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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第30話 アカリ×リンネ=◯◯

 リンネは少女に対して、ずっと聞きたかったことを聞いてみることにした。


「まずは、何か着るものってないかな?」


 お忘れの方もいるかも知れないが、リンネとアカリの二人はずっと全裸なのである。一応衣服を求める辺り新しい扉を開いてはいないようだ。


「…………あっはい、ここはリンネお母さんのμα(ミーア)内に作り出された仮想空間です。ですのでリンネお母さんが心から望めば衣服はすぐにでも生成されます」


 それを聞いてリンネは早速服がほしいと願う、すると裸だったリンネの姿が一瞬のうちに、ここ最近ほぼ毎日着ている学園の制服の姿になった。


「あのリンネさん、ボクの服もお願いできるかな?」


「あっごめん、すぐに用意する」


 リンネがそう答えた直後すぐにアカリの姿も変化する。アカリの姿は制服姿ではなくダンジョン内で着ている装備になっている。リンネにとって一番見慣れている衣装がこれだったのであろう。ここはリンネのμαが作り出した空間ということなので、アカリが願っても衣服を作り出すことは出来なかったようだ。


「願ったことが起きるということはこういう事もできるのか?」


 リンネがそう言うと同時に、目の前に丸テーブルと椅子が2つ出てきた。


「さすがリンネお母さんですね」


 少女はテーブルの上に降り立ちそのままペタン座りをする。リンネとアカリも椅子に座り、裸でなくなったことも合わせてやっと人心地が付いたようだ。


「それじゃあ、まずは何から聞こうか……、えっと名前とかはあるのか?」


「名前ですか、私はクラス戦乙女の専用スキルワルキューレによって生み出されました、名前になるかはわかりませんが今後のことも考えて呼び名はワルキューレ01(ゼロイチ)といったところでしょうか」


「色々聞きたいことが増えたがワルキューレか、それじゃあ───」


「だったらボクが名前決めてもいいかな、ボクとリンネさんの子供だからね」


「あ、ああ、何か良いのが思いついたのならいいかもな、別にこっちで決めても良いんだよな?」


「それはアカリお母さんとリンネお母さんに名付けてもらったほうがボクは嬉しいです」


 少し考える素振りをするアカリだが既に名前は決めている、なぜ既に決めているかはもし子供が出来たらなどという妄想をしていた結果である。ちなみに誰と誰の間に子供が出来たらというのはご想像におまかせする。


「うん、それじゃあね、カリンとかどうかな? ボクのアカリとリンネさんの名前を合わせたのだけど」


 ご想像におまかせするとはいったが、隠す気が全く無くて想像するまでもなかった。アカリは今までレイネに遠慮をしていて秘めた想いを隠していたのだが、死を感じたことに加え目の前に子どもを名乗る少女が現れた事で、積極的にアタックすることに決めたようだ。


「カリンか、良いんじゃないか」


「カリン、カリン……、ボクの名前はカリン、アカリお母さんリンネお母さんありがとうございます、今からボクはカリンです」


 カリンは勢いよく頭を下げてお礼を言い再び頭を上げる。カリンの表情は凄く嬉しそうに輝いて見えた。


「名前も決まったことだし、カリンに改めて聞きたいことがある。この空間、μα(ミーア)が作り出した仮想空間といったが、俺はμαにそういった機能があるのは聞いたことがない。これは《《俺以外の》》μαにも備わってるのか?」


「いいえ、今現在ではリンネお母さんのμαだけに備わっている機能です」


「やっぱりそうなるか、ちなみにクラス戦乙女と関係があるんだよな」


「はい、ですが詳細をお伝えする権限は今の《《ボク達》》にありません」


「今の《《ボク達》》ね、まあいいその辺りは気にしても仕方がないと思ってたからな、それに知らないほうがいいって事もあるだろう」


 さすが長年引きこもってゲームばかりしていただけはあり、そういった考えにすぐさまたどり着き、恥ずかしげもなく言い切ってしまう。なんとなく訳知りのような態度をしているが流れに乗って言っただけで特に深くは考えていなかったりする。


「ごめんなさいリンネお母さん」


「気にするな、それよりもだそのお母さんっていうのはやめてほしいのだけど」


 リンネは先程からお母さんと言われるたびに切ない気持ちになっていた。


「だめ、ですか?」


 カリンはいかにも悲しげに顔を曇らせ、目に涙を溜めながらリンネを見つめている。


「うっ、駄目じゃないです、呼びにくくないかなと思っただけだから」


 女の子の涙にはめっぽう弱いリンネであった。だがカリンはリンネとアカリの生体情報から生まれた存在である。そんなカリンにとってリンネを手玉に取るのは簡単なことだ。あざとい実にあざとい存在である。


 ガクリといった感じでうなだれているリンネに代わりアカリがカリンに質問を投げかける。


「そもそもカリンってどうして生まれたの? リンネさんのスキルから生まれたのはわかるけど、どうしてボクなのかとかどうやってボクをこの空間に連れてきたとか疑問なんだけど」


「それはですね、スキルワルキューレの発動条件が、好意を持つ者同士による生体情報の融合となっているからです」


「生体情報の融合?」


「血液や唾液などを始めとする生体情報を有する液体のことです」


「あーそうなんだ、ボク結構大怪我してたしリンネさんに助けられた時に抱かれた気がするから、その時に混ざったのかな」


「いいえ、生体情報が融合されたのはリンネお母さんが───」


「そうそう、そうだよアカリ、すごい怪我だったからなぁ……」


 少しずつ語尾が小さくなっていくリンネを、この流れでカリンの言葉を遮ったのが二度目なこともあり、流石におかしいと思ったアカリがリンネをじとーっとした目で見ている。


 これはもう無理だと感じたリンネは椅子から立ち上がり流れるような動作でアカリに向かって土下座する。


「ごめんアカリ、人命救助のためとはいえ口移しでポーションをだな」


「リンネさん立ってください、ボクは怒ってないから」


 アカリがリンネに向かって手を伸ばすと、リンネは頭を上げてアカリの手を取り立ち上がった。


「怒ってないですけど、責任はとってください、ね」


「お、おう」


「初めてだったんだから」


「わかった、できるだけのことはさせてもらう」


 リンネの中では女の子のファーストキスとは特別なものという知識がある。ちなみにその知識の源泉はギャルゲーである辺りが残念で仕方がない。実際のところはというと言わぬが花であろう。


「あー、それでアカリも聞いてたがカリンはどういった理由で生まれたんだ? 何の意味もなく生体情報を融合しただけの理由で生まれたわけではないんだろ」


「そうですね、ボクが生まれた理由はクラス戦乙女のスキルであるワルキューレ、それが深く関わっています。このワルキューレの発動条件は先程も言ったように好意を持つ者同士の生体情報の融合です。ボクの存在はその副次的なものでしかありません、スキルワルキューレの真価とは───」


 それを聞いたリンネとアカリは戸惑いながらも、外で今もレイネが戦っているであろうゴブリンキングを倒す手立てを手に入れた事を意識し頷きあった。




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