第四十話 「雷おばさん」
それから一日が過ぎアグネス達を乗せた竜車はブルーガル国近くの道でアグネス達を降ろした。
理由としては魔物の国には入りたくないとのこと。
ブルーガル国はそんな怖くないのに・・・でもちょっとばかし乱暴な者が多いだけなのに。
「ありがとう。」
「それではご武運を。」
竜車の主人はそう言いアグネス達から去った。
「さてここから歩きとなるいつどこで魔物が襲ってくるかわからない。皆気を引き締めるように。」
「おう!!」
「承知。」
「わかった!!」
イーサンは仮面を外し宮殿内を歩いていた。いや待てよ仮面を外しているということはイーサンじゃなくてグリッチか。
今日はいい天気だな、本当にディバイヤが近づいているのか疑うレベルで。でももしかしたら嵐の前の静けさみたいなやつか?だとしたら嫌だな。
まあそんな事は朝ご飯を食べて考えますか。
グリッチは食堂の扉を開けるとそこには食事中のクナシャが居た。
グリッチはゆっくりと扉を閉めるとクナシャが食事を止め「おいちょと待て。」と言った。
「はいなんでしょうか?」
「何でここに君が居るんだ?グリッチ・マクベイン。」
どうしよう。早く良い言い訳を考えないと。
「トイレ探してたら迷っちゃって気づいたら宮殿内に居るとは思いもしなかったです。」
※それは無理があると思うぞグリッチ。
「まあいい。グリッチ、イーサンを見なかったか?」
イーサンの正体俺。
「いや見てないな。まだ寝ているんじゃないか?」
「全く朝食の時間だというのに・・・仕方ない叩き起こしに行くか。」
クナシャそう言うと立ち上がり扉に向かって歩いた。
「あーとクナシャそれがだな・・・」
ヤバイ答え方間違えた。
そうだったクナシャは俺がずっと寝ていたら起こしに来るんだった。
「クナシャたまにはイーサンをぐっすりと寝かせてみるのはどうかな?イーサンも弟子の稽古や・・・・」
「や、何だい?」
やっべー考えてみれば俺・・・この国に住んでクロノスの稽古しかしていない。他に何もしていないいや待てよ石像壊すぐらいならしたぞ。
「とにかくイーサンは疲れているんだ。たまにはぐっすりと寝かせてみるのはどうだ?」
「グリッチがそう言うなら・・・たまにはイーサンもぐっすりと寝かせてあげないとね。」
な、な、なんとかなったー
良かった。
グリッチはホッとした。
「それじゃ俺はそろばん塾があるので・・・」
グリッチはその場から立ち去ろうとしたが・・・
「ちょと待て。」
クナシャはそう言いグリッチの頭を掴んだ。
「グリッチよ君はトイレを探して迷ってこの宮殿に入って来てしまったと言ったよね。」
「はいそうです。」
この喋り方もしかして・・・
「別に怒っているわけではないんだよ。ただ不法侵入をするとは凄い度胸だなと思っているだけだよ。」
クナシャからは青色のオーラが溢れ出していた。
後ろに振り向かなくてもわかる、間違いなく怒ってる。
「いやーそれ程でも。」
グリッチがそう言うと頭を掴んでいる力が強くなった。
「本来この国では不法侵入という行為は犯罪であるけれど今回は許すその代わり。」
「その代わり?」
「クナシャ、クナシャさん目がマジの目をしてますよ。聞いてますか?クナシャさん。」
「悪い子にはお灸を据えてあげないといけないね。」
「ちょと待ってクナシャ目がマジ、目がマジだって。あとその手に持っているの何?ビリビリしてるけど・・・ねえ聞いてる?」
すると次の瞬間食堂の内から雷の轟音が聞こえた。
「ギャーー!!」
「全くえらい目に遭った。仮面被ってないとあんな目に遭うなんて・・・今度から宮殿内を歩くときは仮面を付けておかないと。」
そうグリッチは心に誓った。
しかしまあクナシャの雷の魔法凄かったなまだ左手が痺れてる。
「お、イーサン起きてたんだ。」
「げ、雷おばさん。」
「誰が雷おばさんだって?」
クナシャからは青色のオーラが溢れ出していた。
クナシャは怒っている。
「さっきグリッチにお灸として雷を撃ち込んだけどイーサン、君も雷を撃ち込まれたいのかな?」
クナシャの右手には雷の稲妻が現れている。
「じょ、冗談だよクナシャ、アーキョウモ、クナシャハウツクシイナー。」
もうあの雷は食らいたくない。
「イーサン、棒読みだぞ。」
「ここが魔物の国ですか。」
アグネス達はブルーガル国の首都を観光していた。
「フラシス帝国の首都ぐらい発展しているんだけど。」
「・・・・・・」
「フィリスは何度かこの国に来た事があるって聞いたが何でそんな驚いているんだ?」
「いや、私が四十年前に来た時とかなり変わっている。四十年前には中央広場にあんな塔は無かった。」
するとアグネスのお腹がグ〜と鳴った。そしてアグネスは顔を赤くした。
「確かにお腹空いたな。何処かで食べるとするか、アグネス。」
デニスはアグネスのお腹に向かってそう言った。
「デニス・・・」
後ろでは今にも短剣を抜こうとしていたフィリスが赤色オーラを放ち立っていた。
「すいませんでした。もうしません。」
何処の世も女性が強いのだ。
イーサンは冒険者カードを見ていた。
冒険者カードにはグリッチ・マクベイン、男、Dランク冒険者と書かれていた。
ここに来てから数日、依頼をサボっていたから冒険者ポイントが一向に上がってないな。
そろそろ本業を頑張んないといけないな。
※あんたの本業は魔王退治です。
あとな〜んか忘れているような・・・?
「グリッチ様遅いな。行方不明届け出さないといけなくなるかも。」
まっいっか。いつか思い出すでしょ。
するとコンコンと扉がノックされた。
「イーサン入るぞ。」
クナシャはそう言いイーサンの部屋に入った。
「イーサン少し話したい事がある。ここでも構わないか?」
「良いが・・・何だその話したい事は?」
随分深刻そうな様子だな。珍しい。
「え・・・!ディバイヤの魔力が増えた!?・・・と言っても俺に何の関係があるんだ?」
「会議で話しただろうこのディバイヤ討伐作戦はイーサンが受け持つと。」
「そういえばそんな話してた様なしてなかった様な。」
「とにかく僕が何であの時の君にディバイヤ討伐を任せたのは魔力がまだ今よりも弱く向かわせても大丈夫だと判断したからだ。だが今は違うディバイヤの魔力は強大になり例え君でも歯が立たないぞ。」
「ちょーと待ったクナシャ、言っておくがやってみないとわからない事もあるぞ、案外あっさりとディバイヤ倒せるかもよ。」
「だが・・・」
「あのなクナシャお前は最初から俺にはディバイヤに勝つのは無理だと思ってるだろ。だがなそんな思い込みは簡単に言うと壊れるぞなんたって今さっき言ったとうりやってみないとわからないのだから。」
「・・・・・・」
「大丈夫だって例え魔力が強くなってもただディバイヤの魔法攻撃が強くなるだけだろ?表面を覆ってる鱗がもっと硬くなったわけじゃないし簡単に斬れる。自自分で言うのもあれだが・・・俺は強いぞ。」
「そんなのわかってるよ。悔しいけど君は僕よりも強いだけど・・・ディバイヤは君が思っているよりもそんな甘い相手じゃないそれでも君は大丈夫だと言うのか?」
「クナシャこんな言葉を知ってるか?希望を捨てるな。俺のクソ恩師の言葉だ。俺も最初ふざけているのかと思った。だかな戦っているとき希望を持っている時と希望を持っていない時は圧倒的に希望を持ってる時の方が強いんだなぜかわかんないけど。でもクナシャ、相手が圧倒的だからと言って希望を捨ててはいけないお前はこの国の主だそんな奴がそんな弱気でいいのか?それをお前の部下、国民が見たらどうなると思う?」
「ディバイヤ討伐の士気も下がってしまう。それどころか国内が混乱状態になってしまう。」
「それがわかってるならそんな弱気になってないでドーンと構えておけ、そんな心配そうな顔しなくていい、クナシャ俺を信じろ。俺が負けて死んだとしてもお前の部下ではないし誰も悲しむことはない。その時は俺の落ち度ってことで事を片付けて欲しい。」
「・・・ワハハハハ、君は本当に面白い、僕の部下になって欲しいぐらいだよ。まあ部下になって欲しいのは冗談だけど。僕は少し気が張りつめていたのかもしれないイーサンの言葉で少し楽になったよ。ありがとう。」
「それはどういたしまして。それで作戦は今まで通りって事でオーケー?」
「オーケー。」




