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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第40話 栄養の行方

 学園の事務所でミスリル銀を処理したリンネたちは、学園内のカフェの個室に集まっていた。目の前のテーブルの上には所狭しと料理が並べられている。焼き鳥やフライドポテト、唐揚げにおにぎりなどなどがあり、誰が注文したのか枝豆などもあった。


 ミスリル銀を売ったお金は全員で均等に分配され、そこそこの臨時収入となっていた。そしてその結果がこの状態だったりするわけだ。


 ほんの少し前に億単位のお金を得ているリンネたちがわざわざ金策をしていたのかというと、別にゲンタが預かっているとかそういったわけではない。リンネを始めレイネもアカリもミレイも根が小市民であり、急に大金を手に入れても持て余してしまっているからだった。


 高校生がいきなりポンッと億のお金を渡されても、どうして良いかわからないといったところだ。アカリは壊れた装備を新調するのに使ったりはしたが、それでも100万はかかっていない。リンネとレイネの装備に関してはゲンタ持ちで購入されており、武器に関してもゲンタの倉庫から持ち出しているので、リンネもレイネも自身のお金は使われていない。


 リンネとレイネはゲンタにお金を払おうとはしたのだが、断られたという経緯もある。そんなわけでお金はほぼ全額貯金になっている。この時代、一度世界が崩壊しかけたこともあり、株式や投資といったものがなくなっている。


 そしてお金に関しては紙幣や硬化といったものも西暦の終わりの頃には既に無くなっている。現在ではすべてがデジタル通貨となり国によって一括運営されている。税金なども自動で引き落とされるようになっており確定申告といったものもなくなっている。


 税金関係だが、ダンジョンで得たものを売った際は学生だろうが関係なく税金が引かれるようになっており、今回のミスリル銀も売った時点で自動的に税金が引かれている。



「みんなお疲れ様ー、久しぶりの実戦の人もいたと思うけど誰一人として怪我なく帰ってこれました。こうして臨時収入もあったことなので、今日は時間まで好きに飲み食いしましょう。それではみんなコップを持って、かんぱーい」


「「「かんぱーい」」」


 皆がジュースの入ったコップを打ち付けて食事を始める。ダンジョンでお腹をすかせていたようで、並べられている料理がみるみるうちに減っていく。一体どこに入るのかといった具合にどんどん減っていく数々の料理と積み上がっていく空っぽの器。


 減った側から料理が追加されていく。料理を平らげ、お腹がある程度落ち着いた面々だが、そこで終わりではなかった。注文され持ち込まれてくるスイーツ、ケーキにパフェにアイスと様々だ。リンネはデザートに手を出し始めた面々を見て、どこに入るのだろうかと食後のコーヒーを飲みながら眺めている。


「はぁー食べた食べた」


 お腹をポンポンと叩きながらレイネが満足そうにしている。あれだけ食べたというのにその栄養は一体どこにいっているのだろうか、ただわかるのは胸部には一切栄養が回っていないということだけだろうか。


「うちも満足ー、久しぶりの甘味は絶品だった」


「わたしも普段以上に食べたかも知れない、です」


「ボクはまだ入るけど今日はこれで許してあげるよ」


「わたくしももう食べられませんわ」


 一人を除いてみんな満足したようだ。あれだけ食べてまだ満足出来ていないアカリはちょっとどうかと思われる。


「それじゃあ、締めのラーメンでも───」


「「「もう無理ー」」」


 アカリがラーメンを頼もうとしたが流石に締めのラーメンは無理のようだ。


「じゃあボクもやーめた」


 本気でラーメンを食べようとしていたらしい、というよりも締めのラーメンなんて発想がどこから出てきたのだろうか。あれはお酒を飲むことでアルコールを分解させるために糖が必要だから欲するわけで、お酒を飲んでないアカリが食べたいとか謎ではある。ただ単にまだ食えるだけってことだったのだろうか。


「もういいかな、それで明日はどうする?」


「明日はもうちょっと先に進みたいかな」


「ボクもそれが良いと思うよ、五階層か六階層辺りに行く?」


「そうですわね、帰りも考えますと行けても十階層辺りまでですわね」


「うちはまだ十階層は早いとおもうけどね」


「なら五階層を目指して、余裕があれば六階層に行くってことでいいかな」


 リンネがレイネたちをぐるりと見回して、全員が頷くのを確認して決定した。話し合いも終わり解散という事で、電子カードで支払いを済ませて外に出る。


「それじゃあ、また明日」


 学園から出るとリンネはアズサとライチにそう言って、レイネたちと帰路についた。アズサとライチはリンネ達同様に寮住まいではなく、それぞれの実家から通っている。


「リンもレイネもお疲れー」


 ライチがそう言ってアズサと歩いていった。


「それじゃあ俺たちも帰るか」


 ライチたちを見送ったリンネが振り向いてそう言うと、後ろでは誰がリンネの横を歩くのかを決めるじゃんけんが繰り広げられていた。覚醒者なうえに動体視力や反射神経を全力で駆使しているため、三人によるじゃんけんバトルは終りが見えない。


 アカリの側ではカリンが『アカリお母さんがんばれー』と応援している。リンネはそんなレイネたちを見て少し混ざりたく思っていたりする。結局じゃんけんバトルはおよそ一時間、家に帰り着くまで決着がつかなかった。その間ほっとかれていたリンネが少しだけしょんぼりしていたとだけ言っておこう。



 翌日の放課後、リンネたちはダンジョンの五階層まで到着していた。一階層はウィード、二階層はフォレストウルフ、三階層はロックゴーレムとロックアリゲーター、そして四階層はダーククロウとソードスワロウとなっている。


 ダーククロウは見た目がカラスの姿をしているが大きさが100cmほどの大きさがある。ソードスワロウはダーククロウとは逆に、スワロウと呼ばれる通り見た目はツバメなのだが、その翼が刃物のように鋭い。


 そんな四階層だが、不人気で滞在するものはほとんどいない。出てくる敵が鳥系という事で攻撃が届かないことや、空からの奇襲を警戒しないといけないといった事が忌避される原因でもある。


 ただ四階層が避けられる一番の理由は糞である。そうなのだ、奴らは木の枝に潜み気配を消し、その下を通った者をあざ笑うかのように糞を落としてくるのだ。


 被害者の数は数しれず、数年前には学生が徒党を組んで殲滅を試みた事もあったくらいだが、結局はいくら倒してもその数を減らすことがないのでいつしか四階層は通り抜けられる階層になっていた。


 ただ好き好んでここで戦うものもいる。弓師やレンジャーにガンナーといった遠距離狙撃系のクラスを持つ者たちだ。気配を消し、姿を隠し、そして狙い撃つといった鍛錬の場として重宝されている。


 アズサも一時期はこの四階層で、臨時パーティーを組み鍛錬をしていた。

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