第八話 二泊三日のクルーズ船旅行!-②
[前回のあらすじ]
せっかくの旅行だってのに瑠実がいなくなっちまったよ…。どこにいったんだよ…。みんなで探したけれど、どこにもいなかった。さらにはみんなもいなくなっちまったよ…。
———時は少しさかのぼり
一日目 午後5:23 [翔汰]
ザパァァァァァン
また大きく船が揺れた。
何が起こっているんだ…。
揺れると船内に水が入ってくるな…。
……浸水?
「こりゃぁまずいッ! アイツらに知らせねぇとッ!!」
俺は約束の地へと向かう。
もうすぐで5時25分。
あいつらと別れてから30分が経過している。
あいつらは全員いるはずだ。
あいつらが…
グイッ
その時、何かが足を引っ張った気がした。
だが気にせず俺は走る。
…ことができなかった。
足が固定されている。
この浸水した床にだ。
敵の攻撃だ。
近くにいるはず。
俺は思考を巡らせる。
何が起こっているのか、まずは状況整理から———
その瞬間、俺は海に放り出されていた。
「なんッ なんッ だよッ!!!」
俺は急に海に放り出された状況が未だ呑み込めず、水を大量に飲み込んでしまった。
まずい。
このままじゃ沈んで死んでしまう。
ゴッ
その時、後頭部を何かで殴られた感じがした。
…そこからの記憶はない。
そして今———
一日目 午後8:36 [翔汰]
「お、目が覚めたか。」
俺は謎の部屋に閉じ込められていた。
謎の人物たちが俺の周りを囲っている。
謎の人物たちは視界に入るだけで数100人がいる。数えていないから正確じゃないが、確実にそれかそれ以上がこの部屋にいる。
「なんだテメェら… 殺されてぇのか…?」
俺は虚勢を張る。
勿論この大人数相手に俺一人の抵抗力じゃ倒しきれるわけがないことなど分かっている。
が、まずは威圧からだ。
相手をビビらせ、隙を作り、そこで脱出する。
完璧な計画だ。
ここがどこかは知らないが、おさらばだぜ。
「へぇ。虚勢はるのもうまいね。君。手、震えてるよ?」
バレた!?
なんてことだ。俺としたことがッ!!!
俺は無意識のうちに腕が震えていたようだ。
それからさらに、俺の身が震えるようなことをコイツは発した。
「あ、そういえば君の仲間は全員死んだから。」
は?
「冗談はよせや馬鹿野郎。そんな分かりやすいホラ吹いてどうする?」
取り合えずまた虚勢を張っておく。
すぐにばれると思うが、言葉だけでも———
「僕がわざわざ君みたいなちっぽけな存在に嘘つくわけないでしょう? 何言っちゃってんだよ君。ばっかじゃないの?」
そいつは俺の事を嘲笑してきた。
…いやいやいやいや。
俺の仲間が死んだ?
あいつらは強いぞ? そう簡単に死ぬわけがない。
俺は信じてるんだ。
初めてだよ。
俺が人間を信じたのなんて。
なのに。
「俺の期待を裏切るのかよ。」
ボソッ… と小声でつぶやいた。
「え? 何? 聞こえな~い。」
裏切る… 否。
こっちが勝手に期待してこっちが勝手に期待外れだったと呆れる。
そんなん、仲間に対して絶対にやっちゃいけないことじゃないか。
あいつらが死んでるわけがない。俺はそう信じるんだ。だから———
「お前らを一匹残らずブチ殺す。」
今度ははっきりと聞こえるように言った。
奴らは全員「は?」とでもいいそうなイラつく表情をした。
そいつらが固まっている間に、俺は右手を切り出血し、抵抗力を発動する。
やってやるよ。
俺がこいつらを全員倒して、真実を聞き出そうじゃねぇか!
———再度時はさかのぼり…
一日目 午後5:57 [青空]
俺は思い切り甲板から飛び降りた。
あの人影に向かって!
ドシャァァァァン
海の中に入ることができた。
特に水泳などはやったことはないが、小学生の頃授業で軽くやったから泳げるはずだ。多分。
俺は謎の人影に向かって叫ぶ。
「お前かッ!! 俺の仲間を消したのは!」
その謎の人影はこちらを向いた。
「なんでバレちゃったかな…」
その謎の人影はそう言うと、水の上に浮いたままこちらに歩いてきた。
「おい、どういう原理だよ… それ…」
俺は問う。
しかし、勿論のことだが応えてくれる気配はない。
「君には死んでもらうよ。」
質問の応えの代わりに、そんな言葉が飛んできた。
「…は?」
俺は一瞬頭が真っ白になった。
俺は死ぬ?
今? ここで?
……嫌、だ! もう二度と、俺は失敗はしないと決めたんだよ!
失敗なんて———
ザパァァァァァン
その時、大きな波が俺を襲った。
泳ぎが平凡以下の俺がその波に抗えることもなく、俺は沈んでいく。
薄れゆく意識の中、謎の人影がこう言い放ったのは聞き逃さなかった。
「隊員一名、殺害完了。後は二人です。お嬢様。」
あとは二人…?
もう俺以外にやられてるやつが三人もいるってことか?
まさか、死んでないよな?
…あいつらが死んでるわけがないか。きっと何かの間違いだ。俺の仲間だもんな。
………そろそろ息が持たなくなってきた。
……………また、 失敗 か…
……………………俺 は、 ダメ ダ メ な 人 間
だ な…
一日目 午後7:49 [音色]
「ここ、は?」
目が覚めると、私は島に上陸していた。
ズキッ
…なんだろう、少し前の記憶がない…
確か、部隊のみんなと旅行に行って、…瑠実がいなくなって、それで———
そうだ。私はなぜだかわからないけど海に放り出されて、息が続かなくて、意識が朦朧として…
………
どうしよう。
あたり一面真っ暗で何にも見えないよ…
私はちょっと涙が出そうになる。
が、何とか持ちこたえて、この状況をよく考える。
ここに住んでいる人がいるかもしれない。そしたら、助けてくれるかもしれない。
……助けてもらう?
いや、そうじゃないでしょ。
私が瑠実を助けるんじゃん。
弱気になるな、私。
きっとやれる。私なら、私たちなら!
それから私は、この島を探索することにした。
とりあえず、他にも漂着している部隊の仲間がいるかもしれない。
海に沿って歩けば、もし漂着していてもわかる。
人は多ければ多いほど瑠実の捜索ははかどるよね!
それから私は数分ほど沿岸を歩いた。
すると、目の前でなにかが争っている音が聞こえてきた。
あたりは暗くて良く見えないけど、もうこの暗さに目が慣れてきちゃって何となくは見える。
私は目をよく凝らしてその戦いを見てみる。
…あれは!!
「琥太郎くん!」
そこには、琥太郎が誰かと争っていた。
琥太郎くんはこちらに気づいたかと思うと、こう叫んだ。
「音色ッ! こっちにくるなッ!!!」
その瞬間、大きな音とともに琥太郎がこちらに飛ばされてきた。
…大きな音
私は直後恐怖で硬直する。
勿論琥太郎を飛ばした相手を倒すためでもあるが、大きな音はやっぱり怖い。
ダメだ。
足がすくんじゃって何もできないよ。
琥太郎くんに大丈夫の人ことすらかけてあげることができないなんて…
私は最低だ…
頭の中が騒がしい。
もう、冷静にいられな———
「音色! 大丈夫か!? お前は隠れてろ!」
琥太郎くんの叫びが私に届く。
その時、やっと口が動いた。
「で、でも、琥太郎くんが———」
大きな音の恐怖で口が震えている。
言葉もしっかりと言うことができない。
琥太郎くんにしっかり聞こえていたかもわからない。
…自分の怖いことだけを考えているから、琥太郎くんのこととか、周りの事とかしっかりと考えられないよ…
本当に、何してんだ私…
「大丈夫だ! 俺は大丈夫だ! お前は心配するな! お前は瑠実を探せ! アイツが口軽すぎてさっき教えてくれたんだ! 瑠実はこの島にいるらしい!!!」
…!!!
琥太郎くんが頑張ってくれている…
私が何かしないわけにはいかないよね。
「…うん。絶対に見つけるよ!」
こうして私は走ってその場を後にした。
「あーあ。俺の悪い癖だよなぁ。口軽いの。敵のお仲間さんに知られちゃった。」
琥太郎と戦っていた人物がそう発言する。
「でも、敵の君も僕が今から殺して君のお仲間さんもすぐに殺すから、知られてもあんま関係なんだよねぇ!」
そういいながら琥太郎と戦っていた人物が右腕を振り上げる。
「僕は君らみたいな抵抗者が大嫌いなんだ。抵抗者と出会うと、吐き気がする。パニックになってしまうんだよ。あぁ、吐きそうだ。早く処理しないと…」
そして右腕を思い切り振り下ろす。
ドゴォォォン!!!
また大きな音が轟いた。
なぜなら、琥太郎の隣の岩に振り下ろされた右腕が思い切り振り下ろされたからだ。
「は? 避けたのか? こんなところで抗ってももう意味ないぞ? 死ぬんだもんお前。」
そしてまた右腕を振り上げる。
右腕が振り下ろされる前に、琥太郎はヨロヨロしながら立ちあがり、こう発した。
「俺がやられる? 否、やられるのはテメェだよ。」
「はははっ!!! 面白いこと言うね君! この僕が誰にやられるっていうんだい???」
敵が挑発してくる。
が、琥太郎はそれに怯まず、こう応えた。
「この俺———琥太郎さんにだよ!!!」
そして、琥太郎と敵の反社会抵抗軍の戦いが、本格的に始まったのだった。
十回目の投稿です。
ちょっと今回は書き方を変えてみました。読みにくかったら申し訳ないですけど、この二章からこうやって進む話が増えていくと思います。
あと、今回からちょっとユーザー名を変更します。
これからも連載を続けていくので、楽しんで読んでいただけたら僕はうれしいです。今後もよろしくお願いします。




