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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第45話 リンネとレイネの想い

 昼食を済ませ、リンネとレイネは念入りに歯磨きを済ませ、満を持して覚醒者協会の地下へと向かう。リンネの心臓は自然と高鳴り、体の体温も心なしか上昇している。それはレイネも同じで、気恥ずかしさからお互いの顔を見れないでいる。


「来たね、準備は出来ているよ」


 地下に降りるとリオンとゲンタが待っていた。リンネたちはリオンの案内に従って付いていき、ある部屋に入り込んだ。その部屋はガラスで仕切られた部屋になっている。


 ガラス越しに見える部屋にはキングサイズのベッドが置かれており、他にも病院などで心電図を測ったりするような観測機械が用意されている。


「さて、リンネくんレイネくん最後に確認になるがいいんだね」


「はい、俺は大丈夫です」


「私も良いですよ」


「ゲンタにはこちらから連絡して了解は取っておいた」


「あっ、忘れてました、わざわざすみません」


「あーそれとだ、リンネくんとレイネくん以外は部屋の外で待っていてもらいたい。機密といったこともあるが、二人はそういった行為を見られたくないだろう」


「そ、それはそうだな、みんなに見られてってのはなんだかな。みんなゴメンだけど外で待ってたもらえるか」


「そうだね、ボクたちは外で待っているよ」


「少し興味がありましたがしかたありませんわね」


 アカリ、ミレイ、ライチ、アズサは部屋から出ていく。それを見送りながらレイネ「(私は別に見られても良かったんだけどなー、むしろ見せつけるつもりだったのに)」と呟いている。


「ん? レイネ何か言ったか?」


「何も言ってないよ」


「それでは、二人にはこちらに着替えてくれ、着替えが終わったら部屋の中に来てくれ」


 リオンから病院で着るような診察衣を渡される。リンネとレイネはささっと着替えを済ませて部屋の中に入る。部屋の中にはガラス越しに見えていた大きな丸いベッドが中央に鎮座している。


「このベッドどうしたんですか? いつもここにあるわけじゃないですよね」


「ああ、君たちがお昼に行っている間に借りてきたものだよ、ここには仮眠用の小さいベッドしかなかったからね」


「ほんとおっきいベッドですね」


 レイネはベッドへ上がりごろごろとしている。それを一瞥してからリオンはリンネに座るように促す。


「リンネくん、レイネくん、まずはこちらの機器とμα(ミーア)を接続してもらえないだろうか」


「わかりました」


 まずはリンネがμαを操作して医療機器とリンクをする。リンクが完了すると医療機器を通してリンネのバイタルデータが表示される。


「次はレイネくんだ、こちらの機械とリンクをお願いするよ」


「はーい」


 レイネもリンネ同様医療機器にリンクを済ませる、こちらの方もレイネのバイタルデータが表示されている。


「よし準備は整った、私はあちらでモニタリングしているから」


 リオンはそう言ってガラス越しにある部屋の方へ指をし示して出ていった。急に二人になってリンネは戸惑っているが、レイネに関してはばっちこいといった感じでベッドの上でペタン座りをしている。


「いつでも始めてもらって良い」


 マイク越しにリオンの声が聞こえてくる。リンネはベッドに上がり込むとレイネの正面に座る。


「あー、その、今更だけどレイネは良いのか?」


「良いに決まってるじゃない、むしろ願ったり叶ったりだよ」


「そうか」


 リンネは一度目を閉じるとすーはーすーはーと深呼吸をすると再び目を開け、レイネの顔を見つめる。リンネはそっとレイネの肩に手を置くと、ゆっくりと顔を近づけていき、レイネはゆっくりと目をつぶりその時を待っている。


 だがいつまで経ってもリンネの唇が触れる感触はやってこない、そしてレイネの肩に載せられていた手が離れるのを感じレイネは目を開けた。


「どうしたのお兄ちゃん?」


「いや、俺たち兄妹なわけだろ、本当に良いのかなと思ってだな。」


「もう、お兄ちゃんの意気地なし、私が良いって言ってるんだから」


 レイネはそう言って、リンネを押し倒し馬乗りになる。


「おま──」


「兄妹だからなんて関係ないよ、私はお兄ちゃんが、ううん、リンネが大好きなんだからね」


 そしてレイネはリンネの唇に自らの唇を重ねた。



 レイネが目を開けるとそこは何もない真っ白な空間だった。レイネはすぐにここがリンネとアカリから聞いていた仮想空間なのだと察することが出来た。聞いていたとおりにレイネは一糸まとわぬ裸の状態だった。


 それを確認したと同時にレイネは一瞬のうちに制服姿になっていた。辺りを見回すと同じ制服を着たリンネの姿が目に入った。


「お兄ちゃん」


 リンネがレイネの所へ歩いて来る。


「その、レイネ」


「お兄ちゃん、今はまだ兄妹でいいよ、だけどいつかは兄妹じゃない関係になりたいと思ってる」


 リンネは覚悟を決めた顔をしてレイネと向き合う。


「俺って駄目な兄だな、レイネにここまで言われないと自分の気持にも気がつかなかったんだから。俺はずっとレイネのことを大切な妹だと思ってたし、それ以上は考えないようにしていた」


 リンネは一度言葉を止めて、レイネの瞳をまっすぐに見つめる。


「俺はきっと男のままだったら、兄妹だって事を理由にして一生この気持ちに気が付かないふりをしていたと思う。だけど今はもうこんな姿になったから、兄妹だって事を言い訳にするのはやめる。俺はレイネのことが好きだ、兄妹としての好きじゃなくて、一人の女の子として好きだ、これが俺の嘘偽りのない本心だよ」


「おにい、ちゃん、ほんとう?」


「ああ、本当だ」


 レイネの瞳から涙が溢れてくる。


「泣くなよ」


「だって、だって、嬉しんだもん」


 リンネはハンカチを作り出すとレイネの涙を拭う。そしてレイネを抱きしめ背中をトントンと撫でる。しばらくの間この白しか無い空間にレイネのすすり泣く声だけが流れていた。


 しばらくしてレイネは落ち着き、リンネから少しだけ視線をあわせる。


「えへへ、お兄ちゃん大好きだよ」


「俺もレイネのことが好きだ」


 見つめ合う二人は、ゆっくりと顔を近づけていき唇を重ねる。


「リンネお母さん、そろそろいいですか?」


 カリンの声が聞こえ、リンネとレイネは距離を取った。その二人の目の前には空宙に浮いているカリンの姿があった。


「カリンどうしてここに」


「あっ、私にもカリンちゃんの声が聞こえる、思ってた通り可愛らしい声だね」


「ありがとうございますレイネさん。それとどうしてここにいるかはボクはリンネお母さんのμαを起点としているからですよ」


「あー確かそんな事を聞いたような気がするな。それよりも、いるならいるって言ってくれたら良かったのに」


 今までのことを全部見られていたらと思うと少しいたたまれない気分になったリンネとレイネだった。

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