二泊三日のクルーズ船旅行!
[前回のあらすじ]
ゲーム機が欲しい! 新しいゲームが発売されるみたいだから買いにいったんだけど… 反社会抵抗軍に邪魔されて変えなかった… だけど、ガラポンで特等賞の二泊三日のクルーズ船旅行がでて音色が喜んでたしよしとしよう! 家帰ったらなんか琥太郎がそのゲーム機勝ってて… うん。まぁ結果オーライだね。
「旅行だ—っ!!!!!」
今日はみんな有給休暇を取り、今から旅行に行くところだ。
昨日、俺がガラポンから出した二泊三日のクルーズ船旅行。
いやぁ楽しみだなぁ…
旅行なんて、小学校の修学旅行以来だよ。
「良くあてたなぁ、旅行チケットなんて。」
「俺も驚いてるんだよね。…………あの時はある意味ついてなかったのかもしれないけど。」
俺は翔汰からの関心の言葉に反応する。
「とりあえず乗ろう。」
瑠実がそう言った。
そうだ。俺らは既に船着き場にいるんだった。
「応!」
こうして、俺らはクルーズ船に乗り込んだ。
俺たちはこの後知ることになる。
この旅行が、最悪なものになることを。
♢ ♢ ♢
1日目 午前9:00
「ここが俺の部屋か。」
一人一部屋あるなんて、この旅行チケット太っ腹だな。
「いやぁ、この旅行くらい、反社会抵抗軍が出てこないといいなぁ。」
フラグっぽいことを言っているけど、勿論そんなつもりはない。
流石に反社会抵抗軍だって多いはずじゃないだろうし、そんな毎日毎日であるはずもないでしょ。
俺はそんなことを考えながら苦笑する。
「本当に、何もなく終わるといいんだけどな。」
俺は部屋での支度を終えて部屋の外へ出る。
このクルーズ船の中にはたくさんの施設があるらしい。
そこでみんなで沢山遊ぼう。
このクルーズ船で二泊三日。
いろんな思い出を作りたいな…
その時、
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
「!?」
突如叫び声が聞こえた。
この声は… 瑠実!?
急いで瑠実の部屋の扉の前へ走る。
そして、扉を思い切りノックした。
「おい! 大丈夫か!?」
返答はない。
「扉! 開けるぞ!」
勿論鍵がかかっているが、それを思い切り蹴り破った。
「!?」
……いない。
いない!?
そこには、窓の開いた、もぬけの殻の部屋が広がっていた。
同じ部隊のみんなが集まってきた。
「ここだよな? 瑠実の部屋って。」
経緯を説明した後、その疑問を投げかける。
「ああ、そうです。瑠実が部屋に入ってから僕が部屋に入りましたから、確実でしょう。」
琉生がそういう。
琉生が言うならそうなのだろう。
そして、他にも疑問がある。
疑問、というか違和感だ。その違和感とは———
「というかここ、元のまんまだな…?」
そう。それが違和感だ。
元のまんま。
誰も部屋にいなかったというような、初めの状態から何も変わっていなかった。
俺が自分の部屋に入った時と全く同じ光景だったからわかる。
瑠実の荷物すらなにもない。
違う点と言ったら、窓が開いているかいないかの部分だけだろう。
……違和感?
何かが脳裏をよぎったが、それは今考えないことにする。
「とりあえず、瑠実を探すか?」
「そうだな。そうしよう。」
琥太郎が応える。
「じゃあ、すぐに行動に移しましょう。」
「そうだね。今すぐ探しに行こう!」
「行くぞ!」
皆それぞれどんどん行動に移している。
俺も、探しに行かないと…!!
1日目 午後4:00
「そっちにはいたか?」
翔汰の質問に俺は首を横に振る。
「クッソ… なんなんだよ…」
琥太郎がうつむきながら言う。
その時、
ドゴォォォッ
クルーズ船が大きく揺れた。
「なんだ!?」
俺たちは狼狽える。
よく見ると、一緒に乗船したはずの客の姿すら見えなくなっている。
「なんなんだよ… このクルーズ船では、何が起こっているっていうんだよ!」
俺は叫ぶ。
もう、俺はどうしたら…
「大丈夫です。」
荒れている俺に琉生が声をかけてくれた。
「大丈夫って、何も、大丈夫じゃないだろ…」
俺が涙目になりながら応える。
その俺に、琉生が肩をポンポン叩きながらこう言った。
「否、大丈夫です。君達には仲間がいるじゃないですか。」
…そうだった。俺はもう一人じゃない。
琉生が行ってくれた言葉のおかげで、俺も、琥太郎も、翔汰も、音色も、皆が笑顔を取り戻す。
「…そうだな。俺達には仲間がいるじゃないか。この状況も、なんとか打破できるんだろ。俺達、第52番部隊なら!」
俺たちの戦う意思が取り戻された。
俺達ならできる。
ザパァァァァァン
また大きな揺れだ…
何度あるんだ? 酔っちゃいそうなんだけど。
俺らは今分担して瑠実と敵を探している。
30分後に自分たちの部屋の前に集合する手はずになっている。
そして、俺は今甲板らへんを捜索している。
……まずは、この状況をよくよく考えよう。
瑠実の消失、大きな揺れ、そして乗客も消失… これは確実に敵からの攻撃を受けているな。
俺は船の外側の海を見渡す。
……………何かいる……
肉眼ではそれが何かは視認できないが、海の上に… 浮いている? 人影のようなものが見える。
「おいみんな! あそこになんか人みたいなのが!!」
即座に皆に報告する。
敵の可能性があるものは全てみんなに伝えることが吉だろう。
「…みんな?」
返答がない。
……そりゃそうか。このクルーズ船広いもんな。叫んだとて聞こえるわけもないか。
俺はスマホを取り出して、第52番部隊のグループ電話をつなぐ。
今日の朝交換したのが役に立ちそうだ…
プルルルル
あれ? 誰も出ないな? おかしいな…
俺は船を走り回りながら考える。
プルルルル
何かあったのか?
船の内部を一周した。はずなのに。
誰もいない。
人っ子一人いない。
皆、どこにいったんだよ…
最後の頼みの綱で、自分たちの部屋の前に行ってみる。
…丁度30分ほど経過している。
…誰もいない。
…誰も来ない。
さらに30分間。
……誰も来なかった。
その間何度も何度も船が揺れる。
いつ壊れてもおかしくなさそうだ。
………
…俺、一人になっちゃったよ…
これから俺一人で、どうすりゃいいんだよ…
そう考えると、目に何か温かいものがたまってきた気がした。
俺はそれを右腕で拭った。
「俺は、できる。失敗なんて、しねぇんだよ!!!」
俺はなら。
俺ならできる。
そして俺は甲板へと戻った。
時刻は午後5時57分。
もう日が暮れ始めている。
暗くなってしまうと、厄介だな。
俺は甲板の真ん中から助走をつけて船から飛び降りた。
先ほど見た人影の元へ。
未だにそこには人影が見える。
あいつが黒幕に違いない。
俺が倒す。
俺がやるんだ。
そしてみんなと、みんなと!
楽しい旅行を!
楽しい日々を過ごすんだよ!
九回目の投稿です。
かなり今日はスパンが早いですけど、気にしないでください。
今回から二章の大事なところに入っていくつもりですが、どんな内容にするかはあまりまだ決まっていません。
僕は既にこの物語の大まかな流れや、結末は決めているんで、そこに向かってどのような話にしようか、伏線を作ろうかなど考えながら作っています。
なので不定期になってしまうんですが、ご了承ください。
これからも投稿を続けていくので、今後もよろしくお願いします!