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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第32話 色々と確認する

 中等部ダンジョンから帰還を果たしたリンネたちだが、すぐさま待機していた救護班に連れられ、学園内にある病院施設で入院することになった。


 真っ先に精密検査をされて、怪我の具合などを調べられた。結果はリオンのポーションのお陰で目立った外傷はなく、内臓もこれといった異常は見受けられなかった。


 あえて症状を言うとするなら全員が疲労困憊だということと一晩寝た後に襲ってきた筋肉痛であった。特にひどかったのはリンネとアカリの二人だったが、検査をした医師も何をどうしたらここまで酷い筋肉痛になるのか不思議がっていた。後々ポーションが原因だとリオンに教えられるのだが、リンネとアカリは三位一体となった影響だと思っていた。


 リオンは翌日早々に退院を果たし出ていったが、落ち着いたら報告がてら覚醒者協会に来るようにと、リンネとアカリは厳命されている。流石にリオンも筋肉痛でまともに動けない二人からすぐさま話を聞くのは忍びないと思ったようだ。


 リンネとアカリがまともに動けるようになり退院を果たしたのが入院から3日後だった。その頃にはレイネもミレイも心身ともに回復していたので、同時の退院としてもらった。


 退院を果たしたことで、ダンジョン内であったことやカリンについて、そしてリンネの事情なども含めて詳しい話をしようとなった折にちょうど霧影きりかげゲンタから連絡がきた。そこで皆で覚醒者協会へと向かうことになった。


 覚醒者協会のロビーで待っていた祭音さいねリオンと合流して乗り込んだエレベーターは、いつもの地下ではなく上へとあがっていく。てっきり地下へ行くと思っていたリンネだったが、リンネたちが連れて行かれたのは最上階の支部長室と書かれた部屋だった。


 リオンはノックすらせずそのまま扉を開けるとズカズカと中に入っていく。


「えっと入って良いのかな?」


 リンネが疑問に思ったのも普通のことだろう、どう考えても目の前の部屋はこの覚醒者協会第一支部の一番偉い人の部屋である。入っていいものなのかと迷うのは当たり前だ。


「遠慮せず入ってきたまえ」


 部屋の中から入ってくるように言われ、リンネたちは覚悟を決めて部屋の中へ入っていく。入って中央には高そうな執務机がありその執務机の前には、これまた高そうなソファーとテーブルが置かれている。ソファーには既にリオンとゲンタが座っていた。


「まあまずは座れ」


 ゲンタに従うようにリンネたちは部屋をキョロキョロと見回しながら空いているソファーに四人並んで着席する。


「リンネ、レイネ見舞いに行けなくてすまなかったな」


「おじさんが忙しいのはわかってたし、怪我はポーションで治っていたから気にしなてないよ」


「うん、私もお兄ちゃんと同じだよ、それにしてもおじさんってもしかして支部長だったりするの?」


 レイネが部屋をぐるりと見回して問いかける。


「お前な今更かよ」


「俺も初耳なんだけど、ずっと研究者かなんかだと思ってた」


「それに関しては言ってなかったお前も悪いだろ」


「言ってなかったかな? いやまあこの話は良いだろ」


 ゲンタは一旦この話を締め切って、黙って話を聞いているアカリとミレイに視線を向ける。


「アカリちゃんは久しぶりだな、随分大きくなったな」


「お久しぶりですゲンタおじさん、確か最後に会ったのは小学校の卒業式だったかな?」


「ということは4年ぶりってことになるのか、そりゃあ大きくなるわけだな」


 次いでミレイにゲンタは話しかける。


「ミレイは改めて挨拶はいらないか」


「そうですわね、顔を直接合わせるのは久しぶりですけど、普段から連絡はしておりますからね」


「えっ、ミレイとおじさんってそういう仲だったの」


「違いますわ、何を勘違いしてますの、顔を合わせるのは久しぶりと言いましたわよね」


「まあなんだ、今まで黙ってたがミレイはな、お前らの従姉妹なんだわ」


「あーそうなんだ……」


「だからか、一緒に暮らしていた時なんだけどさ、あの頃のレイネとミレイって見分けがつかないほどそっくりだったんだよな」


「確かに小学校でも双子だと思われてたんだよね」


「懐かしいですわね」


「そんなわけでだ、リンネの事情はお前らと合流する前に伝えておいた」


「もしかして食堂で再会した時には知ってたってこと?」


「ええ、知ってましたわ、リンネお・に・い・さ・ま」


「うごぁ、なんだこの破壊力は」


 何故か上目遣いでミレイにお兄様と言われた事で身悶えだすリンネ。その症状の発症の切っ掛けはサウザンドシスターメモリアルの影響なのかも知れない。


「もしかして兄ちゃんより、お兄様って呼んだ方がいいの?」


「それはそれ、これはこれだ、どちらもそれぞれの良さというものがだな」


 このままだとリンネの馬鹿話が続きそうなのだと思ったのか、リオンが「そろそろ話を進めてくれないか」と言って話を止める。


「まあリンネの馬鹿話は後でゆっくりやってくれ、それよりだ今日来てもらったのはリンネとアカリちゃんに関してだな、報告はリオンから受けているが詳しい事は二人から聞きたくてな」


 それを聞いてリンネとアカリは一度視線を交わし、あの時何があったかを話し始める。アカリを救うためにゲンタから預かったポーションを使ったことから始まり、ポーションを飲ませるために口移しで飲ませたこと。


 気がつけばμα(ミーア)の作り出した仮想空間にいた事、そこでカリンと出会い戦乙女のスキルが開放され三位一体となりゴブリンキングを倒すことが出来たと締めくくる。


「にわかに信じがたいが、リオンが録画していた映像にしっかり映ってるからな。それでそのカリンっていう子は今も《《お前たちにだけ》》見えているのか?」


「目の前のテーブルの上に座ってる」


「うん、ボクにも同じで見えてますよ」


「実に興味深いな、どうにかして直接会話をしてみたいものだな」


 リオンがどうにか見えないものかとテーブルに目を向け見回しているが見えていないようだ。逆にリンネとアカリのμα(ミーア)にはテーブルにペタン座りしているのが見えている。


「出来なくはないけど、今は無理みたいです」


「ほう、方法があるのかね、私に協力ができることがあれば何でもするが」


「えっと、そうですね入院中にカリンに聞いてみたんだけど───」


 アカリがカリンに聞いたことを思い出しながら話し始める。



 筋肉痛のためベッドに寝転んだままのアカリだが、目の前に見えているカリンに話しかける。


「ねえカリン、あのワルキューレの状態になるには、ボクとリンネさんが、その、もう一度、き、キスをしたらなれるの?」


『答えはYESでありNOです」


「そうなの?」


『今のままだとスキルワルキューレは発動することが出来ません、理由としてはお二人の間にラブ(love)が足りないからです』


「……ラブ? どういうこと?」


『ラブ、愛情、親愛、信頼などそういった思いが蓄積されて初めてワルキューレになることが出来ます、現在はすべて消費されていますので残量はゼロに近いです』


「そうなんだ、それってどうやって貯めるの?」


『アカリお母さんとリンネお母さんのお二人なら一緒にいるだけでも補充されます。後はスキンシップをすることや、会話をすることが大事ですね』


「そっかー仲良くするのが大事ってことだね」


『えーっと、はい、そういう感じです』


 そこはかとなくカリンのアカリを見る目が、残念な子を見るような目になっている。


『それとアカリお母さんとリンネお母さんのμα(ミーア)にラブがどれくらい溜まっているのかのゲージを表示できるようにしますね』


 カリンがそう言うとアカリの視界には三分の一ほど溜まっているゲージが現れた。



「ほう、興味深いことだな、ちなみにだ仮に私とリンネくん、もしくは私とアカリくんと口づけをした場合はどうなるのか聞いてみてくれないかい」


「『アカリお母さんと口づけをしても何も起こりませんが、リンネお母さんとお互いに想いが重なっていれば新たなワルキューレが誕生します』だそうです」


「リンネくん、試しに私と口づけをしてみるのはどうかね」


「しませんよ、そもそも俺はともかくとしてリオンさんは俺のことを」


 突然リオンがテーブルを乗り越えてリンネの唇を塞いだ。それから何秒か経った後に唇が離れる。その離れていくリオンの唇とリンネの唇をつなぐように唾液が糸を引いているのが見えた。


「残念ながら私とリンネくんの間にはスキルワルキューレは発動しなかったようだな」


 それだけ言ってリオンはぺろりと唇を舐めた後再びソファーに座った。突然のことに固まる面々、最初に復帰したのはレイネだった。


「な、な、な、何やってるんですかー」


 室内にレイネの叫び声が響き渡った。




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