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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第56話 星空の下での出来事

「最近何かとお肉に縁があるよな」


「確かにそうかも」


 畜産された豚、牛、鶏の肉を焼いてパクパクと食べながらそんな会話をしている。


「んー美味しいことは美味しいのだけど、なんだかちょっと物足りない気がするな」


「あーそれはボクも思った、なんでだろうね」


 アカリが骨付きカルビを食べながら首をひねっている。


「それは多分ダンジョン産との違いじゃないかな」


「どういうことですか?」


 カナの言葉にリンネが問い返す。


「えーっとダンジョンから持ち出された食材なんかを接種すると覚醒因子を得やすくなるってのは知ってるよね」


「うん、そう授業では習ったかな」


 焼けたお肉を頬張っているリンネに変わってレイネが答える。


「つまりは、ダンジョン産の食材には覚醒因子を獲得するための何かが含まれているってことだと思うのよ、その何かがきっとその物足りなさなんじゃないかな」


「そう言われるとそんな気がしてくるね」


 アカリが最後のお肉を食べた事で、お肉類はすべて食べ終わったようだ。


「おっとお肉は終わりだけどまだ食べられる?」


「ボクはまだ食べれます」


「わたくしもまだ余裕がありますわ」


「うちもまだ食べれるかな」


「たべたりない、です」


「ふふ、まだ食べられるようだね、それじゃあここからは魚貝に移行しましょうか」


「まってました、お肉より高級だから食べたこと無いんだよね」


 リンネが言うように、ダンジョン都市だとお肉はダンジョンから手に入りやすいので高いと言ってもそれほどでもない。だが魚貝となるとそうもいかない。第一ダンジョン都市は海からそこそこ離れている。そのため魚貝のたぐいはなかなか手にはいらない。そのために魚貝のたぐいは高級食材扱いになっている。


「じゃーん、エビにイカに岩牡蠣とはまぐりにほたてよ」


「これどうしたんですか?」


「昔なじみの漁師のじいちゃんが、私が帰ってくるからって用意しておいてくれたんだよ。わざわざ遠出してこの辺で採れないものとかもね」


「良い方なのですわね」


「そうだね、会ってお礼が言えないのは残念だわ」


 焼けたものを取り分け食べ始める。リンネたちは初めて食べる食感と味に驚きつつもお肉よりも食いつきが良い。あらかた食材が食い尽くされた所でバーベキューは終りを迎えた。


 全員で片付けを終えた所で焚き火を囲んで砂浜に寝転び夜空を眺める。ダンジョン都市とは違い人工の光の無い夜空を見上げるリンネたち。


「すごい星空だな」


「うん、きれいだね」


「……」


「そこはお前のほうがきれいだよって言わないと」


 満天の星空を見上げながら冗談交じりにレイネはそういった。


「……レイネ、星空よりもお前のほうがきれいだよ」


 起き上がったリンネがレイネの顔を見つめながら、何を血迷ったのか語りかける。突然そんな事を言われたレイネは思考停止に陥り固まってしまう。周りにいるアカリやミレイたちは何事だといった感じで見ている。


「いや、そんな反応されると逆に困るんだが」


 リンネが戸惑ったようにそう言ってレイネの頭をぽんぽんと撫でる。


「あ、いや、うん、その、びっくりした」


 レイネはリンネから顔をそむけた。レイネの頬は焚き火の熱とは別に赤くそまっていた。


「ねえねえ、ボクには言ってくれないの?」


 ぴょんと飛ぶようにリンネに近寄るアカリ。そんなアカリに対して何を思ったのかリンネはアカリの顎に手を添えてクイッっと、いわゆる顎クイをやった。


「アカリ、好きだよ」


 リンネはアカリの瞳を覗き込みながらそう囁いた。


「ふ、ふにゃわ、これダメこれダメこれダメこれダメ」


 アカリは超高速で後ろに飛び跳ね、砂まみれになることもいとわずゴロゴロと転がっている。その様子をミレイは少し羨ましそうに見ている。ここはわたくしにもと言いたい所だが、ミレイはためらってしまって出遅れたようだ。


 逆にライチは何をやっているんだといった感じで見ていて、アズサはパーカーのフードを深く被っていて表情は伺えない。


「ぷっ、あはは、あなたたち面白いわね」


 カナが今のやり取りを見てお腹を抱えて笑っている。


「いつもこんな感じなの?」


「まあ、普段はしないですね、この星空にあてられたのかもしれないですね」


 正気に戻ったレイネが起き上がりカナに答える。


「も、もう、リンは恥ずかしいからみんなのいるところではそういうこと言わないでほしい」


「うん、ボクもどうせなら二人の時に言ってほしいな」


「…………」


「リンどうしたの急に黙って」


 レイネはリンネの様子がおかしいことに気がつく。リンネの表情からは感情らしきものが消えて目もどこか虚ろに見える。


「リン!」


 レイネがリンネの方を掴み揺する。


「えっ、あれ? レイネどうしたんだ?」


「リン大丈夫?」


 砂まみれのアカリもリンネの近くによってきて、ミレイたちもリンネの様子がおかしかった事に気が付きよってくる。


「大丈夫だが、みんなどうしたんだ」


「えっと、リンはどこまで覚えてるの」


「どこまでって何が……、えっと確か寝転がって星空を見上げて、って所かな」


「それじゃあ、私やアカリになんて言ったか覚えてる?」


「へ? いや、なにを言ったのか覚えてないというかよくわからんな、あーμαになにか残ってないかな」


 リンネはμαの数分前の記録をチェックし始めた。その結果、星空を見上げたところからの記録が存在しない事に気がついた。


「なんだ、これ」


「どうだった?」


「いや、寝転がって星空を見上げたところで記録が消えている、いや消えているというか存在しなかった」


「それってどういうこと?」


「わからん。なあカリンとスズネはなにかわかるか?」


 なんとはなしに声をかけて見たリンネだが、カリンとスズネの姿はどこにもみうけられなかった。レイネとアカリも二人を探してみたが見つけることは出来なかった。


「とりあえず一度家に帰りましょうか、冷えてきたし着替えも必要でしょ」


 焚き火に砂をかけ消しながらカナがアカリを見てそういった。焚き火が消えたことで辺りは暗くなるが月明かりで意外と明るい。


 カリンやスズネの姿が見えないことに不安を感じながら、リンネたちはカナの家へ向かう。自分の身になにかがあったことは確実なのだろうが、何が原因なのかはわからない事に不安を感じているリンネだが、それよりもレイネとアカリがチラチラと視線を向けてはそらすを繰り返してくる方が気になって仕方がなかった。

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