第二十三話 『強抵抗者ってすごいんだね。』
「そう、なのか…?」
まだ疑問に思っているのか、それとも現実を受け止められないのか、言葉の語尾に疑問符がついているように聞こえた。
青空は、ふらふらと立ちあがり、背後を見つめる。
その方向には、一人のメイド?服の女が立っていた。
「全部お前らのせいだ。」
青空は震えながらその決意のこもった言葉を放つ。
「死ね。」
直後、左側にいたはずの青空がいなくなった。
否、メイド服の女の目の前へと飛び、殴りこんだ。
即座に僕は理解した。このままだと青空がまた自我を失ってしまう、と。
僕の推測では、多分まだ自我を失っていない…!
しょうがない。本気を見せてあげますよ。
「閉”硬”!!!!!」
その瞬間、メイド服の女と青空の体が硬直する。
硬直する? 否、彼らの周囲の大気が硬化したのだ。
結果的に、彼らは困惑している。そして、青空も落ち着きを取り戻したようだ。
本当によかった…
僕は、これ以上仲間を失いたくなかったから、本当に…
涙がこぼれそうになる。が、なんとかこらえ、こう叫ぶ。
「青空! 焦るな! 僕だっているじゃないか! たまには仲間を頼ったらどうだ! …そうだ! 今まで黙っていたが、これは言っておかなくてはならない! お前と僕のためにも! 僕は―――」
「強抵抗者なんだ!」
―――強抵抗者とは、
通常の抵抗者よりも強力な抵抗力が使用可能な抵抗者の事を指す。
自我を失うまでに使用してもいい抵抗力時間が長いなど、通常よりもはるかに優遇された力となっている———
———— ———— ———— ———— ———— ————
『因みに、クルーズ船旅行の時に幹部を殺したのは琉生だよ。琉生くんのとっさの判断で、自我を失った瞬間に青空の意識を飛ばしたんだよね。そしたらなんと、自我が戻ったんだよ。凄いよね。過去にも似たようなことがあったらしいんだけど、その時も一瞬にして気絶させたんだって。だから自我を失った瞬間に気絶させれば元に戻るっていうことが上層部では常識となっているんだよね。まあ、そんなことが可能なのは強抵抗者くらいだろうけど。』
———— ———— ———— ———— ———— ————
「…ッ!!!」
メイド服の女はこちらを見て、恐怖を抱いているように見える。
そうだな。今の僕ならいつでも破壊可能だ。
…ずっと硬直させていても時間の無駄だ。かといって、開放して襲ってこないなんて言う保証はない。
ならば、今、殺す。
僕は右手を前に突き出し、開いた手を勢いよくにぎった。
「潰れろよ。カス。」
今まで生きてきた中で最も言葉が汚かったかもしれない。
自分でもそう思うくらい、僕は今、とてつもなく怒っていた。
仲間を殺され、残った最後の仲間ですら、結果的に死んでしまうところだったんだから。
…それより、今の状況を整理しようか。
先ほどの言葉を吐いたとき、メイド服の女の周囲で硬化していた大気は押し縮められ、彼女はそれに耐えられなくなり、つぶれてしまったのだ。
それを確認した僕は、青空の硬直も解除する。
「もう二度と、怒りに身を任せて行動しないでください。」
僕が言えたことではないのだが、青空には死んでほしくない。だから自分の事を棚に上げてまでもこういった。
「ごめん…。制御できるように精進する。」
元気のない返答をした青空は、こちらにとぼとぼと歩いて戻ってきた。
その眼には、涙が浮かんでいた。
「俺が、失敗したせいで… 皆が…」
今にでも壊れてしまいそうな弱々しい身体。
初めてしっかりと触れたが、こんなにも細かったのか。
そうだ。青空だって一人の人間なんだ。僕と同じ。
守らなくてはならない。
この大切な仲間を、絶対に失ってはいけない。
僕はそう誓い、青空をぎゅっと抱きしめた。
[青空]
琉生から急に抱き着かれてから数分後…
落ち着きを取り戻した俺は今回の目的を思い出して、琉生に伝えた。
案の定、琉生も忘れていたようで、今急いで半壊した屋敷内を探し回っているところだ。
さて、どこにいるののやら…
「青空!」
おっと琉生に呼ばれたようだ。さては見つけたのか?
「琉生! 見つかったか!?」
「…それらしき入口が…」
琉生の指し示す方向には地下室の扉があった。
…また地下室に行かなきゃいけないのお?
こんばんは!
いい感じに物語は進んできているようですね。まだぜんぜん序章ですけど。
多分31日までにはもう一つの物語の方を投稿するつもりですので、
来週はれじすたんす!の投稿がないかもしれません。すみません。
しかし、書けたら投稿します!
今後も連載を続けていくので、これからもよろしくお願いします!




