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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第50話 お肉と牛乳と普通のミノタウロス

 リンネたちは七階層までたどり着いていた。七階層は迷宮型の階層になっていて、μαのオートマップが無ければ迷うほど複雑な作りになっている。リンネが加入するまでのレイネパーティーの最高到達階層が六階層だったので記録更新となったわけである。


 そして七階層なのだが、ここには《《普通の》》ミノタウロスが出てくるようになる。中ボスの残念なミノタウロスとは違い体系は普通だが強さは相応だ。


 きっと五階層のミノタウロスも、もともとはこうだったのだろう。そんなミノタウロスが複数出てくる様になる。そしてここに出てくるミノタウロスは五階層のミノタウロスと若干の違いがある。その違いとは、まず毛皮の柄が違う。栗毛や黒毛、そして白黒の柄の物が出てくる。


 そしてドロップ品に関しては最高級肉に加え、小瓶に入った牛乳がドロップするようになる。お肉に関しても毛色で違いがあるようだが、買取価格は同じなので誰も来にしてはいないようだ。


「レイネ、別に飲むのはいいけど飲みすぎると腹壊すぞ」


「大きくなるなら、お腹壊してもいい」


 この時点で察していただけると思うが、レイネはドロップ品の牛乳を飲んでいる。今飲んでいるので五本目になる。レイネは若干タプタプになっているお腹を擦りながら強がっている。


「今日はそろそろ戻ったほうがいいかな? レイネもこんな感じだし」


 アカリがレイネを見ながら提案する。


「そうですわね。ほんとレイネはなんと言いますか限度というものを学んだほうがよろしいですよ」


「こ、これには切実な願いがこもっているんだよ。うぷっ、だから引く気はないよ」


「無理して今飲まなくても、うちらは全部レイネに譲るってことにしたんだからさ」


「わたしも少し欲しい、です」


 ライチは苦笑を浮かべてごもっともな意見を言っている。いっぽうアズサはこっそりと自らの胸に手をやり、すこしだけ牛乳がほしいとつぶやいている。アズサのサイズはレイネほどではないがそこそこ慎ましやかではあるが、梓弓を使うことから今のままで十分かなとも思っているようだ。


「さてと、休憩はこの辺にして、アカリの言う通り今日は終わろうか」


 リンネがパンパンと手を叩いて注目を集めた後にそう切り出す。


「賛成ー、ちょっと気分が悪くなってきたよ」


 そんなレイネの言葉に皆が皆呆れた表情を浮かべている。


「レイネがこんな感じだから、申し訳ないけど戦闘はレイネ抜きで」


「大丈夫、戦えるよ」


「無理しなくてもいいよ、ボクも一対一なら余裕で倒せるから」


「レイネの代わりにわたくしも前衛にまわりますわ」


 ミレイはトゲトゲの付いたモーニングスターではなく、ゴツいメイスを手に持ち気合を入れている。ミレイはここ最近後衛に回っているため久しぶりの前衛が出来るようでなんだか嬉しそうにしている。


 そもそもミレイのクラスはシスターなわけで、後衛で強化や回復を担当するのが普通のはずなのだが、少しばかり血の気が多いようである。


「そういうわけだからレイネは待機ということで、まあゲートのあるところまでに敵と出会うかはわからないけどな、それじゃあ行こうか」


「「「はーい」」」


 いつも通りのゆるい返事を受けリンネは先頭を歩き始めた。その後ろにはアカリとミレイが続き、その後ろをレイネとライチが横並びに、そして最後尾にアズサが続く。


 μαの地図を頼りに暫く進むと、ゲートのある部屋が見えるところまでたどり着いた。ただその部屋の前にはミノタウロスが三匹徘徊しているのが見えた。


「あれはやらないと駄目っぽいね」


「久しぶりの前衛腕がなりますわ」


 ミレイはやる気十分のようだ。


「あー、レイネはミレイの援護を、ミレイは無理しないように」


「はー、お腹も落ち着いてきたけどミレイがやる気十分みたいだし援護に廻るよ」


「それからライチとアズサもいつも通り援護をお願い」


「わかった、です」


「初手はうちがいかせてもらうで」


 ライチが札を三枚取り出すとそれを振ってみせた。


「それじゃあ、対象はいつもどおりで、ミレイはレイネの代わりに右のを担当で」


 リンネのパーティーでは、敵が複数出てきた場合、どの位置の敵を担当するかあらかじめ決めている。アズサのお陰で不意打ちをされることはないが、咄嗟の判断が必要な時に迷わないようにするための処置である。基本的には左がリンネ、真ん中がアカリ、右がレイネとなっている。


「それじゃあ、ライチお願い」


 ライチが札を放ると札は空中で停止した。


「召雷」


 ライチが指で印を結びながらそう言うと、札から雷がほとばしらせながらミノタウロスへと向かって飛んでいく。ミノタウロスたちは札が飛んでくるのに気が付き、それぞれ武器を構える。


 リンネたちはその飛んでいく札を追いかけながら走り出す。ミノタウロスたちは飛んでくる札に向かってそれぞれの武器を振るうが札はその攻撃をするりと抜けてミノタウロスの腕に張り付く。


 腕に張り付いた札は放電を始めミノタウロスを痺れさせ、武器を取り落としてしまう。そこへリンネたちがたどり着き、それぞれの担当しているミノタウロスへ攻撃を加える。


「スラッシュ」


 リンネは、使い続けることにより威力が増したスラッシュを使い、一撃でミノタウロスを倒し泥へと変えた。中央のミノタウロスへ向かったアカリだが、どうやら中央のミノタウロスはなんとか雷に耐えたようで、ハンマーでアカリの攻撃を受け止めた。


 だがその直後アズサの放った矢が飛来しミノタウロスの首に突き刺さった。それが致命傷となりミノタウロスは泥へと変わり消えていった。


 そしてミレイとレイネの向かったミノタウロスは両刃の斧を構えミレイとレイネを待ち受けていた。だがミレイはそんな者関係ないとでも言いたげに突撃していく。


 ミレイはミノタウロスの攻撃を余裕を持って躱し、ミノタウロスの武器を持つ手をメイスで容赦なく殴りつけた。ミノタウロスは指が砕けた感触にたまらず武器を落としうずくまる。


 ミレイは待ってましたと言いたげに笑みを浮かべて、メイスをミノタウロスの頭に向かって振り下ろした。


頭蓋割ずがいわり」


 ミレイはスキルを使い、うずくまっているミノタウロスの頭へとメイスを振り下ろし、ミノタウロスの頭を砕いた。それによりミノタウロスは泥となり消えていった。


「あ、あははは、私が手伝う暇すらなかったよ」


 レイネが乾いた笑いをしている。


「みんなおつかれ、お肉のドロップはないようだし、ササッと魔石を回収して出ようか」


 リンネたちは少し大きめの魔石を回収し、帰還用のゲートを潜りダンジョンから脱出するのであった。

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