第十三話 「いろんな名前」
グリッチは動物図鑑を見ていた。
それは何故かって?
それは最近外で遊んでる時、知らない動物が沢山現れるからだ。
あと、ある程度動物の名前を知っとけば、いちいちダニエルに聞かなくて済む。
グリッチは図鑑を持って外に出た。
すると空に白色の兎の姿をした動物が耳を使い飛んでいたので、さっそく図鑑で調べると、どうやらその動物はアイランドワーフという名前だった。
あれアイランドワーフっていう名前の動物だったんだ、初めて知った。
空飛んでるし、この世界でいう鳥みたいなものか。
他にも牛のような生物を見かけ、図鑑で調べた。
ちなみにこの動物は、タキフォードという名前。
俺はいつもこの牛を、石窯クラッシャーと呼んでいたが、タキフォードっていうちゃんとした名前があったんだな。
グリッチはそれからも、知らない名前の動物を図鑑で調べた。
グリッチの前に、毛が青色の小さな猫が現れた。
「この動物わっと・・・」
グリッチは必死に、その猫の姿をした動物を図鑑で探していた。
「見つけた。お前、イズリントンっていう名前の動物なんだな。」
図鑑には、世界で最も小さな猫と書かれていた。
グリッチは、イズリントンの頭を撫でて、どっかに行った。
イズリントンの毛はとても柔らかった。
グリッチは、川に向かった。
川に着くとグリッチは、裸足になり川に入って魚を探した。
川の水はとても冷たかった。
この川の水・・・思っている五倍ぐらいは冷たいな。
毎度思うけど、ここの川は綺麗だな、こんな綺麗な川、転生前の世界ではなかなか見ることができなかった。
そんなことを考えていると、体長約十六センチの魚を見つけた。
だが水面は波立っていてグリッチからは姿がよく見えない。
するとグリッチは、目にも止まらぬ速さで、その魚を掴み取った。
グリッチの素早さがここで発揮されるとは。
グリッチが捕まえた魚には、両側に黄色い斑点が一つずつ付いていた。
そしてグリッチは事前に作っておいた生簀に捕まえた魚を入れた。
そしてグリッチは、捕まえた魚を図鑑で調べた。
「この魚名前は、ヒラウオっていうのか。」
グリッチは、ぼそっと言った。
せっかく捕まえたし食べてみよう。
こうして図鑑を見ていると、まだまだ世界にはいろいろな動物が居るようだ。
「なんだこの動物?」
犬のようなライオンのような姿をしたよくわからない動物が図鑑に載っていた。
おや?何か挟まってる。
なんだろう?薄っぺらい紙が入ってる。
「え・・・」
俺は、困惑した。
どうしてこんなものがここに挟まっているんだ?
なんと図鑑に挟まっていたのは、女性のビキニ写真だった。
しかも美人のエルフ。
でもどうしてだろうか?なぜこのようなものを図鑑に挟んでいたのだろうか?
謎は深まるばかりだ。
でもしいて言えばこの図鑑・・・お父さんの部屋から持ってきたものだから、そういうのが入っててもおかしくないのかもしれないな。
家に帰ったらこの写真お母さんに渡そう。
グリッチは、魚を食べ終わるとまた動物探しを再開した。
グリッチは、鼻歌を歌いながら歩いていた。
ていうか今思うけど、この世界に写真とかあったんだ。
でもこの写真・・・もしお母さんに渡したら、お父さんどうなるのだろうか?
あの時みたいには怒らないと思うけど、軽く骨折ぐらいするだろうな。
でもあの時、危うくお父さんの腕が吹き飛ぶとこだったから。
もしかしたら軽く骨折じゃ足りないかもしれない。
でも危なくなったら俺が止めに入ろう。
あの人、怒ると怖いからな。
グリッチは家に帰ると、お母さんにあの写真を渡した。
「お母さん図鑑にこんなものが挟まってたんだ。」
「あらまあグリッチ、その図鑑どこから持ってきたの?」
どうしようか、ここでお父さんの部屋からと言ってしまったら、とんでもないことが起きるだろう。
でも、図鑑にあんな写真を挟んでいたんだ、お父さん、強く生きてくれ。
「お父さんの部屋から持ってきたんだ。」
そう言うと、お母さんの背後に若干鬼のオーラが出ていた。
「お母。」
エディーがアリスに何か言おうとした時、グリッチはエディーの口を塞ぎ。
「今のお母さんは、話しかけていい状態じゃない。」
と、小声で言った。
「もしお母さんに何か用事があったらまずお兄ちゃんに言え、なんとかするから。」
「わかったよ、お兄ちゃん。」
二人は小声で話した。
「取りあえず、今のお母さんには話しかけるなよ。」
「う、うん。」
グリッチは部屋に戻るとベットに寝転んで、特に何も考えずゴロゴロしていた。
夕方になりアルバートが帰って来るのが窓から見えた。
アルバートはまだ知らない、家に帰ると自分がとんでもない目に合う事を。
下ではお母さんが夜ご飯を作っており、いつもより包丁のコンコンという音が少し大きく聞こえる。
お父さんが家の扉を開けた瞬間、急に辺りが涼しくなった。
グリッチは、二階の部屋から一階に降りて少し隠れてどんな感じになるのか見ていた。
「ただいま。」
「お帰りなさい、あなた。」
アリスは笑顔だった。
それはそれは満面の笑みだった。
「アルバート、ちょと話したい事があるのだけれど良いかしら?」
珍しい、お母さんがお父さんの名前を言うなんて。
「な、なんだ?急に話したい事って。」
お父さんは凄く動揺している。
「アルバート、これ何?」
そう言うと写真をアルバートに見せた。
「どうしてこれが・・・」
アルバートは小声で呟いた。
「アルバート、説明、してくれるわよね。」
アルバートは必死に言い訳を考えていた。
「えっと、その写真は拾ったもので・・・」
どうやらお父さんは言い訳が下手なようだ。
「そうなの、でもどうして図鑑にこの写真を挟んでいたの?」
お父さんよ諦めろ、ここからなんとかするのはもう無理だ。
「アルバートこっちに来て。」
アルバートは、何かを察したようで、少しずつアリスに近づいていった。
そんなアルバートを見てアリスはイラついたのだろう。
「早くこっち来いよ!」
と、怒鳴った。
それを聞いたアルバートは、慌ててアリスの方に近づいた。
そして、グリッチはとても驚いていた。
なんせアリスが怒鳴るのを見たのは、産まれて初めてだからだ。
「おい、アルバート、お前一本ぐらい骨が折れても仕事に支障は起きないだろ。」
アリスはそう言うとアルバートの右腕の骨を折った。
「ぐっっ。」
とても痛そうだ。
正直に言うと今のお母さんはめちゃくちゃ怖い。
まさかお母さんがあんなに怖いとは知らなかった。
これからはあまりお母さんを怒らせないようにしようとグリッチは心の中で誓ったのだ。
「お兄ちゃん何してるの?」
グリッチは驚いた様子で後ろを振り返った。
「今お兄ちゃんはな、秘密の任務をしているんだ。ここは危ないから、エディーは二階の部屋で遊んでて。」
「えー何その秘密の任務って?気になる。」
もし今のお母さんの様子をエディーに見せてしまったら、エディーはお母さんを怖がるだろうな、それは何としても避けなければならない。
「当然どうしたの?お兄ちゃん。」
グリッチは、エディーを抱っこし、二階の部屋に連れて行った。
連れて行ったというか、連行したというのが正しだろう。
夜ご飯の時。
「お父さん元気がないけど、どうしたの?」
「グリッチ、お前に大切な話がある。」
「もし結婚したらエッチな物とか持たないようにするんだぞ、もし持ってるのがバレたら、痛い目に遭うからな。」
どうしてだろうか、今日のお父さんの言葉には説得力がある。
それはそうだろう、右腕の骨を一本折られたんだ、説得力が無い方がおかしい。
でも骨一本で済んだんだ、良かったな、お父さん。




