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太川るい作品集(全作品ver.)  作者: 太川るい
掌編小説・短編練習
47/65

石ころ

 道ばたを歩いていると、石ころが足にぶつかった。


 何の変哲もない、握りこぶしより少し小さいくらいの石だ。色は地面のアスファルトよりも少し明るい色をしている。


 私はそれを、何の気なしに蹴飛ばしてみた。


 石は乾いた音を立てながら、向こうの方を転がっていく。


 そうしてすぐに石が止まった時、私の足はその石の方に向かいつつあった。


 何回か、石の近くに寄ってはそれを蹴飛ばしてみる。石はそのたびに、多少の勢いを持って転がりだす。


 私はしばらくの間、この単純な遊びに魅入られた。通りに人はいなかった。それが、私を子供らしい行動に駆り立てていたのかもしれなかった。




「あっ」


 私は思わず声を出した。


 私の蹴った石は、狙いがずれたのか、道のはずれの排水溝に落ち込んでしまった。


 ややあって、水に石が落ちる音が遠巻きに聞えてきた。


 私はなにか、惜しいものでもなくしてしまったかのような寂しさに襲われた。


 私の足には、まだあの石を蹴りたがっている名残惜しさが感じられた。




 ふと見ると、数歩進んだ所に、似たような石が転がっていることに気がついた。私の身体は自然とそちらに向いていた。




 石の前に立ち止まり、片足で蹴ってみる。


 以前の石とは違う感触が、私の中に不満を残していった。

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