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れじすたんす!  作者: R:io
第二章
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第十五話 『君にはまだ死なれちゃ困るんだよね』

 突如として激痛に見舞われる。

 自身の体に何が起きているかなど分かりはしない。

 けれどなぜか、幹部への怒りだけは、よくわかった。

 水中で身動きが難しいが、そんなことは気にせず、自身のありったけの力で無理矢理水中での抵抗を感じなくする。

 今怒りで何も冷静になれていない。

 先に冷静さを欠いた方が死んでしまう。そんなことはわかっている。

 けれど、一度冷静さを失ってしまったら、再度取り戻すのは至難の業だ。

 俺は目の前にいる幹部へ向かって歩みを進める。

 幹部の野郎が何かを言っているようにも感じる。

 でも、水中だからか良く聞こえない。まあ、聞き取れなくてもいい。

 俺らの仲間を奪うような、そんなクズ野郎の話なんか、聴いて徳など1mmたりともありゃしない。

 俺は右こぶしを振りかぶる。

 まるで空気中にいるかのような、そんな身のこなしで幹部に一発クリーンヒットをかました。

 勿論こんなので幹部が死ぬとは思っていない。

 何度も、何度も、何度も。

 自身の呼吸が既に限界を迎えているのも気にせず、何度も。

 俺は殴り続けた。

 失敗は別に悪いことじゃない。そう思っていたのに。

 やっぱり失敗は怖いんだ。

 殴り続けている俺は笑っていたと思う。

 憎悪で顔がゆがみ、たまりすぎた怒りの相手は、こんなにも弱かったんだと、笑ってしまう。

 「ガボッ」

 油断はしていた。

 なぜなら相手はもう虫の息だったから。

 直感でそう感じていた。なのに。

 この幹部は、最後まであがいて、水の力で俺の呼吸を完全に封じた。

 息ができない。苦しい。

 この時俺はやっと、自身の置かれている状況に気づく。

 「馬鹿が」

 最後に聞こえたのは幹部の言葉だった。

 相手は傷を多く負っているが、まだあきらめてはいなかった。

 冷静さを欠いた人物はやはり最終的には負けてしまう。

 圧倒的な力をもってしても。

 これはしょうがないことなのかもしれない。

 俺の抵抗力レジストがこういうものというのはなんとなくわかっていた。

 トリガーは、もしかして………、

 ………そうだろう。きっとそうだ。

 しかしそれは意図して発動することができないようなもので、怒りと恐怖をともにしながら戦わなければならないような、そんな力。

 そうであってほしくなかったが、俺の推理が正しければ、そうだろう。

 なんてのんきに考えていることももうできない。

 意識が遠のいていく。

 昨日も死を感じたが、今日のはそれの比でないくらい、「死」を感じている。

 ここは海底だ。

 また同じように島に打ち上げられるなんて、海水を多く飲まされた俺のこの状況では、あり得ないと断言できる。

 あーあ。俺は死ぬ時も失敗してしまったんだな。

 怒りに身を任せ敵に攻撃したものの、自分を犠牲にして、仲間を助けることもできないなんて…

 とんだクズ野郎だ。俺。

 せめて、仲間を、瑠実を、助けてから、死にたかった、な…………


    ————    ————    ————    ————

 『君はまだ死んではいけないよ。なぜなら、君は将来、”皆を裏切る”からね。』

    ————    ————    ————    ————


 脳内に直接、謎の声が響く。

 耳鳴りがする。誰の声だ?

 再びこの声が聞こえることはなかった。

 にしても、”皆を裏切る”? どういうことなんだ?

 俺が? そんなことするわけないじゃないか。

 …そもそも第一に、俺はもう死んだわけだし。

 …? 死んだなら、なんで意識があるんだ———?


 「はぁぁっ!!!」

 俺は思い切り起き上がる。

 周囲を見渡すと、そこは先ほど俺が死んだはずの場所の真上、そう、あの島だった。

 「なんで、生きてる?」

 俺は呟く。

 俺は、死んだはずなんだ。

 なのになんで―――

 「あ! 青空くん起きてるよ! 皆来て!!!」

 音色が俺を見て早々叫ぶ。

 俺はいろいろと聞きたいことがあるのに…

 寝起きで大声を出されると、耳がキンキンする。

 というかあいつは自分が出した大きい音はセーフなのか? なんだかよくわからないな。

 そんなことを考えている間に、皆はどんどん集まってこちらに来た。

 「青空、大丈夫か?」

 翔太が俺の気分を聞く。

 「大丈夫、だけど、なんで俺まだ生きてるの?俺のわがままで行動して、俺が死んだんじゃ…?」

 「君が急に戻ったときに僕は急いでついて行って倒れた君を連れて戻ってきたんです。あと少し遅かったら死んでいましたよ。」

 「ありがとう…」

 俺は感謝を表す。

 「そういえば寝ている間にすごい寝言を言っていましたよ。『誰の声だ?』とか。面白かったですけどね。」

 「寝言言ってたのか俺…」

 そうやって笑いあう。

 やっぱり、こういう空間が俺は好きだ。

 なのに、怒りに身を任せてあんなことを…

 俺は涙が出そうになるが、何とかひっこめる。涙を皆には見せられないからね。

 「そういえば、俺はどれくらい寝てたの?」

 俺らが作戦を決行したのは大分早い時間だったけれど、今、周囲を見ると、太陽が昇り始めていた。

 嫌な予感がした。俺はどれだけ眠っていたんだ?

 「一日だよ。」

 やっぱりそうか。

 「ごめん。俺のせいで。」

 「いいや青空のせいじゃないさ。悪いのは瑠実をさらった幹部なんだから。気にすんな!」

 琥太郎が励ましてくれる。ほかのみんなも同様に励ましてくれた。

 俺にはもったいないくらいの優しい仲間だ…。

 だからこそ、絶対に俺は、俺らは!瑠実を救出してやる!

 そう心に誓ったのだった。


 そのころ幹部は―――

 「ああ、人を殺ったのなんて、初めてだよ。案外人ってすぐ死ぬんだな。」

 幹部は青空を殺した気になっていた。

 そしてそれは―――

 「もっと早く気づけばよかった。殺すのは楽なんだってこと。決して怖くはないってことにね。」

 幹部の心の強化につながったのだった。

すみません

投稿するのを忘れていました。

毎度毎度僕の落ち度で本当に申し訳ございません。

しっかりと予約投稿を今後は使用していきます。

今後も頑張って連載を続けるので、これからもよろしくおねがいします!

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