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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第17話 四階層

 土日は覚醒者協会へ行ったりショッピングをしたりと三人は休日を楽しんだ。そんな土日が明けてダンジョン五日目は四階層に降りてきている。


 ここからはゴブリンも複数のクラスが混合したパーティーを組んで現れるようになる。前衛が剣や槍を持つ戦士、後衛がシーフといった感じで、ついでにゴブリンメイジもまざるので注意が必要だ。流石にここからはリンネ一人では厳しいのでレイネとアカリも参戦している。


「お兄ちゃん今だよ」


「おう」


 レイネとアカリが前衛を足止めしている間を駆け抜けるリンネ。リンネの駆けていく先には呪文を唱え始めたゴブリンメイジがいる。リンネはなんとか呪文が完成する前に攻撃しようと走るが間に合わず、ゴブリンメイジが呪文を完成させて複数の炎の矢が現れるとリンネに殺到する。


「ステップ」


 リンネは飛んでくる矢に向かって更に加速するようにスキルを発動させ、前方へ軽く飛ぶように進む。炎の矢はリンネの頭上を通り過ぎ背後で地面に当たり小さな爆発を起こしている。


「スラッシュ」


 魔法を避けられた事に動揺したゴブリンメイジは、なすすべもなくリンネに一撃で首をはねられ泥のようになり消えていった。それを横目に振り返ると、レイネとアカリも敵を倒し終わったようでリンネに向かい歩いてくる。


「スキルもちゃんと使えてるね」


「まあステップは誰でも覚えられる汎用スキルだし、スラッシュも似たようなものだからな」


「リンさんはまだダンジョン5回目なのに、特に怪我もなくここまで来られるってすごいことだよ」


「それはレイネやアカリがスパルタだからじゃないかな」


「んーそんなことはないと思うけどなー」


 三人は森の中を慎重に進んで行く。四階層は森林地帯となっていて警戒しておかないと奇襲を受けたりするので危険だ。μαで敵を確認しようにも木々が邪魔で目視できない。


「お前な、そもそもここのダンジョンって中等部卒業までに攻略するものだろうが、それを二週間で攻略しようって事自体が無茶苦茶な気がするんだが」


「それってあれだよ、戦う力よりも精神面でなかなか進めなくなるんだよね」


「精神面? どういうことだよ」


「お兄ちゃんは特に何も感じて無さそうだけど、やっぱり魔物とはいえ人と同じ形をしたゴブリンを倒すのって気持ちいいものじゃないからね。慣れたと思っていても実際はそうでもなくて、何もない日常でフラッシュバックのように思い出してしまう子もいるんだよね」


「確かに気持ちのいいものではないわな」


「そういうわけでね、パーティーが揃わなくてなかなか先に進めないことも多いんだよ、だから中等部のダンジョン実習って一年の頃は半月に一回で、二年生で週に一回、三年生で毎日入ってもいいって感じで調整されてるんだよ」


「ほほう、そうなのか……ん? 俺は?」


「お兄ちゃんだし大丈夫かなーって。それにこういうのはガーっとやってガーっと終わらせたほうが良いんだよ」


「おい」


「実際大丈夫そうだしいいじゃない」


「リンさん、ボクもレイネと同じ意見かな、案外このやり方のほうが順応できるんじゃないかなって感じてる」


「それもあるけど、お兄ちゃんって中等部一年生の12歳の女の子じゃないわけで、実年齢は17歳でしょ、その辺りも考慮してこうしてるんだよ」


「それを言われるとまあそうかもな、俺の疲労度を抜きにしたらだけどな」


「それは──」


「二人ともストップ、敵発見」


 アカリがリンネとレイネに止まるように言って木の陰に隠れて前方を確認している。アカリたちの視線の先にはゴブリンが5匹いるのが見えた。ゴブリンからは見えないように木の陰にしゃがみ込んで隠れながら小声で作戦会議を始める。


「どうする?」


「5匹はきつくないか?」


「速攻で3匹倒したら良いと思う」


「ならそうするか、一気にステップで近寄る感じでいいんだよな?」


「そうだね、それじゃあ私はあの右側の槍持ちをやるね、お兄ちゃんはここから一番近いシーフをお願い、アカリは左のメイジをやってね」


「了解」


「わかった」


 レイネの指示に頷き、三人は見つからないように気配を消しながらゴブリンに近寄っていく。ゴブリンとの距離が残り5歩くらいの距離まで近寄りそれぞれ武器を構えてタイミングを図る。お互い目配せするように視線を交わしうなずく。


「「「ステップ」」」


 三人ほぼ同時に走り出し、ステップでその距離を更に縮める。


「スラッシュ」


「シィ」


「ハッ」


 リンネはスラッシュのスキルで、レイネは居合で、アカリは両手に持った手斧でそれぞれ標的を攻撃し一撃で倒す。仲間が急に泥のようになって消えていった事に驚いて立ち上がろうとしているゴブリンの一匹をリンネが、残るもう一匹をレイネが倒して戦闘は終わった。


 泥のようになり消えていったゴブリンの魔石を拾い、同時に珍しくドロップ品が落ちていた。


「これは?」


「通貨に見えるけどなんだろ」


「んーわかんないね、外に持っていって覚醒者協会で聞いてみるのが良いのかな」


「そうするか、価値があるようには見えないけどな」


「まあゴブリンのドロップだからね」


「あっと、そろそろ出たほうが良さそうだね」


「もうそんな時間か、それじゃあ戻るとするか」


 先程と同様に警戒しながらダンジョンの出口の方向へ向かう。ここのように管理されているダンジョンの入口や出口の場所はμαにデータとして入っているのだが、普段は非表示にしている。出口を探すのも探索の内だからといった理由だ。


 今回のように時間が迫っているときなどは普通に表示して出口に向かうので、特に縛りがあるとかそういう訳では無い。そんなわけでこの後は特に魔物と遭遇することなくダンジョンから出る事ができた。


 ダンジョンの外に出て、そこで監視している職員に声をかけリンネたちは高等部の食堂へ向かう。そこで飲み物を買って休憩し、今日の戦闘について少し話し合うのが三人の日課になっている。


「リンさんってスキル覚えるの早いですね」


「そうなのかな? 自分じゃわからんが」


「確かにおに、リンちゃんってスキル覚えるの早い気がするね」


 食堂には他にも人がいる事からレイネはお兄ちゃんと言いかけたのを修正する。内心では危ない危ないと思っている。


「本当にまだダンジョンに入るのが五回目だとは思えないですね、一日経つごとに動きも良くなってるし」


「覚醒者協会で調べてもらってる感じだと、身体能力とかは他の人とあまり変わらないって言われてるけどな。でも二階層のゴブリンと初めて戦ったときよりも動けているのはわかるな」


「リンさんのクラスって戦って言葉が付いてるから戦闘に適しているのかもしれないね」


「問題は、専用スキルが未だにわからないことか」


「それは仕方ないよね、世界で初めて確認されたクラスだから、スキル情報なんてあるわけ無いし色々試すしか無いね」


「汎用スキルとかクラス専用スキルとか発見した人ってすごいなと改めて思ったな」


「たしかにね、新しいスキルを覚えた人の話だと、μαに突然スキルの情報が表示されるらしいよ」


「そうなると無理せずに条件がそろうのを待つしか無いか」


 リンネは立ち上がり、空になった紙コップをゴミ箱に捨てる。レイネとアカリもそれに続いて立ち上がり紙コップをゴミ箱に捨てる。


「それじゃあ帰るか、アカリまた明日」


「はいリンさんレイネ、またね」


「アカリまた明日ね」


 アカリは寮へ帰り、リンネとレイネは帰路につく。こうして五回目のダンジョン探索は終わった。




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