第29話 無名權波の企みとサイバーセキュリティ戦
無名權波の行方──掴んだ。
香港。そこからの攻撃。
東京の夜。モニターの青い光が網膜に焼き付く。
目が痛い。瞼が重くて開けていられない。瞬きするたびに、砂を撒いたような痛み。
3日間、ほとんど寝てない。頭がズキズキする。後頭部から首筋にかけて、鈍い痛みが広がる。
コーヒーの味ももう分からない。舌が痺れてる。カップを持つ手が小刻みに震える。
でも──見つけた。指先がビリビリと痺れた。
AI解析の結果。奴は香港に潜んでる。
狙いは明白。上杉グループのデータ。
システムのつなぎ目を──
「なぁ上杉、つなぎ目って具体的には?」
北園が聞く。声が遠い。耳の奥で低い音が鳴ってる。士官学校でも勉強してるはずだけど──
「他の会社と俺たちのシステムを結ぶ接続点。APIとか」
説明しながら、喉がカラカラだと気づく。唾を飲み込もうとして、できない。
「ああ、そこが弱点になるのか」
北園が身を乗り出す。椅子が軋む。
理解が早い。さすがだ。少しほっとする。肩の力が抜ける──が、すぐに戻る。
攻撃は──今日か明日。
胃がキュッと縮む。酸っぱいものが込み上げる。
士官学校に入学したら、直接動けない。
今しかない。でも──背中に冷や汗が流れる。シャツが肌に張り付く。
本当に叩き潰せるか?
無名權波。転生者かもしれない相手。
俺より知識があったら? 喉が締まる。息が詰まる。
……考えても仕方ない。やるしかない。深く息を吸う。肺が痛い。
サイバーセキュリティチームを招集。
グループ内のエリートエンジニアたち。すでに待機状態。彼らの顔にも疲労の色。
「今回の目標は、攻撃を始める前に奴の動きを封じることだ」
会議室に緊張感。空気が重い。肌がピリピリする。香港のネットワーク図を指す。レーザーポインターを握る手が微かに震える。
「システムのドアは全部閉めたが、奴が隠し扉を使う可能性が高い」
北園が首を傾げる。眉間に皺が寄る。
「隠し扉?」
「バックドア。こっそり作られた裏口だ」
唾を飲み込む。喉に引っかかる。口の中が砂漠みたいだ。
「なるほど。そこから入ってくる気配を──」
「あぶり出す」
会議終了。全員が動き出す。椅子を引く音が耳に響く。
データセンターのリアルタイム監視開始。
警戒モード。首筋がピリピリする。肩甲骨の間に嫌な緊張。
深夜2時。
AIが異常を検出。アラート音。
心臓が跳ね上がる。全身の血が沸騰する。
「立川のサーバーに集中してる!」
田中の声。顔が青い。俺の脈拍も跳ね上がる。こめかみの血管がドクドクと脈打つ。
「あと10秒で──」
10秒。
心臓が早鐘のように打つ。肋骨が軋む。手に汗が滲む──いや、びっしょりだ。
長い。短い。どっちだ? 息が止まる。肺が焼ける。
「封鎖しろ!」
叫ぶ。声が裏返る。喉が千切れそうに痛い。
エンジニアたちの手が飛ぶようにキーボードを叩く。
モニターのログデータ。異常なアクセスパターン。緑の文字が画面を流れる。
奴のウイルスがサーバーを──瞬きを忘れる。目が乾く。涙が出そうなのに出ない。
「全サーバーのアクセスを制限。攻撃元を特定しろ」
データが流れ込む。頭が処理しきれない。こめかみがガンガンする。視界の端がチカチカする。
「上杉、これ見てて思ったんだけど」
北園が画面を指す。指先が震えてる──北園も緊張してる。
「パターンがある。3秒周期で──ほら」
確かに。気づかなかった。疲れてるのか。顔が熱い。恥ずかしさで耳まで熱くなる。
「色分けして可視化したら、もっと見えるかも」
北園が続ける。目が輝いてる。洋子さんの影響か?
「田中、やってみろ」
田中が素早く設定変更。指がキーボードの上で踊る。
画面が変わる。色分けされた足跡。
香港のIPが──見える。息を呑む。喉がヒューと鳴る。
「すげぇ……北園、ナイスだ」
胸が熱くなる。目頭も熱い。仲間がいる。
北園がニヤッと笑う。歯が見える。
「洋子に自慢するぜ」
一瞬、緊張が和らぐ。でも──
攻撃元のIPアドレス。香港の特定データセンター。
「奴の居場所を特定した。IPを遮断。痕跡を追跡する」
田中が叫ぶ。
「IP遮断の速度を2倍に!」
チームが動く。防御強化。キーボードの音が機関銃みたいだ。
でも──これで終わり? 腹の底が冷たい。氷を飲み込んだみたいに。
「逆ハッキングを仕掛ける」
言ってから──これ、合法か?
いや、正当防衛だ。たぶん。舌を噛む。血の味がする。……いや、噛みすぎた。
エンジニアたちも驚いてる。目が真ん丸になる。口が開く。当然だ。
普通はやらない。でも──拳を握る。爪が掌に食い込む。
「奴を逃がしたら終わりだ」
本音。次はもっと巧妙に来る。
転生者なら、学習する。成長する。背筋に冷たい汗が一筋、流れる。
だから──今、潰す。奥歯を噛みしめる。顎が痛い。
***
「敵の端末にマルウェアを──」
北園が聞く。身を乗り出す。息がかかる。
「マルウェア?」
「敵の端末に忍び込む仕掛け。ウイルスみたいなもの」
説明しながら、自分の声が遠くに聞こえる。
「忍者みたいだな!」
北園の目が子供みたいに輝く。でも──緊張がほぐれた。肩の筋肉が少し緩む。
指示を出しながら、成功率とリスクを分析。
危険な賭け。でも必要。掌が汗でベトベトだ。マウスが滑る。
「攻撃可能なパスを確保しました!」
田中の声。心臓が跳ねる。胸骨が痛い。
「さすが田中だ。次は防御の最終プロトコルを」
「了解です!」
田中の額にも汗。光ってる。
モニターに攻撃元のシステム内部構造。複雑な図。目がチカチカする。
「上杉、最終プロトコルってのは──」
北園が真剣な顔で聞く。
「AIシステムの初期化や停止のことだ」
説明しながら、声が掠れてることに気づく。咳払い。喉が焼ける。
「なるほど」
「今だ。マルウェアを注入しろ」
数秒。
長い数秒。呼吸を忘れる。心臓だけが動いてる。ドクン、ドクン。
全員が画面を見つめる。瞬きもしない。
攻撃元の端末が反応。
エラーログ。赤い文字が画面を埋める。制御不能。
「端末破壊を確認しました」
田中の報告。声が震えてる。
勝った?
一瞬、全身の力が抜ける。膝が笑いそうになる。でも──
いや──甘い。すぐに筋肉が強張る。警戒心が背筋を走る。
「これで終わりじゃない」
深く息を吐く。肺が震える。横隔膜が痙攣しそう。疲れた。でも──
「奴は必ず次の手を打ってくる」
無名權波。
端末一つ潰した程度で諦める相手か?
違う。もっと──執念深い。胃液が込み上げる。苦い。
俺と同じ、転生者なら。喉の奥が苦い。胸やけがする。
「全チームに告ぐ。セキュリティをさらに強化しろ」
声を張り上げる。最後の力を振り絞る。喉が焼ける。声帯が悲鳴を上げる。
「奴の動きを監視。予測モデルをアップデート」
モニターに映る東京の夜景。
平和そうに見える。でも──瞼がピクピクと痙攣する。右目だけ。止まらない。
どこかで、無名權波が次の準備をしてる。
新しい端末。新しい拠点。新しい計画。背中全体が冷たい。悪寒がする。
北園が隣にいる。肩が触れる。温かい。人の温度だ。
「なあ、これで終わりか?」
北園の声も疲れてる。
「……始まりだよ」
声が震える。疲れか、不安か。両方だ。
本当の戦いは、これから。
士官学校に入ったら──守れるか? 胸が締め付けられる。呼吸が浅くなる。
分からない。
でも、やるしかない。腹に力を入れる。腹筋が震える。
AIモデルの精度を上げる。
チームを強化する。
そして──
無名權波。
次は、どんな手で来る? こめかみの血管がズキズキする。片頭痛が始まった。
夜明けが近い。窓の外が白み始める。鳥の声が聞こえる。
でも、戦いの夜明けはまだ──見えない。霧の中だ。
……いや、見えなくても進むしかない。
震える手で、最後のコマンドを入力した。
Enterキーを押す。小さな音が、やけに大きく響いた。
ネットコン13挑戦中。締め切りは7/23 23:59まで。
最後まで全力で駆け抜けます。
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