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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第19話 最下層

 ダンジョン探索6回目も5回目同様に四階層での戦いに明け暮れる。途中からは五匹のゴブリンをリンネは一人で相手取ることができるようになっていた。レイネとアカリはそんなリンネの成長速度を異常と捉えている。


 そのことに関しては後々ゲンタとリオンから話を聞いて、そういうことだったのかと納得することになるがこの時は異常としか思っていなかった。


 レイネとアカリが四階層に降りたのは中等部三年になった頃だったのだが、それでも当時はリンネのように一人で複数のゴブリンを相手取る事はできなかった。


 それとあわせてリンネは複数のスキルを既に使いこなしている。このあたりはクラスによるものとも思えるが、ただ単にリンネの才能の可能性もある。実際の所、リンネ以上にスキルを使いこなせている者もいる。


 そもそもスキルとはなにかというと、大きく分けて三種類存在する。一つはクラス専用スキルと呼ばれるものでもう一つは汎用スキルと言われている、そして最後にユニークスキルとも個別スキルとも言われているものだ。


 クラス専用スキルというのはそのクラスを持つ者にしか使えないスキルである、そして汎用スキルというものは、覚醒したものなら練習さえすれば使うことができるようになるスキルのことだ、ただし適性のような物はあるので、必ずしも習得できるとは限らない。


 そして個別スキルと呼ばれているものは、個人が様々な方法で編み出し作りだした技をスキルにまで昇華させたものがそう呼ばれている。ただし使い手の少なさから世間一般には固有スキルの存在は知られておらず、都市伝説のように思われている。


 リンネがよく使うステップやスラッシュも汎用スキルの部類に入る。ステップというのは使用した時点で慣性などを無視し、任意の方向に強引に移動できるスキルだ、一気に近寄りたいときや、遠距離攻撃を瞬時に避けるためによく使われる。


 スラッシュは手に持つ武器で繰り出される直線攻撃の速度と威力を向上させることができるものだ。人によってスキルというものは同じスキル、違うスキルの区別無く連続で使える間隔が違ったりするのだが、リンネにはそれが存在しないようにも見受けられる。


 そのこともリンネが異常だと思われている一つだろう。レイネはこういった特性こそがリンネのユニーククラス戦乙女の専用スキルなのではないかと思っているが、実際のところは謎のままである。


 一方リンネは戦闘以外の汎用スキルを使えないかといろいろ試してみたのだが、戦闘以外の汎用スキル、例えば料理などの戦闘外スキルは取得できていない。そのことからリンネのユニーククラスの戦乙女が影響してるのではないかという考えが、間違っていないと思われている一因でもある。


「今日はこの辺りで帰ろうか」


「そうだね、思ってたよりも早く余裕を持って戦えるようになってるし、次からは最下層の五階層に挑戦して良いかもしれないね」


「最下層か、確かダンジョンボスがいるんだよな」


「ボス部屋まで行くのも大変だけどね、最下層はボクもリオンも一緒に戦わないと厳しいと思う」


「そうか、終わりも見えてきたことだし気合を入れないとな、今まで大した怪我も負わずに来れたわけだから、このまま無事に課題をこなしたいものだな」


「そうだった、課題ってどんな感じになってるの?」


「課題か? 残りはボス撃破が残ってる感じだな、後は最下層に行った時に追加されるのをこなす感じだろうな」


「順調にクリアできているようで何よりだね」


 その後ダンジョンから出たリンネたちは日課となりつつある食堂での反省会をこなし解散した。その日風呂上がりにリンネがレイネから渡された服はナース服だった。


「そろそろ辞めないか? というかこんなの買っていつ着ろって言うんだよ」


「えー、まだまだあるのに、それに私の選んだ服着てくれるって言ったよね」


「言ったが流石にもういいだろ」


「わかった、それじゃあ今注文しているのまでは着てよね、もったいないから」


「まあそれなら、ってお前追加で買い足してたのかよ」


「な、なんのことかな」


 そう言って目をそらし逃げていくレイネ、それを追いかけるリンネ。しばらく追いかけっこは続くことになるのだが、なにかと騒がしい兄妹である。


 そして翌日の放課後リンネたちは中等部ダンジョンの最下層である五階層に来ている。五階層は上の階層のような草原や森のようなフィールド型とは違い、これぞダンジョンと言えるような石造りの壁の通路で出来ていた。


 通路の幅は人が五人ほどは並んで歩けるくらいはあるので、二か三人が並んで戦うには十分かも知れない。敵の様相も少し変化しており、ゴブリンウォーリアやゴブリンアーチャーに加えゴブリンソーサラーなども出始めてリンネは苦戦を強いられている。


 ゴブリンウォーリアは大きめのタワーシールドと棘の付いたモーニングスターを持っている、その上ゴブリンソーサラーを守るような立ち回りをするのでなかなか厄介である。


 それでも戦えているのは、レイネとアカリが戦闘に参加しているからだ。いくらリンネの成長速度が早いと言えども、三年近くダンジョンに潜り、最近では休日以外ほぼ毎日高等部ダンジョンに潜っていたレイネとアカリには敵わない。


 今もアカリがゴブリンファイターを足止めし、リンネがゴブリンウォーリアと対峙している隙を狙って、レイネが壁を蹴って飛び上がり、ゴブリンウォーリアを飛び越えると呪文を詠唱しているゴブリンソーサラーを一刀のもとに斬り伏せている。


 それに気を取られたゴブリンファイターを、アカリが両手の手斧でゴブリンファイターの剣を挟み込むように左右から打ち付け破壊し、そのままの勢いでとどめを刺している。


 残ったのはゴブリンウォーリアだが、リンネが牽制しているうちにレイネとアカリが加わることであっさりと倒すことが出来た。ゴブリンウォーリアは盾だけでも厄介なのだが、その体にサビの浮いた鉄鎧を装備しているのでなかなか倒すのに苦労している。


「きっついな」


 リンネはその場に座り込み、収納から背負いカバンを取り出すと、中から取り出した水をちびちびと飲みはじめる。


「私たちが最初に来た時よりは随分マシだとは思うけどね」


 レイネとアカリもその場に座り込んで水を飲み始める。


「そうなのか?」


「うん、今の私たちの装備っておじさんの所のでしょ?」


「そうだな」


「実はこれって見た目は普通の初心者用の武器に見えるけど、実際は結構良いものなんだよね」


「そう、なのか?」


「そうだよ、そうじゃないとスラッシュを使ったとしても、お兄ちゃんの技量であんなに簡単にゴブリンとは言え首をはねるなんて出来ないからね」


「さり気なく俺をディスってないか?」


「べっつにー、そんなことないよ、本当のこと言っただけだし」


「リンさんは十分戦えてますよ」


「いやまあ、俺がまだまだだってのは自分でもわかってるから良いんだがな、それよりもこの武器ってどれくらい良いものなんだ?」


「どれくらいって言われても難しいところだね、私は武器の見聞けんぶんができるわけじゃないからね、でも学生が手軽に買えるものじゃないってのはわかるかな」


「ふーん、これがね」


 リンネはショートソードを取り出し見てみるが、そもそもこれ以外の武器を持ったことがないのでわかりようがない。再びショートソードを鞘に入れて立ち上がる。


「今日はあと一戦くらいか?」


「んーどうだろ? もう今日は戻ってもいいかもね」


「それじゃあ、戻りながら敵と遭遇したら戦うって感じでいいか」


「そうだね、それで行きましょうか」


「それじゃあ、全会一致という事で出口に向かいましょう」


 警戒しながらダンジョンを出口に向かい進む。この階層の出口はボス部屋の手前にあるので結局ボス部屋の前まで移動しなければならない。そしてそのまま途中で魔物にも遭遇することなくボス部屋の前まで行き着き、無事にダンジョンから脱出を果たした、外はいつもに比べると早く出てきたからかまだ十分に明るい


 いつも通り職員に挨拶をして食堂で一休みという反省会を開始する。普段よりも帰ってくるのが早かったからかいつもより人が多いように感じられる。そんな中反省会をしているリンネたちに一人の女生徒が声をかけてきた。


「レイネさんにアカリさん、お久しぶりですわね」


と。





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