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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第23話 運命が廻り始める

 椅子に腰掛けテーブルの上に今回の検査結果の紙が並べられる。


「検査結果だが特に異常は見られない、身体能力の伸びも私の想定していた範囲内だ」


「そうなんだ、周りがすごいすごいって言うから、俺が変なのかと思ってた」


「そのことに関しては、身体変化したものとしなかったものとの差だとでも思ってもらえばいいだろう」


「つまりは身体変化したら能力の伸びが良いってことですか?」


「レイネくんの言う通りその考えであっている」


「へーそうだったのか、いや身体能力があがりやすいのは助かってるから良いのだけど、ここからまた体の見た目が変わったりするのかちょっと不安だった」


「その可能性は低いだろうな、身長が伸びたり筋肉や脂肪がついたりといった、いたって普通の成長はあるだろうが肉体構造が変化する事はないと思ってほしい。前にも言ったと思うが上級クラスを得られればその限りではないがな」


 筋肉や脂肪という言葉が出たあたりで、リンネとレイネの視線が自然とレイネの胸があると思わしき場所に向いていた。それに気がついたレイネがリンネの脇腹に抜き手を繰り出し、もろに食らったリンネが「うぐふっ」と悶絶している。


「お前ら話くらい真面目に聞け」


 ゲンタに頭を軽くポンポンと叩かれ二人は聞く態勢に戻る。


「いや、私の説明はこれくらいだ、何か気になることや聞きたいことがあれば聞いてくれ」


 リンネはテーブルの上の紙をペラリペラリとめくりながら確認していく。その中にあった数値化された身体能力を前回と比較したものを見ている。


「えっとこれってなんかどれも平均して上がっているみたいなのですけど、結局戦乙女ってどういった感じのクラスなんですか? 見た感じなにかに特化している感じはしないですよね」


「そうだな、数値を見ると特にこれといった長所も短所も見受けられない。一見オールラウンダーのように見えるが、器用貧乏とも取れなくはない、だが不思議な点も幾つかある」


「それは?」


「魔法関係の項目だ。リンネくんの報告を聞く限り君は魔法系統のスキルは持ち合わせていないし使ったことはない、そうだな?」


「ですね、μα(ミーア)を確認してもそういった魔法関係のスキルはまだ生えてませんね、使えるとは思わなかったので練習してないだけですけど」


「だから不思議なんだ、全能力が平均的に上がっている、つまり使ってもいない魔法関係の数値も軒並み上がっている、私の知る限りこのような事例は初めて目にする」


「結局それは悪いことなのですか?」


「ふふふ、普通ならこういった風に上がる場合は、上げ幅が低いのだがね。リンネくん君の場合は別だ。能力値が平均的に上がっているにも関わらず能力の上がり幅は特化クラスと遜色がない、まさに万能といって差し支えないだろう」


「万能ですか」


「そうだ、魔法系のスキルも試してみるが良い、どこまでのものが使えるかはわからないが君の助けになることだろう。聞いている君の戦闘スタイル的に魔法剣士系統のクラスを参考にしてみるのも良いだろう」


「魔法剣士ですか、少し考えてみます」


「他に聞きたいことはあるかい? レイネくんもなにか気になることがあれば聞いてくれていいよ」


「あーんーいえ、今のところ思いつかないです」


「俺も今はこのくらいですね」


「それでは今日はこのあたりにしておこう」


 そう言ってリオンは紙を回収する。リンネたちはリオンに礼を言って部屋から出ていく。


「ああそうだゲンタ、後ほど汎用スキルの資料と魔法に関する物をまとめて置く、それをリンネくんに渡してあげてほしい」


「すまんな助かる」


「気にしなくていい、私自身もリンネくんがどこまで成長できるのか楽しみでならないのだよ」


「それじゃあリンネ達を送ったら戻ってくる」


 リオンはゲンタと一緒に部屋を出て自分の部屋へ向かって歩き出す。



 翌日の放課後、リンネ、レイネ、アカリ、ミレイは最下層まで来ていた。途中の行程も特に問題なく進むことが出来、連携もうまい具合にできていた。そのお陰で進む速度も相応に早くなり、レイネが一人で戦っていた頃に比べると倍近い速度で最下層にたどり着くことが出来た。


 途中で出くわすゴブリン達も全員で戦うことでかなり余裕を持って対処できている。リンネが成長したというのもあるが、レイネやアカリにミレイは半年近く前に攻略をすませている場所だというのも大きいだろう。その結果、特に苦労することもなくボス部屋に辿り着いてしまう。


「どうする? このままボスに行くのか?」


「どうしよう、流石にこんなにサクサク来れるとは思ってなかったんだよね」


「リンさん、ちなみに課題は何が残ってるの?」


「課題はボス撃破とダンジョンクリアのみだな」


「それにしてもかなり速いペースですわ」


 ボス部屋前で座り込み、それぞれが水などを飲んで休憩している。


「リンちゃんはどうしたい?」


「そうだな、今日って木曜だよな」


「そうだよ」


「じゃあさ、ボスは明日攻略することにして、土日ゆっくりするってのはどうだ」


「あっ、ボクはそれに賛成かな」


 ビシッっと手を上げて賛成に回るアカリ。


「わたくしはどちらでも構いませんわ」


 どちらでも決めたことに従うと答えるミレイ。


「私もそれでいいかな」


「じゃあボスは明日にして、もう一周くらい最下層を回って脱出するか」


「「「りょうかーい」」」


 その後は特に何事もなく戦闘をこなし良い時間になったところで脱出をする。食堂で適当に話をしながら反省会。そして帰り際にリンネはミレイからアドレスの交換を申し出された。


「リン、よろしければわたくしとアドレスの交換をいたしませんか?」


 その言葉にリンネはレイネに目配せをする。叔父であるゲンタの話ではミレイとアドレスを交換しても正体がバレることはないだろうということだったが少し不安に思っていた。既にリンネは自分のμαのアドレス帳を確認しており、ミレイが登録されていないのはわかっている。


 アカリの時とは違うのはわかっていてもどうしても不安に思ってしまうのは仕方ないのかも知れない。それに断る理由が思いつかないということもあり了承することにした。


「いいよ」


 リンネが答えると同時に、リンネの視界内に画面がポップアップする。アカリのときと同じアドレスを双方向登録しますかというやつだ。少しためらいがちに了承を押すと、新たに表示がポップアップされた。


・アドレスの登録が完了しました


 と、アカリのときとは違う画面が出て何事もなく登録が終わった。


「ありがとうございますわ」


「こっちこそ、改めてよろしく」


「さてと、今日はこれで解散かな、みんなお疲れ様」


 リンネたちは立ち上がりそれぞれがゴミを処分し、食堂から出て帰路についた。


 そしてこの日の夜、世界各地でダンジョンに異変が起こる。それは偶然なのか、それとも必然だったのか。リンネ達のあずかり知らぬところで始まったこの変化こそが、覚醒から始まったリンネの運命の環が本当に廻り始めた瞬間だったのかも知れない。




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