幹部VS零弥!
[前回のあらすじ]
幹部が現れたから倒しに行ったのに、返り討ちにあってしまった…
死ぬかもしれない、そう思った時にやってきたのは…
俺らの団長、守岡零弥だったのだ!
「なんだ…?」
その壮大たる存在感故に、幹部は目を覚ます。
瞬間、幹部は逃走していた。
「団長… 団長だぁ… 殺される… 逃げなくちゃぁ…」
幹部は東京タワーの窓を割って外へと飛び出した。
「ここまでくることはできないだろぉ…」
一言でいえば、幹部は”甘かった”。
団長(零弥)を安く見積もりすぎていた
「痛ッ!!!」
幹部は訳が分からないでいた。
自身の右腕が、勢いよく粉砕した。
粉砕、否、空間が捻じ曲がったのだ。
激痛が幹部を襲う。
(…ッ、なんだ…? これが抵抗団の団長の抵抗力…?)
「やっぱり、人間は怖いんだよおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
幹部は勢いよく振り向いて、目の前の空中に浮いている団長に向かって左腕を振りかざした。
「は?」
その振りかざした腕もが、目の前で捻じ曲がった。
「終わりだよ。君はあまりにも、弱すぎたんだ。」
悪寒。
幹部が見た団長のその顔は、あまりにも、戦闘に飢えた獣のような…
幹部の背筋が震えた。
「やめてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!! 俺は、まだッ、死にたくないッッッ!!!!!!!!!!」
幹部はドタバタ暴れた。
「ははは。戦うのは久しぶりだったけど、私、まだまだ戦えるね。うん。ウォーミングアップにしては弱かったけどね。」
幹部の顔が引きつる。
幹部は、自身に残った全てを、ありったけをぶつける。
が、抵抗虚しく団長にトドメを刺される。
…その様子を俺は東京タワーから見ていた。
倒れていた場所が丁度窓際だったのでその一方的な蹂躙をしっかりとこの目に焼き付けることができた。
零弥って、チート級に強かったのか?
俺たちが瞬殺された第12幹部を軽々と、しかも無傷で倒してしまうなんてな。
俺の中での零弥の評価がグンと上がったのだった。
「青空、今からそっちに救援班を送り付けてるから、もう少し我慢できるかな?」
零弥がこちらを見ずにそう言ってきた。
勿論俺は動くことができないので返答はできないのだが…
「…動けないのかい。返事がないってことはダイジョばないってことだよね。」
零弥が空間を捻じ曲げながらこちらに向かって歩いてくる。
「…じゃあ、私の残り少しの粒子を使って少しだけ治してあげるよ。」
零弥が俺の目の前に右手を翳し、こう唱えた。
「”星の神よ、金色の力を私に付与せよ! 金色の慈悲!!!”」
その瞬間、ポウッと零弥の右手から白くて丸い何かが出たかと思うと、それが俺の中に入っていった。
「あー、お、喋、れる。」
「お、喋れるようになったみたいだね。」
俺は零弥の肩をかり、立ちあがる。
「ありがとう。零弥。強いね。」
「ああ、私は団長だからね~ 強くて同然だよ~」
ははは、と笑いながらそう言ってきた。
それにしてもものすごい強さだった。
世の団長は全員恐ろしいくらいに強いのか?
「…そういえば、粒子、とか言っていたけど、それって零弥の抵抗力に関係しているの?」
俺は、さっきの会話の中で、疑問に思った発言を問う。
「そうそう。その粒子って言うのは… そうだね、ゲームでいうMPとかそういうものの類だよ。その粒子を使って私は抵抗力を使っているんだよ。」
「へぇ… MPみたいなもんっていうことは、回復方法もあるんだろ?」
「もちろんだよ。敵を倒すとそいつの生命力×推定レベルが私の粒子として蓄えられるんだよ。」
俺は相槌を打ちながらそれを聞いていた。
粒子、ね。
…よく考えると、この粒子制って、やばいんじゃないか?
それにさっき”残り少し”だとか言っていたよな?
それってもしかして…
「零弥ッ、お前、もしかして、残りの粒子が…」
「……察しがいいね。君は。…そうだよ。最近は弱い敵としか戦えていなくてね、倒すときに使う粒子と手に入る粒子が割に合わなくてね… 初めあった粒子の量からすると、大体500分の1くらいに減っちゃっているんだよね…」
零弥が苦笑しながら言った。
いや、笑いながら言えるようなことじゃないだろ!!!
「零弥、このままいくと、抵抗力が使えなくなっちゃうんじゃ…」
うーん、と零弥は唸ったりつつ、俺の質問に答えた。
「これはあんまり言おうと思っていなかったんだけど… 青空ならいいか。…そうだよ。青空の思っている通りだよ。私はあと少しで抵抗力が使えなくなってしまうんだ。だから、その時は、団長を辞めようと思ているんだ。」
零弥が突然ブッコんで来た。
なんだって!?
零弥が団長を辞める!?
それなら次の団長は誰になるんだよ!?!?
俺の様子から何か察したのか、零弥がこう言ってきた。
「いや、まだまだ先のはずだけどね!? そんな驚かないでよ! 安心して。私は死ぬまで団長だからね!」
「いや驚くだろ!!!!!」
俺は少し怒りつつ、そう叫んだ。
その言葉に零弥も驚いて口を開けたまま固まっている。
「あ、ああ、まだまだ辞めるつもりなんてないからさ… あ、救援班が来たみたいだね。それじゃ、しっかりと傷を癒すんだぞ。」
そう言いながら零弥は救援班の方へそそくさと走っていった。
なんだか少し、次から距離がおかれる気がする。
それから俺は救援班のトップらしき人の抵抗力によって一気に回復し、同じく完全回復した俺の隊の仲間達がいるところへと走っていく。
「皆、大丈夫!?」
俺が問う。
「大丈夫なわけねぇだろ。死ぬとこだったんだからな。」
翔汰が俺の肩をバシバシたたきながら言う。
「皆生きててよかったです。」
「そうだね。」
皆が次々にそう言っていく。
仲間思いの仲間達でよかった。
俺は本当に幸せ者だな。
「じゃあ、俺らの寮に戻ろうか。」
琥太郎がそういった。
「そうだな。そうしよう。」
瑠実が琥太郎の提案に乗った。
そして俺達は、俺らの寮に戻っていったのだ。
今回は思いっきり負けてしまったが、今度からは絶対に負けない!
寮での暮らしでの訓練をより多くして、俺は、もっと強くならなくちゃいけない。
頑張るぞ。俺!
今回で五回目の投稿です。
ちょっと時間がかかってしまって申し訳ありません。
今後からもどんどん面白い話をかけるように精進していくので、楽しんで読んでいただけられたら本望です。これからもよろしくお願いします!