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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第68話 ローション的なものにまみれる

 ベビークラーケンへ駆け寄るレイネとアカリとミレイ。作戦としてはミレイのメイスで触手に穴を開けてもらい、そこを攻撃することで触手を切り飛ばそうといったものだ。そして触手の届かない位置ではリオンがいつでも水を出せるようにしている。


「行きますわよ」


 触手を回避し、時にはレイネとアカリが囮になり触手を翻弄しながらある程度近づいた所でミレイが合図を出しメイスを振り上げる。


「聖撃」


 スキル聖撃によりミレイのメイスに聖なる加護が付与される。そして地面を叩いた事で動きを止めていた触手へとミレイは振り上げていたメイスを全力で振り下ろした。


 メイスが触手に穴を開け、聖撃で聖なる力が上乗せすることで穴が広がった。そしてミレイはモロに触手のドロドロヌルヌルした液体を全身に浴びることになった。全身ローションまみれ状態になったミレイは、なんとかメイスを持ち上げ後ろに下がる。


「ミレイくん、その水球で落としたまえ」


 リオンがミレイの直ぐ側に水球を作り出しミレイに声をかけた。ミレイは水球へと飛び込み全身についたベビークラーケンの液体を洗い流す。


 触手に穴を開けられたベビークラーケンは暴れ出し、触手を縦横無尽に動かしている。レイネとアカリは暴れまわる触手を避けながら、ミレイの攻撃により液体を振りまいている触手へと狙いを定めている。


「アカリ、ミレイ、サポートをお願い」


「わかった」


「わかりましたわ」


 アカリがわざと狙いの触手以外を攻撃し始める。いっぽうミレイは威力を抑えてメイスで攻撃をしている。威力を押さえているためか、触手に穴は空いていないようだ。


 二人の攻撃により触手がアカリとミレイを狙い始めるが、二人は回避を続けている。ベビークラーケンの触手攻撃は、お互いの動きを阻害しないように動いているため、それほど早くもなくそして密度も高くないので意外と避けやすいようだ。


 二人のおかげでフリー状態になったレイネは狙いを定めて駆け出す。タイミングを図りいくつかの触手を足場として上へと飛び上がる。そして未だに液体を振りまいている触手へと狙いを定め、落下しながら太刀を振り上げる。


「一刀両断」


 狙いすまされたレイネの太刀での攻撃はミレイの攻撃により空いた穴へと的確に当たる。スキル一刀両断の効果により切断力が増した事により、通常では切ることのかなわなかった触手を切り飛ばすことに成功する。


 そう、触手を切断することに成功したまでは良かった。だが想像してみてほしい、ただでさえ穴の空いた触手からはヌルヌルヌメヌメなローションのような液体が撒き散らされていたわけだ。そして触手が切断された結果どうなるかというと、地面へと着地したレイネの頭の上へとドバドバとその液体が滝のように降り注ぐわけである。


 ぬちょぬちょのねちょねちょになったレイネはまともに歩くことが出来ずにその場に倒れ滑るために起き上がれなくなっている。そして囮をしていたアカリとミレイは、足元に流れてきた液体に足を取られ倒れてしまう。


 転倒して起き上がろうにもヌルヌルで立ち上がれないそんなアカリとミレイはベビークラーケンの触手が捉え、抵抗する暇も無く掴まってしまう。


 そして次の標的として起き上がれないでいるレイネに向かって、ベビークラーケンが触手を伸ばしレイネを捉えようとしている。


「レイネ、危ない!」


 上空からリンネの声が聞こえた気がしたレイネが上空を見ると、そこには空から飛び降りてくるリンネの姿が確認できた。


「リン!」


 レイネがそう声をかけた瞬間、レイネを触手が捉え、巻き付き持ち上げようとした。だがそのベビークラーケンの行為は失敗に終わることになる。なぜなら持ち上げられたレイネはローションの効果も相まってか、つるりと抜け落ちたのだ。


 そうなのだ、レイネには引っかかるべき凹凸おうとつが一切ないわけで、掴んでもストレートに抜け落ちてしまうのだ。ただし水着の胸部分のみが、必然的にベビークラーケンの触手に引っ掛かり触手の先に残されている。


 場が沈黙に包まれる。ベビークラーケンでさえも暴れていた触手が動きを止めている。アカリとミレイは、触手から脱出しようともがいていた動きをつい止めてしまう。


 のちにその場にいたある人物がこの時のことをこう語っている。


「誰もクラーケンの表情なんて分かるはずがないのに、この時だけはみんなが同じことを感じ、そしてベビークラーケンの表情がどういったものかわかっていたと思う。そう、ベビークラーケンの困惑と哀れみの表情がね」


 滑り落ちたために倒れていたレイネがゆっくりと立ち上がる。片腕で胸元を隠しながらレイネは全身をプルプルと震わせる。顔を上げたレイネはベビークラーケンを睨みつける。そんなレイネの両目からはヌルヌルの液体とは別に涙が流れているのがわかった。


「そ、それ返しなさいよ!」


 そしてレイネの叫びが響き渡った。その叫びを受けてかベビークラーケンは水着の引っかかっていた触手をレイネに差し出す。そしてレイネは水着を触手からひったくり付け直した。


「あー、その、レイネ大丈夫か?」


「レイネママ大丈夫ですか?」


 レイネのそばへ降り立ったリンネがレイネの頭を撫でようとするが手を止めて声を掛ける。流石にリンネもヌメヌメしているレイネの頭を触るのははばかると思ったのであろう。


 場の空気がなんとも言えない感じになっている所だが、上空ではサラがミストルティンを構えて狙いを定めている。


「狙い撃ちますアズサ母様」


「『ダブルショット、です』」


 アズサのスキルダブルショットが発動し、二つの光弾がアカリとミレイを捉えていて触手に直撃する。サラの攻撃では触手を吹き飛ばすことはできなかったようだが、触手の締付けが緩まったおかげでアズサとミレイが抜け出すことに成功した。


 突然攻撃をされて、捕まえていた獲物からも逃げられ怒りをあらわにするベビークラーケンだが相変わらず一定の距離からは離れられないようだ。触手から抜け出したアカリとミレイ、それとリンネとレイネはベビークラーケンの気が上空のサラへとそれた隙に後退をすませリオンたちと合流を果たした。


「リン、それにスズネも無事だったんだね。えっとそれからどちら様なのかな?」


 リオンと合流したレイネたちは、まっさきにリオンの作り出した水球へと入りヌルヌルを落として一息つく。そして無事に戻ったリンネと姿を現したスズネとカリンに声をかけている。


「私はブリュンヒルドのサラと申します、ライチ母様とアズサ母様の娘となります、皆々様よろしくお願いいたします」


 そう言ってサラはお辞儀をする。


「「「えぇーーー!」」」


 それを聞いたレイネたちからは驚きの叫びが上がるのであった。

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