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太川るい作品集(全作品ver.)  作者: 太川るい
掌編小説・短編練習
48/62

 猫があたりをうろついている。


 いつの間に部屋に入ってきたのだろうか。気付けば背後でかさりと音がしていた。


 猫はそのまま、無言で部屋を散策している。


 なにがそんなに面白いのだろうか。本棚の低いところにある本のにおいをくんくんとかいでいる。


 そんな猫の様子を見たら、こちらもなんだか肩の力が抜けてきた。仕事を一段落させ、軽く伸びをしてみる。


 ひとつ大きな息が出た。手近にあるコップの飲み物を口に含む。頭はぼんやり、今やっていた仕事のことを考えている。あれはあれで、かたがつくものだろうか。


 猫が机の近くにやってくる。彼にしか分からぬ通り道で斜めに机を横切っていく。


 これも猫の仕事のうちなのだろう。それを淡々と遂行しているのに過ぎないのではないか。


 私は仕事を中断した気安さで、そんなことを考えていた。


 口の中に残っていた飲み物を、同じもので更に奥へと流し込んだ。

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