第二十話 瑠実救出大作戦!
「…よう青空。元気になったんだな。」
「うん。もちろんだよ。」
俺は翔太と軽い会話をする。
既に俺らは指定されていた空知大豪邸の門の前へとついていた。
門を開いてもらうには、ピンポンを押さなくてはならないようだ。
敵の陣地でこんなことをしたくないが… 無理矢理入って瑠実を殺されてしまっては困るからな…
ピンポーン…
音だけが響く。
普通こういう音は押した側には聞こえにくいはずだが…
この屋敷はなぜか良く聞こえる。
なぜだろうか…?
一旦そのことは置いて、屋敷の中を見てみる。ここは屋敷なので、庭もめっちゃ広いな…
ん?
もしかして、庭にいた時でも訪問者に気づけるような仕組みになっているのか?
ということは、メイドや執事は少ないっていうことで間違いないよな…?
『ようこそおいでくださいました。琉生様御一行ですね。今から私が向かい門を開くので、少々お待ちください。』
テキパキとした口調で話をどんどんと進めている。
このピンポンに対応した執事がこっちに出迎えに来るってことは、やはりさっきの俺の考えは間違っていなかったようだな…
バチッ
なんだか一瞬寒気がしたけれど、すぐに収まったな…
なんだったんだ?
これも誰かの抵抗力なのか?
「どうぞお入りください。」
!?
気づいたときには門が開いていた。
恐ろしいくらい手際のいい執事だ。
俺らはその言葉に頷き、中へと入る。
「本日はパーティーを開催しておりますので、ごゆっくりしていってください。部屋もご用意しておりますので、お好きなタイミングで私めに聞いてください。いつでも部屋へとご案内します。」
すごいいろいろ言ってくれたな…
ここは敵の本拠地である前に、豪邸なんだよな。
いろいろな人が来るパーティーを行うみたいだし…
この執事さんも案外騙されているだけのなかもしれないし…
うん。きっとそうだ。
俺らは初めての本物の執事というものを見て、すごく興奮しているようだが、まあそれは一旦脳みその片隅に置いておいて…
よし。俺は気分を整えてから、屋敷の中へと入っていく。
豪華なシャンデリアが煌びやかに自分を主張している。
まぶしくて目が開けない。
「こちらでございます。」
先ほどの執事さんに連れられて、とある大扉の前までやってきた。
執事さんは俺ら全員が扉の前まで来たのを確認すると、思い切り扉を開いた。
そこには———
なんとも言葉にしがたいような、豪華な食事が広がっていた。
俺らは現実離れしたその光景に驚く。
これは夢なのか…?
頬をつねってみるが、痛い。夢じゃない。現実だ。
「ありがとうございます。ここまで案内してもらっちゃって。」
俺は執事さんに挨拶する。
「いえいえ。これが私たち執事の仕事なので。」
そういう言葉が返ってくる。
そうだ。この人はここまで親切な執事さんなんだから、名前くらい聞いておきたいな。
「あの、名前、なんていうんですか?」
俺はすぐに聞いた。思い立ったが吉日ともいうしね。
「いえ。執事の分際でお客様に私めの名前など…」
「いやいや、こっちが教えてほしいんで。全然そんな執事の分際とか。関係ないですよ。」
逆に気になってきちゃうよね。ここまでくると。
「…わかりました。今回だけですよ。」
やった!
「私の名前は、初台雨済と申します。」
「いい名前ですね。ありがとうございます!」
これでいつでも名前で呼んで感謝を伝えられるな。
俺は雨済さんから離れて、仲間たちのいるところへ向かう。
俺が話している間に先に席に移動していたのだ。
「すまん。遅くなった。」
俺はみんなに謝る。
「…いや、いいんだ。別に。」
翔太がそう返してきた。
……なんか歯切れが悪い気がするが、まあ、いいか。いいと言ってくれているんだし。
———それから俺らはパーティーを存分に楽しんだ。
なんか似たような人ばかりが参加していたけれど、そんなの気にすることなく、俺らは食事を堪能した。
「あぁぁ…疲れたぁ…」
音色がスライムのようにぐでーんとしている。
どういうことなのかわからないが、溶けているようだ。
「雨済さん。部屋に案内してくれませんか?」
俺は頃合いを見て雨済さんにそう伝える。
「かしこまりました。」
手際がとてもよく、すぐに俺らの部屋へと到着した。
俺らは自分の部屋へと入る。
今日はとても遊び疲れたな。
思ったよりパーティーしてたぞ。
部屋には風呂がついていたが、疲れ切っていたので、俺はすぐにベッドに飛び込む。
「本当にここに瑠実が囚われているのか?」
疑問が脳裏によぎったが、睡魔には勝てず、眠りに落ちる。
ああ、このまま瑠実が帰ってきてくれたらいいのにな…
バチッ バチチチッ
「はぁっ!!!」
猛烈な寒気と鳥肌で目が覚めると、俺は知らない部屋にいた。
「どこだよ。ここ。」
全体が白一色でできた、何もない部屋。
「抵抗力か…? 油断しすぎたッ! やられた…!!!」
俺は膝から崩れ落ちる。
いや、まだあきらめちゃだめだ。
この空間を破壊できる可能性だってあるんだぞ。
俺は思い切り壁をたたく。
…びくともしない。
それもそうか。抵抗力で作られた空間は摩訶不思議なんだよな。
クソッ。
精神が狂ってしまいそうだ…。
仲間たちはどうなのか?
全員はめられたのなら…
俺らは終わりだ…
クッソ…
とりあえず俺は助けを待つしかない。
ほんとにもう…
なんなんだよ…
♢ ♢ ♢
「ははは、やったぞ。あいつらがほとんど男でよかった。本当に吐き気がしたぜ。あんな奴らと話すのはよお。」
執事服姿をした男がそう叫ぶ。
「パーティーと言っても、私の分身どもとあいつらだけが食事をしていたんだけど。気づかないアイツらは馬鹿。」
もう一人のメイド服をした女も喋る。
「俺らは最強なんだよ。もっと自分に自信持てよ台田橋ィ!!」
その発言に台田橋と呼ばれた女は返答する。
「もちろんだ。私たちは最恐タッグだから。雨済。」
「分かってんじゃねぇか。」
二人は歩き出す。
雨済の抵抗力で異空間に飛ばすことのできなかった「音色」という女の元へ―――
こんにちは!
今回から三章が開幕します!
三章は一話が二章よりも長いと思うので、しっかりと書きたいことだけ詰め込んでいきます。
大体五、六話くらいになるんじゃないかな?って思ってますけれど、先に進むにつれ入れたいことが増えてくる可能性があるので、伸びることもあります。
今後も連載を続けていくので、これからもよろしくお願いします!
追記
次回の投稿は10/13(月)になりそうです。




