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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第49話 お肉の価値は

 リンネたちは週が明けてからは高等部ダンジョンの六階層へ降りてきた。


「そう言えばさ今更なんだけど、高等部って課題とか無いのか?」


 リンネがふと疑問に思って聞いてみた。


「あれ? リンは聞いてなかったかな、変遷が起きたせいで課題の調整が間に合ってないみたいだよ。それに中等部のダンジョンが無くなっちゃった影響で、中等部の子たちも新しい課題が組まれるみたい」


「へーそうなんだ」


 レイネの返事を聞きながらリンネたちは森の中を歩いていく。六階層に出てくる魔物はブラックグリズリーベアと呼ばれ、見た目はクマである。遭遇率は低いが出逢えばなかなかの強敵なのだが、その強さはゴブリンナイトよりは弱い。


「クマ見つけた、です」


 まっさきにアズサがブラックグリズリーベアを見つけた。あちら側はまだリンネ達に気がついていない、というよりも気がつく距離ではない。


「うちには全然見えないのですが、相変わらずアズサの視力はすごいですね」


「そんなこと無い、です。わたしのはクラスがそれ向きだから、です」


「そうかも知れませんが、いつも助かってますわ」


 アズサはみんなに褒められ恥ずかしそうにフードを深く被ぶりなおした。


「それで戦う? それとも避けていく?」


「避けていくのは無理そう、です。あちらの方ですがあれの後ろにゲートが見えます、です」


「それじゃあ、仕方ないね、いっちょやりますか」


 リンネたちはそれぞれが武器を構え戦闘態勢を整える。


「それじゃあ、まずはアズサがやつの気を引いて。続いて俺とレイネとアカリが突撃するからライチは援護を、ミレイは遊撃で」


「「「はーい」」」


 相変わらずなゆるゆるな掛け声だがそれぞれの目は真剣だ。まずはアズサが梓弓に矢を番える。弦を引くキリキリという音が聞こえ、矢を限界まで引き絞った所で矢を放つ。矢は弓なりに飛んでいき、遠くから「グオォォォォ」というクマの叫び声が聞こえてくる。


「片目を潰しました、です」


「ナイスだアズサ、それじゃあ行くぞ」


 リンネはゴブリンナイトが使っていた直剣を片手に走り出す。それに続くようにアカリも両手に斧を持ちそれに続く。その後ろからレイネとミレイが続き、最後にアズサとライチも駆けていく。


 しばらく走るとリンネの視界には目に矢が刺さったままの体長5メートルほどもある巨大なクマが現れる。ブラックグリズリーベアは残った瞳でリンネたちの姿を捉えるとその巨体を活かすように四足で突撃してくる。


「うわっと、ステップ!」


 リンネは咄嗟にステップで避けることに成功する。


「わわわわ」


 目の前からリンネがステップで消えたことにより突如クマが目の前に現れ止まるに止まれないアカリ。


「岩柱壁!」


 ライチが梵字ぼんじと呪文が書かれた札を投げアカリとブラックグリズリーベアの間に岩の柱を作り出した。ブラックグリズリーベアは突然現れた岩の柱に頭から突撃して倒れ込んだ。


「ライチー助かったよ」


「今のうちですわ」


「任せて、一刀両断!」


 アカリの後ろを走っていたレイネが刀を振り上げ、スキル一刀両断を使い振り下ろす。だがスキルを使った攻撃も、ブラックグリズリーベアの分厚い毛皮と肉を少し切り裂くだけで骨にすら達することはなかった。一刀両断という割には全然両断できていなかった。


「かったーい、だからコイツ嫌いなんだよ」


 一刀両断を使った後に残心をした後にステップを使って下がりながらレイネが愚痴る。


「ダブルスラッシュ」


 体制を立て直したアカリが未だに倒れたままのブラックグリズリーベアの頭に向かって、両手の斧をスキルのダブルスラッシュを使い振り下ろす。アカリの攻撃は皮と肉を超え頭蓋にまで達することが出来たが頭蓋骨を破壊するまでは至らなかった。


「グルァァァァ」


 アカリの攻撃による痛みをうけブラックグリズリーベアは突如二足歩行となり、前足をアカリに向かって振り下ろす。アカリはステップを使ってなんとか回避に成功するが、ブラックグリズリーベアは追撃をするように振り下ろして前足が地面についた勢いのままアカリに向かって大口をあけ噛みつこうとする。


 そこへ矢が飛来しブラックグリズリーベアの口中へと入っていった。矢がブラックグリズリーベアの口の中へ入ったと同時にブラックグリズリーベアの口内で爆発が起こり、再びブラックグリズリーベアは倒れる。


 爆発の原因は矢の矢じりの部分にライチの札が巻きつけられておりブラックグリズリーベアの口内に入ると同時に術を発動させた結果である。


「どりゃーーー、スラスト!」


 ステップで無理やり避けたために体勢を崩していたリンネが、倒れているブラックグリズリーベアの足を踏み台にして飛び上がる。そして落下の勢いを乗せて直剣をブラックグリズリーベアの首元に向けて、突きの汎用スキルであるスラストを放つ。


 スラストの発動によりリンネの持つ直剣が光を帯び、深々とブラックグリズリーベアの首の真ん中へ突き刺さる。そしてブラックグリズリーベアがそれに反応するよりも早くリンネは再びスキルを発動させる。


「スラッシュ!」


 ブラックグリズリーベアの首の真ん中に突き刺さった直剣が、スラッシュの発動によりブラックグリズリーベアの首は半分程引き裂かれた。それが致命傷となったようでブラックグリズリーベアは泥となり崩れて消えていった。ブラックグリズリーベアが消えた後には拳サイズの魔石と、1トンの熊肉が残されていた。


「やった熊のお肉だ」


 レイネがそれを見てぴょんと飛び跳ねる。その動きに合わせてポニーテイルがはねている。


「これも食うのか?」


「これはね売るんだよ、これだけの量があるなら結構いい値段になるんだよね」


 ダンジョン都市ではお肉といえばダンジョンから回収される物がほとんどだ。ダンジョン都市内では野菜や果物といったものは小規模ながらも作られているし、ダンジョン都市外縁部でも作られている。


 だがダンジョン都市内や近郊には畜産が出来るほどの場所がないため、どうしても供給元はダンジョンかダンジョン都市から離れた場所からになる。


 その関係上どうしてもお肉というものは高価だったりするのだ。ブラックグリズリーベアの肉は、ミノタウロスが落とす高級肉に比べると安価になるが、量が段違いなので持って帰る苦労を考慮しなければそれなりの実入りになる。


 小型ダンジョンの中には、お肉だけを落とす敵が出てくる所もあり、そのお肉を狙ったお肉ハンターと呼ばれるものもいる。

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