第三十四話 第一幹部と琉生!
「この地図の場所に行けばいると思うよ~。きっとね。」
という零弥の適当な指示の下で、今俺らの部隊は移動している。
案外近いところに拠点があるっぽい。
東京から出ることがなく、戦うことになりすだな…
数十分車で移動した後、住宅街に出た。
景色がガラッと変化する。どうやら、敵の拠地に近いみたいだ。
「ここらへんで降りよう。」
そう俺は仲間たちに声をかける。
運転は勿論琉生である。
琉生は車を適当な路肩へとめた。そして、俺らは車から降りる。
「急ぎましょう!」
衣央がそう叫ぶ。
確かにゆっくりしている暇なんてない。
俺らは一度顔を合わせ頷きあってから勢いよく走りだし―——
「あれぇ。皆さんお急ぎのようでぇ。そんなに焦らないでほしいなぁ♡」
ゾクゥと悪寒が走った。
知らない甲高い声。まるで子供のような、その幼い声がする方向を見ると、赤やピンクなどがふんだんに使用された派手な服を着ている女が建物の陰に立っていた。
「敵ッ」
気づいたときにはもうすでに遅かった。
俺は地面に置いてあった「ボタン」を踏んでしまったのだ。
…どれほど時間が経過したのだろうか。
俺はあれから、四角い部屋の檻の中に閉じ込められていた。
何が起こったのかは全く理解できていない。
確実にあの女の能力であろう。
クソッ、と俺は声をこぼす。
いつのまにやら手首のタイマーは、100を指していた。
数時間前
「青空さんっ!!!」
叫んだころには、先ほどまで目の前にいたはずの青空がいなくなっていた。
「そんな… まさか…」
仲間たちも言葉を失う。
今から第一幹部へとケンカを売りに行くというのに、大きな戦力を失ってしまったのだ。
「じゃぁ、そゆことでぇ。目標を達成したから帰るねぇ。バイなら~」
「逃げるなッ」
一足遅い。
付近の壁へと攻撃を与えたのは、女が消えてしまった後であった。
「失ってしまったものは、取り戻すほかありませんが… 今は私たちがやるべきことをやるのです。ここで全滅しなかっただけでも、幸運だと。思うほかないでしょう。行きますよ。」
琉生が冷静に、焦りを見せないかのように虚勢を張って、仲間を落ち着かせようとする。
私はその姿に気づいてしまったが、何も言わず、彼について行った。
到着した所は、他の建物と変わらない、が、ボロさが際立つ建物であった。
「行きますよ。」
扉が甲高い笑い声のような音をたてながら開く。
目の前には、地下へと続くハッチが見つかった。
こんなにもわかりやすくてよいのだろうか…
否、誘っているのだ。私にはわかる。
それは優秀な仲間達も気づいているようだ。
「おかしいと思ったんですけどね… まさか… そんなわけ…」
と琉生がなにかぼそぼそ呟いていたのが聞こえたが、聴かなかったことにしよう。
とりあえず急いで中へと入るのだ。
中には青空さんがいるかもしれない。
私は無言でハッチの扉を開く。
奥は深い闇へと繋がっていた。
「行くか。」
その声を合図として、一斉にハッチへと飛び込んだ。
飛び込んだ先には、まるで待っていたかのように第一幹部が立っていた。
否。待っていたのだ。
「待ってたよ。君たち。」
その発言と共に、私たちは「死」を味わった。
なんだかわからないが、死並の恐怖である。とてつもない嫌悪感に加え、全身を切り刻むような痛みが続く。
これが「死」。これ以上先に進みたくなかった。
仲間も同じ表情をしている。きっと同じく感じたんだよ。
しかし、それでも前に歩を進める人物がいた。
「会いたかったよ。あの時は何で行ってしまったのさ。父さん。」
琉生だ。
「バレちゃってたか。」
第一幹部は顔を歪めて笑った。
「折角会えたんだし。話そうよ。少し。あの時の事を。なんで父さんは生きてるのかってことを。」
第一幹部は静かにうなずいた。
「いいだろう。」
「…そうだな。最近思い出して内容はズタズタかもしれない。俺もお前が生きていることに驚いてたんだよ。…25年前の夏だったかな…」
そして淡々と、彼らの過去を話し始めた。




