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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第65話 ライチ×アズサ=◯◯

 白だけが広がる空間、そこに全裸の少女が二人降り立った。ライチとアズサである。二人は手を繋いだ状態であたりを見回している。


「何もないね」


「です」


「それにしても服くらいあったらいいのに」


 そうは言っているが、ライチとアズサは幼い頃からの幼馴染で、家族ぐるみの付き合いが長いため、今でも一緒にお風呂に入る仲であり今更相手の裸に何かを感じることもない。


 ただ何も無い空間とはいえ、いやむしろ何も遮るものがない空間だからこそ全裸というのは心細く思えてくる。


「ライチさん、アズサさん、お待たせしました」


 何も無いなと適当に歩いていたライチとアズサの前にスズネがどこからともなく現れた。


「あなたスズネね、声は初めて聞いたわ」


「はじめまして、です」


「はい、改めてご挨拶を、わたしはリンネママとレイネママの娘となります、ワルキューレのスズネです、よろしくお願いします」


「知ってるだろうけど、うちは鈴ノ宮ライチよ」


「風鈴アズサ、です」


 お互いにお辞儀をして自己紹介をするが、一方は全裸という事でなんとも言えない雰囲気を醸し出している。


「スズネ、早速悪いんだけど服とかってないかな?」


「あー、服ですね、えっと……、すみませんリンネママがここにいないので用意できないようです」


「そうなんだ、えっとリンネはどういう状態なの? ここにはいないようなんだけど」


「リンネママは今お二人を抱えて移動しています」


「あっそうか、うちとアズサっていま意識がないんだね」


「はい、そうなります」


「それじゃあ、急いで戻らないとね」


「いそぐ、です」


「ここと外では時間の流れが違いますので、無理に急ぐ必要はありませんが、急ぐに越したことはありませんね」


「それで、うちとアズサは何をしたらいいのかな」


「それは──」


「ライチ、あそこになにかある、です」


 アズサがある一点を指で指し示している。ライチは目を凝らして見ようとするがよくわからないようだ。


「あちらですね、ライチさんアズサさんあそこに向かいましょう」


「わかった」


 スズネが前を飛び、ライチとアズサはその後をついていく。アズサが見つけた物を目指し歩いていくと、そこには一つの真っ白な繭が浮いていた。アカリやレイネのときと違って明滅などしていないので余計に見つけにくかったのかもしれない。


 大きさはスズネやカリンのときと同じように、およそ直径60cm程の大きさをしている。


「アズサはよくこんなの見つけれたね、遠くからだと周りと色が同化しててわからなかったよ」


「これでも弓師なので目はいい、です」


「そう言えば、アズサって昔からなくし物とか見つけるの得意だったよね」


「それはきっと関係ない、です」


「あはは、えっとそれでどうしたら良いのか……、あっえっと」


「なにか聞こえた? です」


 ライチとアズサは何かを感じたようで、二人顔を向かい合わせて頷くと、少しずつ繭へと近づいていく。繭の前に着くと二人は手を繋いだままの手とは反対の手をそっと繭に触れさせる。


 二人の手が繭に触れたことにより、繭が光の粒子となり消え始める。そのさまをライチとアズサはじっと見つめている。そして繭が全て光となり消え去った後には身の丈50cmほどの少女が空中に浮かんでいるのが見て取れた。


 その少女は、緑色の長い髪を垂髪すべらかしにしており、瞳の閉じられた顔はライチとアズサをかけ合わせたような容姿をしている。着ている衣装は露出度の多い緑色の陰陽服となっており、その上からは透明なローブが羽織られている。そして首元には真っ赤なマフラーが巻かれている。


「この子がうちとアズサのワルキューレってことかな」


「わたしとライチの子ども……、です?」


「そうなりますね、今回の事はわたしもよくわかっていないのですが、リンネママとは別の可能性が生み出したワルキューレということでしょうか」


 スズネ、ライチ、アズサが見守る中、少女は瞳を開き口を開く。


「はじめまして、私はライチ母様とアズサ母様の生態情報より生み出されたブリュンヒルドとなります、よろしくお願いします」


「ブリュンヒルドですか? ワルキューレとは違うということですか」


 スズネの疑問に少女は答える。


「似て非なるものとでも言えば良いのでしょうか、ワルキューレがユニーククラス戦乙女を持つお方の剣となり、私たちブリュンヒルドはそのお方を守る盾となります」


「そう言われると、なんとなく分かった気がする。あっ、ライチさんアズサさん、この子に名前をつけてあげて下さい」


「名前って急に言われても、アズサはなにかある?」


「わたしとライチの娘……サラというのはどう、です」


「サラ、うん良いんじゃないかな。どう?」


「サラ、私の名前はサラ、ありがとうございます。ライチ母様、アズサ母様、改めてよろしくお願いします」


「こちらこそよろしくねサラ」


「サラよろしく、です」


 仲良く手を重ね合わせている三人。しばらくそうしていた三人は手を離し、サラがスズネに近寄っていく。


「スズネ姉さま、今のうちに情報の共有をしませんか」


「そうですね、情報の共有をしたらなにかわかるかもしれないですね、今のわたしにはブリュンヒルドの情報がありませんから」


「それでは失礼します」


 そう言ってサラはスズネの手を取る。それに合わせてスズネもサラと手を重ね向かい合い、情報の共有をする。共有は一瞬で終わったがスズネもサラも困惑した表情を浮かべている。


 二人は困惑しながらも、それぞれが共有した情報が消えても良いように、新たに情報を書き出し保存した。


「これって、どういうことなのかな」


「私にもわかりません、わかりませんが、この先には」


 スズネは首を振り気を取り直す、サラも考えるのは後で良いと頷く。


「ライチさん、スズネさん、外に出ようと思いますがいいですか?」


「そうだね、戻ってクジラを倒して、レイネたちも助けないとね」


「いつでもいい、です」


「それでは出た後はすぐに、サラといっしょにブリュンヒルデ化をお願いします、いつホーンホエールの胃液があふれるかもわかりませんので」


「わかったわ、アズサ、サラお願いね」


「はい、です」


「はいライチ母様」


 三人が頷くのを確認し、スズネはリンネのμαへとアクセスをして外へとライチたち三人のいざなった。三人の姿が消えたのを確認したあと、スズネも白い空間へと解けるように消えていった。

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