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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第87話 秘密の共有

「あれってどう見てもカラクリ仕掛けの武者じゃないよね、もしかしてリンって呪われていたりしない?」


「なんで俺限定なんだよ」


「だって、リンとダンジョンに潜るまではこういったイレギュラー的なんていうのには遭遇したこと無かったんだよね」


「いや、でもさ一応鎧着てるしワンチャン、カラクリ仕掛けの武者と言えなくもないんじゃないか」


 リンネが苦し紛れに言ってみるが、「「「ないない」」」とと息の合ったツッコミを入れられ、誰からも同意を得られなかった。


 ボス部屋に突入したリンネたちが目にしたのは、武者は武者だがその全長が十五メートルほどはありそうな武者だった。大鎧をまとい二本の腕にはそれぞれ太刀が握られており、背中には槍を背負っている。表情は面頬によって隠されていてわからなくなっている。


「出口は……なさそうだな、あいつを倒すしかないか」


「それしかないよね」


「みんな戦闘準備と言いたいところだけど、何かあれば今のうちに頼む」


 リンネは皆を一度見回し意見を求めたが、特に返事はない。


(これってワルキューレになったほうが良くない?)


(そうだな、そろそろ三人に黙ったままというのも色々不都合があるよな)


 リンネとレイネが顔を寄せ合ってそろそろワルキューレ関係を教えても良いのではと話し合っている。リンネはもう一度鎧武者に視線をやってどちらが良いのか考えている。


 自分たちのキスシーンを披露する行為と、誰かが傷つく可能性を天秤にかけている辺りリンネはまだまだ、ためらいがあるのかも知れない。これがレイネなら一も二もなく役得と考えワルキューレ化を選択するところだろう。リンネはなにげに、この中の誰よりも精神が乙女なのかも知れない。


「ナルミ、ヒビキ、キラリ、三人に話があるのだけどいいかな」


「僕たちにですか?」


 リンネたちが話をするためにその場に座ると、このまま戦いに発展するのかと身構えたナルミたちは首を傾げながらもリンネたちの近くの地面に座る。


「まずはこれを付けてね」


 リンネは持ってきていた背負い袋から、ネックレスとイヤーカフを取り出して三人に渡した。言わずと知れたリオン印のあれである。


「これは何なのでしょうか?」


「付けたらわかるよ」


 ナルミの質問にアカリが答える。そんな中真っ先にネックレスとイヤーカフを付けたのがキラリだった。


「……!」


 キラリが驚きの表情を浮かべて動きが止まる。


「キラリどうした大丈夫か」


 ヒビキの質問にキラリはコクリと頷いて、二人にも付けてみるようにと無言で促す。それを見てナルミとヒビキもネックレスとイヤーカフを付けた。


「わっ、なんですか、妖精?」


 驚くナルミ。


「かわいい」


 いつもはキリリと騎士らしいヒビキも表情がふにゃりとなっている。


「……」


 普段通りの無表情無口なキラリだが、どこかソワソワしているようにも見える。


「初めまして、わたしはリンネママとレイネママの娘でスズネといいます」


「ボクはカリン、リンネお母さんとアカリお母さんの娘だよ」


「わたくしはリンネお母様とミレイお母様の娘のリィンです、よろしくお願いいたしますわ」


「私はライチ母様とアズサ母様の娘でブリュンヒルド・サラです」


 ワルキューレとブリュンヒロドであるスズネたちが、リオンが作り出したネックレスとイヤーカフを付けることによって見える上に言葉まで聞こえるようになったナルミたちに挨拶をする。密かに姿が見えるネックレスだけではなく、声まで聞こえるようになるイヤーカフを作り出したリオンのことを、リンネたちはもうなんでもありだなと思っていたりする。そんなリオンのことをリオエモンと呼ぶ日も近いかも知れない。


「へっ、えっ? 娘? 浮気? 重婚?」


 ナルミは混乱している。いきなり娘だの何だのと言われればそうなるのは自然な流れなのだろう。それも四人の内三人の親だと言っている片方がリンネだということが余計に混乱を招いているように思える。


「その、娘というのはどういうことだろうか」


 なぜかこんな状況でも冷静なヒビキが疑問を投げかける。


「あー、この娘たちはワルキューレとブリュンヒルドというんだけどね、スズネ、カリン、リィン、それからサラの四人はそれぞれの生体情報をかけ合わせて生まれたんだよ、そのためにそれぞれの生体情報元が親ということで娘と名乗っているんだ。決して本当に生んだとかではないから勘違いしないで欲しい」


「そうだったのですね、確かに私たち三人は教えていただいていない秘密があるとは思っていました。それに皆さんはたまになにもない所を見て独り言を言っていたりしましたから、それはμαで通話や通信をしていたというわけではなかったのですね」


 ヒビキはなにか言えないことがあるのは気がついていたようで、更にリンネたちがスズネとこっそり会話している所を何度か見られていたようであった。何もないところで独り言を呟いている姿はさぞ不気味であっただろう。


「……」


 キラリはそーっと指を伸ばしスズネに触れようとするが、触れることが出来ないことにがっかりと肩を落としている。


「そのすみません、今の私たちには実態はないので触れることは出来ないのです」


 少しの混乱と驚きの中で自己紹介も終わり、続いてワルキューレ化とブリュンヒルド化の話となり、ナルミたちはここに来てリンネたちの特異性を知ることになった。そして話を聞いていくうちに、もしかしたらという思いが芽生え始めている事に本人たちは気がつくことはなかった。

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