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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第43話 バレる前にバラす

 焼肉パーティーの片付けを終え、順番にお風呂に入り全員がリビングでくつろいでいる。夜に女子がこれだけ集まれば普通なら恋バナでも始まりそうなものだが、残念ながら、彼女たちが通っているのは女子校である。


 そういった訳で、残念なことにそういった話題は起きようもなかった。では何の話をしているかと言うと、リンネに関してのことである。


 早い話が、バレる前にバラしたといったところである。そもそもアズサとライチの二人もレイネやアカリとは小学校からの友達であるわけで、その二人からして急にアカリがリンネたちと一緒に暮らすようになった事を疑問に思っていた。


 そして極めつけは、家に入った所で見えるようになったカリンの存在である。カリンの姿はアカリとリンネを掛け合わせたような見た目をしている。そんなカリンが家の中を自由自在に飛び回り、リンネとアカリと会話をしている。


 そんな姿を見てしまえば、色々と聞きたくなるのが普通だろう。そして、面倒くさがりなリンネとレイネの二人は、バラしてしまうことにしたといった流れである。


「うちが聞いておいて何だけど、教えてもらってよかったの?」


「そもそも同じパーティーだからね、そのうち言おうとは思ってたんだよ、アズサもライチも人に言いふらす性格じゃないでしょ」


「わたしは秘密は守る、です」


「うちも言いふらしたりはしないかな、そもそも言いふらす相手なんていないし」


「それにしてもリンネさんがねー、最後に会ったのってかなり前だよね」


「ライチとアズサに最後に会ったのは5,6年前だったかな」


 そんなリンネをしげしげと眺めるライチ。男の子だった頃のリンネを思い出そうとしても、今のリンネの姿と重ねることは出来ないようだった。だがリンネやレイネ、アカリとミレイまでもが、目の前の銀髪の美少女となった少女をリンネだと言う。


 そこまで言われてしまうと信じるしかなかった。アズサも同様で内心ではどう思っているのかは分からないが、そういうこともあるのかと言った感じである。


「まあ、分かった、リンがリンネさんだったっていうのは信じる。それで、このカリンちゃんだっけ? この子はなんなのかな?」


「その子はね、ボクとリンネさんの子どもなんだよ」


「……は?」


 ライチはわけがわからないといった感じで首を傾げている。


「アカリ、それじゃあ訳がわからないと思うよ」


 リンネはライチとアズサに、中等部ダンジョンで起きたこと、そしてワルキューレが生まれた経緯とワルキューレ化のことなどを一通り話すことにした。


「そんな大変な時にうちは何も出来なくてごめん」


 話を聞き終わったライチが、そう言ってアカリに抱きついて泣いている。アズサはただ無言でソファーの上で三角座りをして顔を埋めていて、レイネがそのアズサの背中を撫でている。


「結果的にわたくしたちは無事でしたわ、ライチもアズサもそう気に病む必要は無いですわよ」


「今改めて考えるとあのことって起こるべくして起きたんじゃないかなって思えてるんだよね」


 レイネがカリンを見ながらそう言った。それに合わせて全員の視線がカリンに集まる。カリンはその視線を受けながらも平然としていて、すべてわかっているような微笑みを浮かべている。


「カリンは何か知ってるの?」


 アカリがカリンに問いかける。


『ボクが今言えることは少ないですけど、ひつと言える事は最初に生まれるワルキューレはボクではなかった可能性もあったのです』


「それってどいう事?」


『すべての起点はリンネお母さんなのです。ボクが生まれたあの日、あの場所へ行かなければボクがあのタイミングで生まれる事はなかった。その代わりに別の時、別の場所で、リンネお母さんと今この場にいる誰か、そしてここにはいない誰かとの間にワルキューレが生まれる可能性もあったということです』


「カリンはなんでそんな事を知っているんだ? まるでカリンは今現在以外の記憶があるように思えるのだけど」


『それに関しては今は言うことが出来ないのです、ですがボクの姉妹が増えればおのずと分かると思います』


「それにしても、この中の誰かか、それってライチやアズサも含まれてるのかな? いやそれよりもだ、ここにいない誰かって誰だよ」


『それに関してはボクからは何も言えません、でも全てはリンネお母さん次第といった所です』


「俺次第って言われてもな」


 今のリンネにとって、レイネやアカリやミレイたちからは、あからさまなほど好意を寄せられているのはわかっている。逆にライチとアズサに関しては特にそういったこともなく、リンネからしても思うところはなかった。嫌っている訳では無いが、レイネたちに対して持っている想いは今のところライチとアズサには感じられていない。


 とりあえずといった感じで、リンネとアカリがカリンと話した内容を共有しておくことにした。


「うちとリンネさんの間にもカリンちゃんのような存在が生まれるってこと? ちょっと想像できないかな」


「わたしとリンネさんの、こ、こ、こ……」


 アズサが目を回し、顔を真っ赤にしてソファーに倒れ込んだ。


「明日覚醒者協会で俺たちの事を調べてくれている人に話をしてみようと思ってた所だから、みんなも一緒に来てみる?」


「ふふふ、興味がそそられるね、うちも話を聞いてみたいね。今のところリンネさんに恋愛感情などはないけど、カリンちゃんの言った感じだとうちも可能性はあるってことだろうからね」


「わたしも、聞いてみたい、です」


 ライチに続いてアズサも倒れたまま手を上げて参加を表明する。


「ボクも行くよ」


「わたくしも参加しますわよ」


『ボクも参加しますよー』


 結局は全員で覚醒者協会へ向かうことになった。話も終わり今日は寝ましょうと言うことでそれぞれの部屋へ戻っていく。リンネ、ミレイ、アカリの三人がそれぞれの部屋へ入っていくのを確認したレイネがライチに話しかける。


「ライチとアズサは私のベッドを使っていいから、二人で寝てね」


「ベッドを借りられるのは良いのだけど、レイネはどうするんだい?」


「私はお兄ちゃんと一緒に寝るから大丈夫だよ」


 レイネはそう言ってリンネの部屋に入ろうとするが、その手前に来た所でいつの間にか部屋から出てきていたアカリとミレイに両肩を掴まれた。


「レイネー抜け駆けは駄目だよー」


「レイネ、どこへ行こうとしているのかしら?」


「あー、えーっと、お兄ちゃんにお休みを言おうとしただけだよ」


「ふんふん、それは大事なことですわね、私たちも一緒にお休みをいいましょうか」


 ミレイは空いている手でリンネの部屋をノックする。中からリンネが顔を出した所で、お休みの挨拶を交わして扉が閉められる。


「さてと、レイネさん、あなたはわたくしとねますわよ」


「自分の部屋でって、ライチ達に貸したんだった」


「そういうわけですので、部屋へ行きますわよ」


「わかった、ミレイありがとうね。アカリはお休み」


「レイネ、ミレイお休み」


 アカリは自分の部屋へ入っていき、レイネはミレイの部屋の中へと連れ込まれる。


「一緒に寝るのは良いけど、変なことしないでよね」


「しませんわよ、バカなこと言ってないで奥に入って下さいませ」


 レイネが先にベッドへ入り、その横にミレイも入り込む。


「お休みミレイ」


「レイネもおやすみなさいませ」


 翌日いつまでも起きてこないレイネとミレイを起こすために、部屋へと訪ねていったリンネが見たものは、乱れまくった服装で腕ひしぎ十字固めをされたレイネの姿だった。

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