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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第53話 家の付喪神

「おいしい」


 一口お米を口に含み、噛み締めたリンネは思わずそう声を出していた。


「そうでしょう、かまどで炊いているからね」


「かまど? 炊飯器とか自動調理機じゃなくてですか?」


 自動調理機というのは、名前の通り材料を指定の場所に入れて、作りたい物のボタンを押せば出来上がるというものだ。リンネの家ではあまり使われることはないが一応備え付けられてはいる。


 自動調理機が使われていない理由としては、リンネが幼少期からレイネのために料理をしており、今もほぼ一手に自らの手で料理をしているからだった。


「そうだよ、知っていると思うけどダンジョン都市の外だと、ダンジョン経由の素材を使った機械類は使われていないからね、それとこの家は家電のたぐいは基本的に使えなんだよね」


 カナが不思議そうにしているリンネたちに話をする。


「機械類が使えないのですか? 照明は使えているようなので精密機械が使えないってことですか」


「そうだよ、照明の他にはインターホンとか家の外にあるものなら別なんだけど、精密機械の組み込まれた家電なんかも使えないね。家の中はさっちゃんの領域になるからね。そんなことより冷めちゃう前に食べちゃって、詳しいお話はその後でね」


 カナに言われて食事を再開する。食事はシンプルなものだが、味は今まで食べたものより数段美味しく感じられた。


 食事を終えて、食器を手分けして片付けた後に再び集まり、席につく。それぞれの目の前にはいつの間にかお茶が用意されている。


「さてとお話をする前に一つ確認、鈴ノ宮さんと風鈴さんはわかっているということでいいのかな?」


 カナが、ライチとアズサに問いかける。


「ええ、うちもアズサも旧家の者ですから、事情は察しています、あとうちのことはライチでいいです」


「わたしもアズサでいい、です」


「そうなのね、自然と家に入る時にμαを切っていたからそんな気はしていたわ。でも驚いたでしょ、アヤカシと共存しているなんて」


「それは、いえ、ただ座敷童が存在していることには驚きました」


 ライトの言葉にアズサも頷いている。それを見て今度はカナはリンネたちに視線を向ける。


「えっと」


「リンネでいいです」


「私もレイネでいいですよ」


「ボクもアカリで」


「わたくしもミレイでよろしくお願いします」


 カナとは一度自己紹介をしているが、わざわざこういったのは座敷童に対する自己紹介でもある。それを承知してか座敷童も改めて自己紹介をする。


「わしは、座敷童の幸子じゃ、この家に滞在中はお主等はわしの客人じゃ、よろしくの」


 幸子が頭を下げたのに合わせてリンネたちも頭を下げて挨拶を交わす。


「色々聞きたいこともあると思うけど、まずはこちらの話しからしましょうか、しばらく滞在するわけだから知っておいたほうが良いともうからね」


 そう言ってカナは話を始める。


「まずはそうだね、座敷童っていうのは何だと思う?」


「詳しくは知らないけど、家に居着いてその家に幸運をもたらすアヤカシ?」


「うんうん、だいたいそういう感じで伝わっているよね、でもそれって実は逆とも言えるんだよ」


「逆ですか」


「そう、座敷童ってね実は家に居着くのではなくて、家の付喪神を座敷童っていうのよ」


「そうなんですか」


 ライトが思わずと言って感じで声を上げる。


「そうなんだよ、付喪神というのは知っているよね」


「確か大事にしていた道具なんかに神が宿る的なものだよね」


 アカリの言葉にカナが頷く。


「そう、だから座敷童が居着くと幸運が訪れるってわけではなくて、繁栄した家に人が住み、想いを込めて何代も引き継いで大事に暮らしていた家に座敷童は生まれるってことだよ。だから幸運が訪れるのではなく、そういった幸運な家に生まれると言ったほうが正解ってことだね」


「うちやアズサの家も相当古いですけど、座敷童は生まれてきてないのだけど」


「ああ、それはきっとライチさんの家もアズサさんの家の、討伐系の家系だからじゃないかな、そういった家系の家にはアヤカシは寄り付かないからね、それは付喪神も一緒ってことだね」


「そうなんですね」


 ライチは納得したように頷いている。


「カナさんの家はどういった系統なんですか?」


 なんとなく気になったといった感じで、レイネが尋ねる。


「私の所は守護系だね、家を守り土地を守り街を守りそして国を守る、まあ国を守るほどの力はそもそもないけどね」


 そう言って照れ隠しをするようにカナはお茶を一口飲み込む。


「えっと、そう座敷童のことはわかったよね」


 それぞれが頷くのを確認してからカナは話しを再開する。


「今私たちがいるこの家はある意味幸ちゃんの体の中にいると思ってもらって良いかな、といっても別に食べられたりはしないからね。むしろ家の中にいれば外からの外衣なんかも防げる。そして幸ちゃんの体の中にいるというのに関連して、家の中じゃ家電は使えないということなんだよ」


「えっと、トイレは?」


「一応水洗だね」


 リンネは一応という言葉に疑問を覚えつつも次々と質問を投げかける。


「お風呂は」


「源泉かけ流しだよ、それにここにいる全員が入っても余りあるくらいの大きさだから安心して」


 思わずみんなして隣りに座っている子とタッチをするくらい朗報だった。


「えっと、それじゃあ洗濯は」


「あー洗濯ね、確か近くにコインランドリーがあるからそこで洗濯はしてほしいかな」


「わかりました」


 手洗いをしなくていいということでみんなホッとしている。


「後は、冷蔵庫?」


「冷蔵庫は無いよ、だけど代わりに氷室があるんだよね」


「氷室ですか?」


「そう氷室、幸ちゃんの力で維持しているから解けることはない氷と雪の部屋だね」


「そんなのもあるんですね」


「興味があるなら後で見に行くと良いよ、私が案内してもいいし幸ちゃんに案内してもらってもいいし」


「うむ、家の事ならわしに任せるのじゃ」


「さて、他に何か質問はあるかな? 無ければここからは自由時間ということで、あまり遠くにいかないなら外出するのもいいよ」


 リンネが他に質問はないか、ぐるりと見回しても誰も質問はなさそうなのであったが、代わりに幸子がレイネたちに「少し聞きたいことがるのじゃが良いかの?」と言ってきた。


「お主たちをわしの家に招き入れた後から、なぜだかこそばいというか、不思議なかんじがするのじゃが、心当たりはないかの?」


 それを聞いてレイネたちの視線は、テーブルに座っているカリンとスズネに集まる。原因らし良いものと聞かれれば、これしか無いかなといった感じだ。


「えっと、幸子さんってこういうのって付けれるのかな?」


 レイネが自分のネックレスを取って幸子に差し出すが、幸子は首を振っている。


「わしらはそういったダンジョンに関わるものとは相性が悪くての」


「それじゃあ代わりにカナさん付けてもらった良いですか」


「何かわからないけ少し借りるね」


 カナはそう言ってレイネからネックレスを受け取り首にかけた。


「うわっ、なに? 妖精?」


 カナの正面に移動していたカリンとスズネは、カナの反応を楽しむように手を降ったり空中に浮いたりしている。

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