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太川るい作品集(全作品ver.)  作者: 太川るい
掌編小説・短編練習
50/65

拳銃

 拳銃の照準を合わせる。


 目的の相手は遠くにいる。まだこちらには気付いていないようだ。


「はやく、こちらを向け」


 そう念じながら、私は銃を構えていた。


 奴がこちらを何気なく見た瞬間、私の弾丸は奴の眉間を撃ち抜く手はずになっていた。




 思いが狙いを通して相手に伝わったのだろうか、奴はこちらを向く素振りを見せた。




 ――――しめた!




 拳銃の引き金に力を込める。


 とたんに、後頭部で鈍い音がした。


 あっと思う間もなく、私はその場に倒れ込む。


 私の背後には、銃を逆さに持っている人間がいた。


 下を向いている銃の持ち手には、私の頭の血がべっとりとついていた。

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