ!? って、ユミか。脅かさないでよね」

「あいりん、何かあったの?」


ユミの察しに、少し慌てる藍璃。

「べ、別に何もないけど」

本当は何もなくはないが、これは誰かに話すのは気が引ける。

今まで誰にも言ったことがないし、言いたくもない。


「ふ〜ん、ならいいけど。でも、困ったことがあったら絶対言ってね! 必ず助けるから。だから――」

「テスト勉強」

藍璃はユミの言葉を遮り、呟く。


「ギクゥ! ち、違うよ! 違うくないけど、違うよ!」

――いや、どっちだよ。


全く、良いセリフに紛れてテスト勉強を頼み込むとは、なかなかどうしてユミは策士だな。頭悪いけど。

ユミは頭が悪く、いつもテストの点数が赤点ギリギリだ。


私は毎回面倒だから断ろうとするものの、「奢り」という言葉に負けてしまう。

だが今回は、今回こそはユミに自力で勉強をさせる。それがユミのためだからだ。


だから私は心を鬼にして言う。

「ユミ、今回こそは自分でやりなさい。毎回言うけど、私に頼ってばかりだと、私がいなくなった時に困るのはユミなのよ」


「うぅーっ。それは分かってるよぅ〜。でも、ほら、私バイトばっかで全っ然勉強する時間なかったから〜」

「言い訳しない。それより、さっさと学校行こ」

「えぇー! お願い! 明日一日だけでも! いや、一時間だけでもいいから!」


先に行こうとした私の前に出て、腰を90度に曲げ懇願してくるユミ。

「ちょ、ちょっと目立つからやめてよね。それに、たった一時間教えただけで赤点回避できるわけ――」

「できるよ! だってあいりん教え方上手いんだもん。知ってる? 私ね、あいりん以外にもテスト勉強教えてもらったことあるけど、あいりんの時と違って全然覚えられなかったんだよ!」


何を言ってるんだこの人。

そりゃ多少教え方は上手いかもだし、私のIQは5000くらいあるかもだけど、それは教えてもらう相手が悪かったんだろう。


「今度! ここに行きましょう!」

ズバッとスマホを突き出し、私に見せてくる。

「これって……」


今話題のチーズケーキ専門店じゃない! なかなか予約が取れないって噂だったけど……やるじゃない。私の好物を選ぶなんて。


「ここで好きなだけ奢ります! だから……」

「分かったわ」

私は光の速さでOKしてしまった。


その時、猛烈な風が私たちを襲う。

「うわ〜、飛ばされちゃいますぅ〜!」

情けない声を上げているのはユミだった。


「なによ、この風……」

しかしそれも無理はない。台風とはいえ、こんな突風は異常だ。

少なくとも車は吹き飛ばせそうだ。


私は反射的に腕で顔を覆い、目を瞑り、風が止むのを待つ。

何秒くらいそうしていただろうか。気づけば、ユミの情けない声も聞こえなくなっていた。


私はゆっくりと目を開ける。

「えっ!?」

――私は、何が起きたのか理解できなかった。



「ふむ、これはハズレじゃな。ドゥームどのはさぞお怒りになるだろうな」

声のした方を見ると、白髪で背の高い初老の男が、こちらを品定めするように見ていた。


……普通にキモいんだけど。てか、よく見たら猫耳生えてるし。

あっ! こっちは兎耳だ。コスプレ? ドッキリ?


「いきなり召喚されて戸惑っておるようじゃな。まあ、無理もない。こちらはあちらの世界とは随分違うと聞くからのう」

召喚? 何言ってるのこの爺さん? まさか、本当に……。


「ワシの名はアーガスト。この村の村長をやっておる。お主には悪いが、これからいろいろと働いてもらうぞ」

「なによ、働くって?」


まさか奴隷? そんなの絶対嫌なんだけど。

「まあ、そんなところじゃな。しかし困ったのう……お主は弱すぎる。これじゃあ使い物にならん」


勝手に呼んどいて「使い物にならん」とか自己中か! いや、自己中だわ。


「じゃあ帰らせてよ。そもそもなんであんたたちの奴隷にならなくちゃいけないのよ。理不尽にも程があるでしょ!」

こんなとこにいたらケーキ――じゃなくて、ユミに勉強教えてあげられないじゃない!


「勝手に帰られては困りますね」

「「ドゥーム様!」」


一人の男が部屋に入ると、亜人たちが一斉に跪いた。

何よこいつ。他の奴らと違って普通の人間に見えるけど……何か嫌な感じがする。


「あなたは私の大切なコマなのですから、勝手に行動されると困りますね」

「ドゥーム殿。この娘はあまりに魔力が少ないようだが?」


ドゥームと呼ばれた、髪をオールバックにまとめた男が私のほうへ歩み寄る。


「大丈夫ですよ、アーガスト。界渡りをした者は、必ず唯一無二の力――スキルを授かるのです。魔力の少なさなど、どうとでもなりますよ」


そう言ってドゥームは右手を私に向けた。


ちょっと、何する気なの!?

なんかドゥームってやつの右手が光ってるんだけど……そんなことより、体が動かない!


「さあ、今からあなたは私の忠実な僕となるのです」

「だ、誰か助けてよ!」


周りを見るが、誰一人として助けるそぶりを見せない。

なんで私がこんな目に……。


「ダメーッ!」

一人の女の子が勢いよく部屋に飛び込み、私を庇うように両手を広げて立ちはだかった。

綺麗な銀色の髪が特徴の、猫耳の女の子だった。


「この人は何もしてないのに、なんでこんなことするんだよ!」


……この子、すごいな。見ず知らずの他人のために体を張れるなんて、私にはもうできないな。


「面白い猫ですね。この私の前でそれだけの虚勢が張れるなんて。少しあなたにも興味が湧いてきましたよ。ですが、今はあなたに構っている暇はないので、そこをどいてもらいましょうか」


そう言ってドゥームは、腰に下げていた鞭に手を置いた。

猫耳の少女は剣を構えたまま、ドゥームを睨みつける。


――チャンス! 今のうちに逃げられないかな?


皆が二人に注目している中、私は逃げ道がないか辺りを見渡す。

ドアは一つだけ、か。

ドアからは無理そうだな。アーガストの後方にあるため、どうやっても気づかれてしまう。


必死に逃げる手段を考えているとき、ドゥームに異変が起きる。


「なっ!? この気配……なぜここに!」

ドゥームだけでなく、他の亜人たちも騒ぎ始めた。

ただ一人、猫耳の少女――ソアラだけが、壁の一点をじっと見つめていた。


これってホントにチャンスじゃん! 何が起きたか分からないけど、想定外の出来事が起きたのは間違いない!


「アーガスト! 私は一度ガレートに帰る。お前はこの女を連れてどこかへ逃げろ! さすがに幻獣相手では、私も分が悪い!」


ドゥームは懐から丸い水晶のようなものを取り出し、それを握りしめる。

すると石がほのかに光り、ドゥームを包み込み、そのまま姿が消えていった。


なにこれ……魔法? いやいや、そんなことより逃げないと!


気がつくと、家の中にはアーガスト一人だけだった。

くそっ、これじゃ逃げられないじゃん。

――いや、老人一人なら、私の秘密兵器でなんとか倒せるんじゃ……。


「お主はホノカを知っておるか?」

「……?」


唐突すぎて意味が理解できなかった。

ホノカ? そういやクラスにそんな名前の人がいたっけ。とりあえず知らないって答えとこ。


「そんなもの知らないわ。それより、そこをどいてくれない? でないと痛い目見るかもしれないわよ」

私はカバンに手を入れ、秘密兵器を出せるように構える。


「そうか、知らないか。残念じゃな。……ここと通りたきゃ勝手に通るがよい」

アーガストはひどく落ち込んでいるように見えたが、それどころではない。


この老人、今なんて言った!? 通っていいって言った?

罠じゃないよね?


「逃げるけどいいの?」

「ああ、好きにすればよい」

「そう。じゃあ、遠慮なく逃げさせてもらうわ」


私は恐る恐るアーガストの横を通る。

……いいのよね? 本当に逃げるからね?


私は開いていたドアを抜け、我武者羅に走り出した。

最後まで読んでいただきありがとうございます

かなりの長編ストーリーになる予定です

アイリの成長とともに私の文才能力も成長させていきます

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