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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第90話 オールスミス

「えっと、サキナさんは白桜の生徒なのですか?」


「今は高等部三年よ」


「先輩だったんですね、ですがこの時期に別のパーティーやクランにというのはどうしてでしょうか」


 レイネが言うように、高等部三年に上って間もないこの時期に新しいパーティーへというのはおかしな話である。


「疑問はもっともだね、理由は先程見てもらった刀も関係しているのだけどね。先ほど見てもらったように私の作るものはどうもパーティーメンバーには納得がいかなかったようでね」


「えっと、いわゆる追放ってことですか?」


「有り体に言えばそうなのだけど、私から脱退を申し出たから違うとも言えるね」


 サキナの話をよくよく聞いてみると、どうやら高等部二年になったときにサキナのパーティーはクランに誘われ入ったらしい。ただなにが気に食わないのかクランリーダーに疎まれていたということだった。それでも一年間はなんとかサキナなりにクラン全員の装備の点検などで貢献をしていたようだが、高等部三年に進級したときに追放するという流れになった事をきっかけに抜けることにしたということだった。


  ただ中等部の頃からパーティーを組んでいて面々は一緒にクランから抜けるとまで言ってくれたのだが、抜けた後のあてはあると言って一人抜けたというながれのようだ。実際は何のあてもなくどうしようかと思っていた所へ、リンネたちが尋ねてきたということだった。


 最初はおじいちゃんの客だと思っていたのだが、よくよく見ると今をときめく新進気鋭のクランだということに気がついて、ダメ元でお願いをしたということだった。自分の腕はまだおじいちゃんのほどではないが、それでもそこそこの物を作れると確認してもらったうえでの提案でもあったのだと。


「えっと、みんなはどう思う? というよりサキナさんパーティーリーダーもクランリーダーも私じゃなくてリンですからね」


「えっ、レイネさんがリーダーではなかったのですか」


「そうですよ、そもそもどうして私がリーダーだと思ったのですか」


「いや、その、言いにくいのだけど、リンネさんはどこか違和感があって……、すみませんきっと私の勘違いですね。今は全くそんなふうには見えないのですけど家の前で見かけたときになぜかそう思ってしまって」


 それを聞いてリンネたちは内心では驚いているようだが表情には出さないようにしているようだ。そして改めてクランに入れてほしいというサキナがリンネに頼み込んでいる。


「俺としてはクランに装備の整理を任せられる人が入るのは大歓迎だけど、みんなはどう思う?」


「私はリンがいいのなら良いと思うよ、それにさっき見せてもらった刀も今の私にはちょうどいいと思うから作ってもらえるなら助かるかな」


「ボクもいいと思うよ、でも一応他のみんなにも聞いたほうが良いかな」


「サキナさんのお噂はお聞きしておりますわ、メンテナンスだけでなく様々な装備を作ることが出来るのだと伺っておりますが、そのマキナさまを追い出したクランリーダーの考えが全くわかりませんわね」


 結局今この場では決められないということで、明日学園のクラン室へ来てもらうことになった。クラン室で他の皆の意見を聞いて決めるということみたいだ。


「それとクラン加入とは関係なく、今の私でいいならレイネさんの武器制作は受けるけどどうしますか?」


「サキナさんが良いのでしたらお願いしたいかな」


「わかりました、それではその依頼お受けします、お金はちゃんと貰うけどね」


「はい、お金はちゃんとお支払いしますし、素材も集めてきているのでお願いします」


 この後は鍛冶場へ移動して、素材を引き渡し、どういった物を作って欲しいのかなど色々と話し合い、契約書を交わして手続きを済ませて帰宅となった。



 結局のところサキナは反対されることもなくすんなりとクランに加入が決まった。高等部三年生ということで、課題などもあるのだがむしろ三先生がいないと入れないダンジョンなどもあるので、その事もサキナが加入するメリットとして考えられた。そもそもリンネたちが困った人を放っておけない性格なわけで、はじめから拒否されることはなかったであろう。


 正式に加盟が決まったあとは、クラン室に集められていた様々な素材を見て創作意欲が沸いたのか、レイネの刀を作る合間にも様々な装備品を作り始めた。そして夏を迎える頃にはリンネたちの装備は一新され、今まで苦戦していたタンジョンも余裕を持って攻略できるようになっていた。


 そして様々な素材を使い装備を作り続けた結果サキナはクラスが進化し、レアクラスの職人オールスミスへと進化を果たしていた。サキナが以前所属していたクランでは装備のメンテナンスはしていても、素材を使っての装備の作成などはさせてもらえなかったためにクラスの経験値はたまらなかった。


 打って変わってリンネたちのクランでは、使える素材はよりどりみどりで中にはリンネたちが知らずに溜め込んでいたレア素材なども使い放題で、失敗してゴミを作り出しても問題ないという大らかさを発揮した結果、サキナのスキルレベルが上がる結果へと繋がったわけだ。


 そしてサキナ自身もダンジョンへ共にはいるようになり、リンネたちの協力のもと夏季休暇になる頃には三年生の課題の殆どを終わらせることが出来ていた。


「あの出会った日にあなた達のクランへ入れてもらえるようにお願いしたのは間違ってなかったということだね」


「それはこちらも同じですよ、サキナさんがいなければこれほどの装備を手に入れることはできなかったですからね」


「そう言ってもらえると私も嬉しいよ、未だにおじいちゃんの域には達してないけど、それでも確実に近づいて行けているのはリンネやレイネたちが素材を惜しげもなく使わせてくれているからだからね」


 こうして新装備を手に入れたリンネたちは夏季休暇へと突入する事になる。そしてリンネたちは今年の夏季休暇を利用して始原ダンジョンへと挑戦しようと考えているのであった。

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