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拳銃
拳銃の照準を合わせる。
目的の相手は遠くにいる。まだこちらには気付いていないようだ。
「はやく、こちらを向け」
そう念じながら、私は銃を構えていた。
奴がこちらを何気なく見た瞬間、私の弾丸は奴の眉間を撃ち抜く手はずになっていた。
思いが狙いを通して相手に伝わったのだろうか、奴はこちらを向く素振りを見せた。
――――しめた!
拳銃の引き金に力を込める。
とたんに、後頭部で鈍い音がした。
あっと思う間もなく、私はその場に倒れ込む。
私の背後には、銃を逆さに持っている人間がいた。
下を向いている銃の持ち手には、私の頭の血がべっとりとついていた。