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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第85話 バレンタインデー

 新学期も始まり、特にこれといった問題もなく日々は過ぎていく。ダンジョンに関してもこれまであったイレギュラーなども起きること無く順調に攻略が進んでいる。変わった事といえば、敵が素材を落とすダンジョンに入るようになった事と、クランの申請をだし承認されたということだろうか。


 高等部二年生になればレイドでなければ入ることが許されないダンジョンなども有り、それに備えてのクラン設立である。クランの設立が許されると、クラン室が貸し出されることになり、そこに手に入れた素材などを置いておくこともできるという事も大きい。


 メンバーは変わらずに、レイネをリーダーに据えて、レイネ、アカリ、ミレイ、ライチ、アズサ、それに加えて中等部のナルミ、ヒビキ、キラリのメンバーとなっている。結局ナルミたち中等部の三人は、元のメンバーと合流すること無くそのままクランに所属したことになる。


 そういったわけで、リンネたちは充実した毎日を送っていた。そしてやってきたのがバレンタインデーである。その日の放課後、すっかりその日がバレンタインデーだということを忘れていたリンネは、帰りに少し遠回りをして駅前のショッピングモールへと寄り道することを提案したのだが、その中でレイネだけはやることがあると言って先に家に帰ってしまった。


 普段はリンネにべったりなレイネが別行動するのは珍しいと思いながらも、リンネはアカリとミレイと共にショッピングモールで買い物をすることを優先した。


「レイネが別行動って珍しいね」


 アカリもいつもと違うレイネの行動を訝しんでいるようだ。


「そうですわね、変な事をしていなければいいのですけど」


 ミレイは何かやらかすのではないかと思っているようだ。


「いや、流石にそれは……」


 考えれば考えるほど不安になってくるリンネだった。ショッピングモールに着いたリンネたちは早速バレンタインデーのセールをしている店をまわった。


「どれが良いかな、アカリとミレイはどれにするんだ?」


「これなんて美味しそうではないかしら」


「あっ、これとか可愛くない」


 三人で被らないように人数分選んでいく、結局どれを買ってもみんなで持ち寄ってシェアして食べることにしたので、なるべく寮の入っている物を選んでいる。普段からダンジョンに潜って適度以上の運動をしている事と若いことも有り余りカロリーなどは気にしていないようだ。


「買うものも買ったし暗くなる前に帰ろうか」


 リンネの提案にうなずき帰路につく三人。他愛もない会話をしながら帰る三人だがリンネもすっかり女子高生といった雰囲気となっている。


「スズネたちもチョコレートとか食べれたら良いのにな」


「わたしもチョコレートというものが皆さんの言うように美味しいものなら食べてみたいですね。ワルキューレ化をしたら味もわかるのでしょうか?」


「ボクもすこーしは気になるかな」


「わたくしは、それほど興味はありませんわ」


 ちょろちょろと三人のワルキューレがリンネたちの周りを飛んでいる。流石にチョコレートのためだけにワルキューレ化をするというのはどうかと思うが、リンネもアカリもミレイも、それぞれの娘であるスズネ、カリン、リィンに食べさせてあげたいという思いを抱いている。


「今度リオンさんに相談してみようか」


「それは良いね、リオンさんならなにか作ってくれそうだしね」


「良いですわね、チョコレートだけではなく色々食べさせてあげたいですわ」


 流石にリオンでもデータのようなものであるワルキューレに味覚を与えることが出来ないのではなかろうかと思いながらも、すでに実用化してそうだとも思ってしまうのは仕方がないのかも知れない。


 家にたどり着いた三人は家に一切の明かりが付いていないのをいぶかしながらも玄関の扉を開けて中に入り込む。人感センサーが働き玄関の明かりが灯される。


「えっ」


「あっ」


「はぁ」


 三人が三者三様の反応を見せた理由は、三人の目の前にある物体を見たからである。それは人が数人は入れそうな大きさのプレゼントボックスだった。その時点で色々と察することが出来たリンネたちだが、思わず声が出てしまった。


三人の心の中を代弁するなら「「「また馬鹿なことしをしている」」」であろうか。リンネは取り敢えず近寄り、箱を軽く叩いてみる。


「……」


 なにも反応がないが、リンネの耳には寝息のようなものが聞こえてくる。きっとリンネたちが帰ってくるのが遅く、そのまま眠ってしまったのかも知れない。箱を開けようにもリボンが絶妙に巻かれていてハサミなどで切らないと池なさそうだ。どうしようかと考えていたリンネへアカリが荷造り用のテープを持ってきた。


 リンネとアカリは一度頷くと簡単に剥がすことが出来ないようにテープを巻いていく。空気穴は確保されているので窒息することはないだろう。


「「よしっ」」


「よしっじゃないですわよ、流石にかわいそうですわ」


 何故か仕事をやりきった感を醸し出すレイネとアカリへミレイはツッコミを入れる。


「まあ良いだろう、それより順番に風呂に入ろうぜ。俺は晩ごはんの準備をするからアカリとミレイは先に済ませてくれ」


「お手伝いしますわよ」


「ミレイとアカリが上がってくるまでに下ごしらえをしておくから先に入ってきてくれ、仕上げは任せるからさ」


「そういう事でしたらお先にお風呂をいただきますわね」


 そう言ってミレイはアカリと一緒に脱衣所へと向かっていった。リンネは一度だけ玄関を確認してレイネが起きていないことを確認してから、キッチンへ戻り晩ごはんの準備を始める。


 リンネはお風呂から上がってきたミレイたちと交代でお風呂に入り、キッチンへ戻る前にもう一度プレゼントボックスを確認したが相変わらず眠っているようで反応がなかった。結局レイネが目を覚ましたのは皆が寝静まった深夜となる。


「あ? 開かない……、誰かー開けてー、開けてよー」


 すでにリンネたちは自分の部屋で寝ている。レイネは焦りながらもμαでリンネたちへメッセージや通話を試みるが反応が全く帰ってこない。結局レイネがプレゼントボックスから外へ出ることがかなったのは朝だった。


「うわーーん、リンもアカリもミレイも嫌いだーー」


 泣きながらプレゼントボックスの中から飛び出してきたレイネに、流石に悪いことをしたと思ったリンネとアカリはレイネに平謝りすることになった。ただ目のやり場に困るような格好をしているレイネには、ひとこと言いたいと思った面々であった。ちなみにどういった姿だったかは、健全な物語なので秘しておくことにする。

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