第四十四話 「おでん」
イーサンはむしゃむしゃと料理を食べていた。
「・・・・・・・・・・」
クナシャとクロノスは呆れた様子でイーサンを見ていた。
「あのさイーサン、もう少しお上品に食べれない?」
「何で?」
「いや一応この会、他の国の有力者とうちの国の重鎮達も来てるから・・・」
「先生、クナシャ様の言うとうりですよ。もう少し品のある食べ方をしてください。」
二人がそう言ってる間にもイーサンは、むしゃむしゃと料理を食べていた。
「聞いてる?」
「ん?何?」
「・・・・・・・・・・」
「いや〜、重鎮の話までは聞いてたけど、これから聞いてなかったな。」
するとクナシャは静かに手から雷を生み出し、クロノスはナイフを持った。
「イーサン・・・作法というのを教えてあげるよ。」
「そうですね、先生、クナシャ様からご指導されていただいたらどうです?」
「ああ、じゃあ教えてもらおうかな。」
「じゃあまずはこの雷を・・・」
「その雷をどうするんだ?」
「こうする。」
クナシャはイーサンに雷を撃った。
大広間に雷の轟音が響いた。
「ギャー!!」
ブルーガル国滞在、最後の朝
全く昨日はえらい目にあった、お別れ会が本当のお別れ会になるとこだったよ。
イーサンはベットに仰向けで目を開け寝転がっていた。
このふかふかのベットとも今日でおさらばか。
イーサンは起き上がり、リュックを背負った。
すると部屋の扉が開き、クナシャが入って来た。
「おはよう。」
「どうしたんだ?また雷撃ちに来たのか?」
「違うよ。・・・確かイーサンは今からカラント地方に行くんでしょ。何か助けをいらない?」
「え、助けて何?もしかしてお前が来るとか?やめてよ。」
クナシャは怒りたかったがグッとこらえた。
「あのね、もしそうだとしたら、この国は国王が不在になるよ。」
クナシャは怒らないようにこらえていたが、少しオーラが漏れ出している。
「・・・イーサン、たまたま今日作り出した空間魔法があるんだ、どう?その魔法の実験台になってみない?」
不器用な人いや魔人だな。
「実験台か・・・いいぜ。ただし、殺さないでくれよ。」
二人は洞窟内に居た。
洞窟内は広かった。
「じゃあイーサン、そこに立っておいて。」
「ああ、わかった。」
俺はクナシャが言ったとうりその場に立っていた。
「それじゃあ、始める。」
クナシャはイーサンに向かって左手を伸ばした。
「イーサンもう一度聞くけど、カラント地方だよね。」
「そうだが、何故聞いた?」
「いや・・・確認のために。」
クナシャは再びイーサンに向けて左手を伸ばした。
「イーサン、また会おう。」
クナシャは伸ばした左手で指パッチンをした。
イーサンは見知らぬ草原に立っていた。
「ここ何処?」
イーサンは辺りを見回した。
どっかの草原のようだけど・・・
イーサンは何かを考えていたがとりあえず、歩けば何とかなるだろうと思い、太陽を確認し、歩いた。
いやほんとに、飛ばされたのが沼地とかじゃなくてよかった。
下手したらまた、トカゲ達に追いかけ回される。
イーサンは仮面を外してしばらく歩いていると、何やら移動式の屋台が見えた。
何の屋台だろう?
てか、何で屋台あんの?
屋台内の会話。
茶色の髪の屋台の店主は鍋で具材を煮込んでいた。
手前の席では黒いスーツを着た、筋肉質の男性が座っている。
「ヘブン様、いいのですか?優雅に料理をお食べてになっていても。あの方から何か頼まれていますが?」
「わかっている、今はちょっと休憩中だ。」
「そうですか・・・!」
店主は何か気配を察知した。
「ヘブン様、殺意はないですが、こちらに何者かが近付いております。」
ヘブンは赤ワインを飲んだ。
あれ何の屋台だろ?
のれんが垂れているからわからないな。
ラーメンの屋台か、おでんの屋台か、はたまたケパブの屋台か。
でも、お客さんが居るということは安全なはず。
グリッチはのれんをくぐると、見たことがある鍋が置いてあった。
グリッチは背もたれのない椅子に座った。
もしかしてこの屋台はおでんの屋台のだろうか?
でも・・・これは果たしておでんと言えるのか。
「店主、これと、これと、これをくれ。」
グリッチは、触手に串の刺さった具材と、おでんの大根のように輪切りに切られた野菜と、肉が串に刺さっている具材を指を差した。
そして、店主はグリッチが指を差した具材をお皿に入れ、グリッチの席に置いた。
改めて見てみると、これおでんじゃないよね。
まあ、見慣れない具材だからそう思ってると思うけど・・・
「お客様、お飲み物はどういたしますか?」
「あ〜そうだな。」
グリッチはメニューを見た。
「じゃあ、モスカートを」
モスカートは、白ぶどうのジュースのようなものです。
グリッチはまず、串に触手が刺さった具材を食べてみることにした。
恐る恐る食べてみたらびっくり!
とても美味しかった。
この触手めっちゃ柔らかい。
次は、おでんの大根のように輪切りに切った野菜を食べてみた。
食べてみるとこれも美味しかった。
よく出汁が染み込んでいる。
次は、肉が串に刺さっている具材を食べてみた。
これもとても美味しかった。
最初の具材の様にめっちゃ柔らかかった。
しかもこの出汁・・・鰹節から取った様な味がする。
「全く物好きな者も居るものだね。」
隣の男性が話しかけてきた。
「褒めてくれどうもありがとう。俺はグリッチ・マクベイン。君は?」
「俺は、ヘブン・ブローニュ。」
「あとついでに聞いてもいいか?店主さんは何て、名前ですか?」
「私は、ビクと申します。」
「ところで、お前がグリッチ・マクベインか。聞いていたより可愛いじゃないか。」
「それはどうも。」
それとあまり強そうではなさそうだが。
「俺も有名になったもんだね。」
「それでグリッチ、俺を殺しに来たのか?」
グリッチは少し困惑した表情を見せた。
「いや、殺しには来てないよ。でもどうしてそんなことを思ったんだ?」
「じゃあ何故、こんな所に居る?」
「何故って・・・空間魔法で転送されてね。」
「そうか・・・話は変わるが、剣術大会の襲撃者、スカーレットを覚えているか?」
「ああ、覚えてる、確か爆発して死んだ・・・たがどうしてそんなことを話す?」
「グリッチ、俺がそのスカーレットの仲間だと言ったらお前はどうする?」
「どうもしねーよ。」
ヘブンは困惑した。
「何故だ?なぜ俺に殺そうとしない?」
「ヘブンあのな、俺がスカーレットを殺したのは人様に危害を加えていたからだ。お前はまだ俺に危害を加えていないだろ、今こうして二人で平和にご飯食ってるわけだし、殺す理由もない。俺わね、そんなしょっちゅう殺しをやっていない。」
「だがお前の目的は魔王討伐だろ。その魔王の部下を殺したいと思わないのか?」
「馬鹿かお前は、俺の目的はあくまでも魔王討伐だ、魔王の部下なんて殺す義理もない。たが・・・その邪魔をするのなら殺さないといけなくなる。」
「これは驚いた。俺も今のところ邪魔をするつもりもないし、俺は今この状態を楽しんでいる。たが、いつの日かお前の邪魔をする時があるかもしれないぞ。」
「その時はその時だ。」
それから三人は料理を食べながら話した。
「ワハハハハハ、そんな事が。」
「そんなんだ、だから俺はその男達に言ってやった、俺を殺したかったら佐藤雄大を呼んで来いと。」
「ほぉ〜、その佐藤雄大という者はお前より強いのか?」
「強い、強い、俺の百倍は強い。ヘブンも戦ってみればわかるよ。気づいたらどっかの壁に吹き飛んでる。でも雄大先生は・・・」
「先生ということは、その佐藤雄大という者は・・・」
「そう、俺の師匠。でも、話聞かないし、気づいたらどっかに行ってるし、弟子に容赦ないし。ほんと面白い先生だった。」
※グリッチみたいだね。
「だとしたら、俺もお前の師に一度会ってみたいものだ。」
「会ったとしても絶対戦っちゃいけないよ。普通に瀕死状態になるから。」




