第三十三話 「先生」
朝になるとイーサンは宮殿から外に出て街中を走った。
朝だというのに街には魔物達が沢山歩いている。
人間とかだったら朝の時間なんて(街中)ほとんど歩いてないのに。
魔物は朝型が多いのだろうか?
そしてイーサンはかなりのキョリを走り宮殿に帰るとクナシャが待っていた。
「イーサン何処に行ってたんだ!とっくに朝ご飯の時間は過ぎているぞ!」
「朝ご飯あるの?」
「当たり前だろ、一応客人なんだから。」
俺は客人という扱いらしい。
そしてイーサンは食堂に向かい朝ご飯を食べた。
今日の朝ご飯はパンと野菜スープあと焼き魚。
ごく普通の朝ご飯。
イーサンはパンを食べると驚いた、何故ならいつも食べているパンの食感や味が違うからだ。
めちゃくちゃ弾力があるしかも何だろうこの味・・・まるでトウモロコシの様な。
やっぱり種族が違えばパンの食感や味も違うのだろうか?
次に野菜スープを飲んだがこれは人間の世界でも飲んでいたスープと同じ味がした。
次に焼き魚を食べると今まで食べた焼き魚の中で最も美味しかった。
美味い!
野菜スープとかはスプーンでいいが焼き魚は箸で食べたい。まあフォークとナイフで食べれないことはないけど・・・
イーサンは朝ご飯を食べ終わると昨日、風呂場で話しかけてくれた鬼人を探した。
俺にその剣を教えてくれませんか・・・なんてとんだもの好きも居るもんだな、俺の剣なんてこの魔剣士の世の中で何のやくにもたたないのに・・・
いや、魔法が使えなくなった時に役に立つかもな。
近くの森の中。
二本角の青髪の鬼人は木刀で素振りをしていた。
素振りをすたびにブンと音が響く。
あの剣・・・
二本角の青髪の鬼人はイーサンのあの時の戦いを思い出しながら素振りをしていた。
全く見えなかった。そして剣で斬られた断面を見たが段差が無くとても綺麗だった。
あんな事が出来るのは余程を剣を極めた者しか出来ない。
流石、西国剣術大会優勝者。
二本角の青髪の鬼人は切り株の上に置いておいた革製の水筒を手に持ち、水を飲んだ。
水を飲んだら二本角の青髪の鬼人は再び木刀を持ち素振りを始めた。
しばらく素振りをしているとある者が二本角の青髪の鬼人に話しかけてきた。
「探したよ、どう?素振りの様子は?」
二本角の青髪の鬼人は声が聞こえた方に振り返ると、そこにはイーサンが立っていた。
「貴方でしたか。素振りの方はまずまずといった感じです。」
「・・・君を探した理由はわかるね。」
「はい。」
「昨日君が、俺の剣を教えてほしいと頼んだね、一日考えた、こんな俺が君みたいな凄い鬼人の先生となっていいのか。こんな人殺しが君みたいな綺麗な目をした鬼人の先生なっていいのか。でもこうやって君と話したらと答えが出たよ。君に、俺の剣を教えてあげよう。」
「本当ですか?」
興奮を抑えつつ二本角の青髪の鬼人はそう言った。
「本当だよ。そういや名前聞いてなかったな、何て名前なんだ?」
「俺の名前はクロノスです。」
「それじゃあクロノス一つ聞きたい、君は、俺に教わった剣をどのように使う?」
「・・・・・・」
クロノスは何て言えばいいのか考えていた。
「いきなりこんな質問したらそりゃあ黙るよね。」
「・・・クロノス、今から俺が教える技の中には使い方によっては人や魔物を守ることも出来るしそれを殺すことも出来る。そのことを頭に入れておいてくれ。」
クロノスは黙ってイーサンの話を聞いていた。
「じゃあ早速だか模擬戦といこうか。」
「いきなり実戦ですか?」
「よく言うじゃん。実戦に勝るものは無しって。」
「はいクロノス。」
イーサンはクロノスに剣を投げ渡した。
クロノスはイーサンが投げた剣をキャッチし鞘から抜くと木刀ではなく真剣であった。
「いきなり真剣ですか?」
「クロノスはね。」
俺だけとはどういう事だ?
イーサンは木刀を構えずただ持っていた。
「掛かって来い。」
「本当に良いんですか?真剣と木刀での勝負なんて。」
「大丈夫、大丈夫。」
後悔しないでくださいね。
クロノスは剣を構えイーサンに斬り掛かった。
捕らえた!
クロノスはそう思ったが次の瞬間クロノスの目線からイーサンは消えた。
消えた!?だとしたら何処に・・・
トントン。
クロノスは背後から左肩を叩かれ後ろ振り返るとそこにはイーサンが木刀を持って立っていた。
するとイーサンがクロノスの横腹に木刀を当て「一本」と言った。
「やはり先生は強いですね。」
「そうか?クロノスこの模擬戦に伝えたかったことは一つ前ばかりじゃなくて後ろも注意しとかないといつのまにか後ろに移動されて殺されちゃうぞって事。」
それからイーサンはクロノスの能力を知るため色々な事をさせた。
「クロノスはスピードが優れている、だがその反面筋力が弱い、ということで筋力を鍛えよう。」
「でもどのようにですか?」
「取りあえず、腕立て二百回、上体起こし四百回、丸太投げ五十回、スクワット四百回、木刀素振り千回、真剣素振り千回かな?」
クロノスは嘘だろという表情をしていた。
「どうしてそんな顔してんの?まだこれ軽い方だよ。」
本当に軽い方だよ。
「でも今日は日が落ちてきてるし、明日かな。」
※ただいま夕方。
「それでは、先生。」
クロノスはそう言いイーサンの下から去っていった。
「あ、そうだ、クロノスー!沢山ご飯食えよ。」
いずれ食トレしてもいいかもな。
俺も帰るか、クナシャが心配するかもしれないし。
宮殿に帰るとまだ夕ご飯の時間ではなかった。
そして、イーサンはクナシャの仕事場に向かった。
クナシャの仕事場に入ると、クナシャが椅子に座りながらぶっ倒れていた。
だがイーサンは慌てなかった。それはなぜか、クナシャの机の上には山のように積み上がった紙が三つほど置いてあったからだ。
イーサンはクナシャのもとに向かいクナシャを起こそうとクナシャの体を揺らした。
「おーいクナシャ起きろー。夕ご飯の時間だぞ。」
するとクナシャは起きた。
「ああバイロンか・・・最近仕事が多くてさ建国祭があった後急激に入居者が増えてビザ発行しないといけないし、建物の建築許可書が以前の三倍増えたり・・・それから各現場も視察に行かないといけないし・・・もう国王辞めたい。」
そう言うとクナシャまた眠りについた
「おいクナシャ、俺バイロンじゃねーぞ。寝ちゃったし先に夕ご飯食っとこ。」
イーサンは夕ご飯を食べ、お風呂に入り、自分の部屋で寝た。
次の日。
イーサンはクナシャの仕事場に行くとまだクナシャは椅子に座りながら寝ていた。
「今日教える技は三段突き、簡単に言うと三回正面に突き刺す技かな。」
「やり方は簡単、ただ踏み込んだ瞬間に三回突けばいいだけ。どう簡単でしょ?」
「先生にとっては簡単でしょうけど、俺にとってはかなり難しいですよ。」
「だったら転とかにする?でもそっちの方が難しいかもしれないけど。」
どんどん知らない技が出てくる。
クロノスはそう思った。
「それじゃあ三段突きの手本を見せてくださいよ。」
「わかった。じゃあ見といてよ。」
イーサンは鞘から刀を抜き、木に向かってまっすぐとした姿勢で刀を構え、素早く踏み込みながら刀を木を三回突いた。
だが木は一回目の突きで、後ろの方に吹き飛んだ。
凄い。
「これが三段突き。これをクロノスにやってもらう。」
「先生・・・」
「どうしたんだい?」
「これ無理です。俺には。」
「大丈夫クロノスにはスピードがあるんだから。俺みたいに一発目の突きで木を吹き飛ばさなくていいんだから。」
「あとやってみるとわかんないよ。案外あっさりできるかもよ。」
「そうですかね。」
クロノスはまっすぐとした姿勢で剣を構え素早く前に踏み込みながら三回突こうとしたが三回突けず突けたのは二回だった。
「二回か。やっぱり筋力トレーニング増やさないといけないかな?」
イーサンは呟いた。
嘘でしょ。これ以上増やされたら本当に死んでしまう。今日のトレーニングだって死にかけたんだから。




