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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第69話 激突ベビークラーケン

「ベビークラーケンがあそこから動かないようだし、サラの攻撃でどうにかならないか?」


「難しいかもしれません。ホーンホエールの時に大半の力を使ってしまったようで、ベビークラーケンの触手の足止めは可能かもしれませんが倒すまでは」


「それじゃあ、サラに触手をどうにかしてもらって、後は全員で本体を攻撃するしかないか」


 リンネが全員を見回した所でレイネが手を上げる。


「私がリンとワルキューレになるってのはどうかな?」


「その手もあるか、リオンさん的にどうですか」


 リンネがリオンに尋ねる。


「ふむ、ここで一度リンネくんとレイネくんそれからスズネくんがワルキューレに一度なっておくというのも今後のことを考えれば丁度いいかもしれないな」


 リオンの許可が出たことで、レイネはニコニコとリンネに顔を向ける。先程まではベビークラーケンによる辱めで怒り心頭だったのだが、そんな物は時空の彼方へと放り投げたようである。


「わかった、それじゃあ俺がレイネとスズネでワルキューレになって、サラが援護でみんなが遊撃と言った感じでいいかな」


 皆が頷くのを確認してリンネは立ち上がる。それに続いてレイネも立ち上がりスズネがリンネとレイネの間に浮かび上がる。皆の視線が集まるのをリンネは感じている。


「あのさ、見られていると恥ずかしいんだけど」


 今からリンネとレイネが口づけをするのがわかっている面々はあえてそれを見ようとしているわけだ。見られるのが恥ずかしいと言うリンネとは違い、レイネはもじもじしながら頬を染め別の意味で恥ずかしそうにしている。


「まあまあ、リンネくん私としてはワルキューレになる所をちゃんと見たことがなくてだな、この機会にじっくりと観察させてもらおうと思っているのだよ。今後の研究の役にも立ちそうだしな、記録も撮らせてもらおうと思う」


「ぐっ、研究のためと言われると何も言えない……。それならリオンさんは良いとしてアカリたちは、いうだけ無駄だな」


「あはは、ボクはまあどっちでも良いんだけどね」


「そうですわね、わたくしたちがどうとかよりも、レイネが見て欲しそうにしておりますわね」


 ミレイのその言葉を聞いてリンネはレイネに顔を向ける。そこには手を組みモジモジしているレイネの姿があった。


「おいレイネ」


「や、だって、どうせなら私とリンのラブラブを見せつけようかなと思って」


 頬を赤く染めながらも、今度は顔の前で指をモジモジし始める。見せつけるも何も、唇を重ね生態情報である唾液が触れあえば光の繭に包まれる訳で、ラブラブを見せつける暇はないとリンネは思ったが、わざわざ言う必要もないかと口をつむぐ。


「はぁまあ良いか、レイネ、スズネ大丈夫か?」


「うん」


「わたしも大丈夫です」


 リンネとレイネが向かい合いその間にスズネが浮いている。リンネはレイネの顎へと指を添え顎クイをする。恥ずかしそうに頬を染めるレイネは瞳を閉じる。リンネはレイネの唇にみずからの唇をそっと触れさせる。少し開かれた二人. 唇からお互いを求めるように舌が伸ばされ触れあう。


 お互いの生態情報に触れ合うことにより、二人の体から光が溢れ出し、光はリンネとレイネそしてスズネを包み込むと光の繭となった。リンネとレイネの閉じられた視界には<スキルワルキューレの発動を確認、姫巫女ひめみこ、ワルキューレ・スズネの誕生を祝福致します>と表示されていた。


 光の繭の中ではリンネとレイネの体は溶け合い一つの体へと、そしてリンネ、レイネ、スズネの三人の意識はその一つの体に集約される。光の繭はゆっくりと光の粒子となり消えていく。光がすべて消え去った後には一人の貫頭衣ワンピースに身を包んだ少女が姿を表した。


「戦巫女ワルキューレ・スズネここに顕現です」


 姿を表したスズネが両手を振るうと貫頭衣が形を変えて、天領巾あまつひれへと変化しふわりとスズネにまとわりつく。貫頭衣が無くなることであらわになったスズネの衣装はというと、レイネが着ていた布面積の少ない巫女服の上に、各部位に和鎧を着ている。ただ胸元がそこはかとなく強調されていたりする。


 続いてスズネが右手を振ると空間にヒビが入る. そこから黒塗りの鞘に収められた刀が現れる。その刀を腰にさすと続いて左手を振るうと先程と同じように空間にヒビが入り、そこからは複数の勾玉が現れスズネの周りを浮遊し始める。


『これが持てる者の重み……』


 スズネの口から漏れ出たレイネの声に、それを聞いた皆が額を抑えて首をふる。スズネは体の主導権がレイネになかったことに安堵していた。もし今レイネが体の主導権を持っていたとすると、なあ、なんだ、あれをあれするのは想像に難くないだろう。


「それでは皆様、準備はよろしいでしょうか」


 スズネの言葉にそれぞれが武器を構え頷く。


「それでは、サラお願いします」


「はいスズネお姉様」


 サラが左手を振り盾をバラけさせ、上空へと飛ばす。その盾を足場とし軽やかに上空へと昇って行く。それを見送りスズネ、アカリ、ミレイはベビークラーケンへと駆け出した。リオンとシラベはその場で待機となる。


 ベビークラーケンが駆け寄るスズネたちを威嚇するように9本の触手を揺らしている。レイネに切断された触手は、傷口は塞がっているようだが再生はしていないようだ。そして切れ飛んだ触手の残骸が見うけられないことから、切断さえしてしまえば触手を無力化出来るということである。


「すべてを振り絞ります。ライチ母様アズサ母様」


『任せなさい』


『狙い撃つ、です』


「『『乱れ舞え、ヤマタノオロチ』です』」


 上空のサラが構えた銃の砲身に光が集まる。そして、スキルのヤマタノオロチが放たれた。最初は一条の光だった光弾が、その光を8つの光の蛇へと変化させ、ターゲットである8本の触手に噛みつき絡まり締め上げた。


 ヤマタノオロチにより動きを止めた触手の間を通り、スズネたちがまっすぐ本体へ向かう。残った一本の触手が先頭を走るスズネに向かって振り下ろされたが、それはアカリが前へ飛び出し両手に持つ斧で横から殴ることで軌道を変える。


 地面を打ち付けられた触手をミレイは足場にし飛び上がると、新たに取り出したトゲのないメイスを触手に打ち付けると触手はビタリと一度だけ跳ね動かなくなった。


「皆様ありがとうございます」


 スズネがそう声を上げ駆け抜ける。そして無防備になったベビークラーケンの本体へとたどり着く。ベビークラーケンはすべての触手を動かすことができなく、立っているのもやっとといった様子でスズネを見ている。


「リンネママ、レイネママ、行きます」


『おう』


『うん』


「『『乱れ裂け、桜花散閃』』」


 スズネの姿が一瞬だけブレた。そして何もなかったかのように、刀を片手に持つスズネが立っていた。


 この一瞬で全てが終わっていた。いったい何が起きたのかというと、最初は瞬速の抜刀で居合が放たれた。鞘走りを伴い抜かれた刀には薄桃色のオーラがまとわりついており、届かないはずの距離をオーラが補いベビークラーケンを切り裂いた。そして返す刀で逆袈裟に刀が振るわれベビークラケンを切り裂き、最後は流れるような動きで振り上げられた刀が振り下ろされた。その早さは、瞬きをする暇も無いほどの速度であった。


 そしてスズネは、あたかも血糊を払うように一度刀を振るうとゆっくりと鞘へと刀をすべらせる。鞘に刀が収められチンと音が鳴ると同時にベビークラーケンの傷口から桜の花びらが舞い散った。

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