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第139話 各都市の現状と今後

『今この放送を見ている皆さんに今の現状と今後についてお話しようと思います』


 皇コウヤと名乗った壮年の男性がテレビの中で話している。皇コウヤ、彼は各ダンジョン都市にある覚醒者協会の協会長を名乗っている人物である。今までは京都にある第五ダンジョン都市から、各協会へと繋ぎを付けていた人物になる。


 インフラがほとんど機能していないために各都市への移動が難しくなって以降も、何らかの能力を使用して各ダンジョン都市へ移動が出来る稀有な存在であった。ただそのようにしてそれを可能としていたかは本人が語らないため謎のままである。


 そして皇コウヤの存在自体も正確に知っているのは、各ダンジョン都市の支部長と他ごく僅かな人間であった。そんな彼が表舞台に出てきたのは、彼の存在を知る者にとっては驚きであった。


『まず、ここ日本の各ダンジョン都市だが、いくつかのダンジョン都市と連絡がつかなくなっている』


 わざわざコウヤがそう言ったということは、コウヤの能力を持ってしても連絡がつかなかったダンジョン都市があるということになる。


『それをふまえてになるが、まずは連絡のとれるダンジョン都市との間をつなぐ道路と鉄道を復旧させる方向で進めていくこととなった』


 連絡のつかないダンジョン都市を後に回すのは、そのダンジョン都市の状況がわからないというのもあるが、不測の事態に備えるためまずは無事とわかるダンジョン都市同士をつなげようという方針のようだ。


 そもそも各ダンジョン都市には原初ダンジョンが存在する。そのために原初ダンジョンになにかがあったとしても、それに対応できる者たちはダンジョン都市から動かすことは出来ない。


 そのためにどうしても都市の外へ向かわせられる者たちは限られる。相応の実力があり、ダンジョン都市にとっては予備戦力のような者たちになる。そういった者たちはどこのダンジョン都市でも数が少ない。


 そう言った事情から、各都市をつなぎ強力することで相応の戦力でもって連絡のつかない都市へ向かうことになる。安全マージンをとるという意味でも、むやみに連絡のつかないダンジョン都市へ貴重な戦力を向かわせるわけにはいかない。


 そのようにコウヤは丁寧に説明していく。そのことをテレビ越しに見ていた人々にも納得を与えるには十分な説明となっていた。他の人同様、リンネたちにとっても納得のできる説明だったようだ。


「確かにいきなり連絡のつかないところに行くのは難しいよな」

「だね。そもそもその都市までの道なんかを先にどうにかしないといけないわけだし、一都市の戦力でどうにかなるかもわからないからね」


 リンネとレイネの言葉に集まっている面々が頷いて答える。


「それよりもボクは他の都市に興味があるよ」

「それはわたくしも気になりますわ」

「はーい、ボクもー」

「わたくしはそうでもないですわね」


 アカリとミレイの二人にくっつくように座っていたカリンが手をビシッと上げている。一方リィンは他の都市にはあまり興味がなさそうな反応をしている。


「スズネはどう?」

「んーわたしはリンネお母さんとレイネお母さんと一緒ならどこでもいいかな?」


 コテリとかわいく首を傾けてそう答えるスズネに抱きつきイイコイイコと頭を投げ始めるレイネ。最初リンネのベッドに潜り込んでいた事などがあったが、今ではスズネとレイネは一緒に寝るようになっている。


 それはカリンやリィンもそれぞれアカリとミレイと共に寝ているのと同じとなるが、密やかにお互いを牽制しあっているような気がするのはなんとも似たもの同士といったところだろうか。そのおかげで少なからずリンネの就寝時の平和は守られているともいえる。


「まあ、話を聞いている限りだと今日明日って話ではなさそうだな」

「そんな感じだね」


 コウヤの話は、ダンジョン都市の外の整備の予定が話されていき、他のダンジョン都市との道路や線路の整備が完成するまでの予定として一年ほどと見ているようだ。ここ第一ダンジョン都市からは、北と西の二方向に整備を進め、仙台にある第三ダンジョン都市と名古屋にある第二ダンジョン都市と繋がることになる。


 そして仙台から北には北海道に第六ダンジョン都市があるが、今のところ連絡は途絶えているようだ。他には第四ダンジョン都市が四国、第五ダンジョン都市が京都に、第七ダンジョン都市が島根の出雲、第八ダンジョン都市が福岡にあり、第九ダンジョン都市が鹿児島となる。


 そのうち連絡が取れないのが、第四ダンジョン都市の四国と第六ダンジョン都市の北海道、そして第八ダンジョン都市の福岡の三つになる。そういった事情で、まずは本土を一つにまとめた後は、最初に第六ダンジョン都市に向かうことになるとのことだった。


 ただその間全く何もしないというわけでもなく、状況の確認を含め偵察と接触のためのチームが作られ派遣も検討されているようだ。こうしてまずは第一ダンジョン都市を含めた今後の都市の方針が語られた。

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