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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第137話 消えていくダンジョン

「あら、あなた目を覚ましたのね」


 唐突に野太い声が聞こえてきた。声の発生源に目を向けるとそこには、はち切れそうな筋肉をまといその身を包むのはパツンパツンの看護師の服を着ている女性が立っていた。その傍らにはなぜかブーメランパンツのみを履いたミノ太郎の姿があった。


 女性の名は防出ルビィ。この治療所の主にして伝説の武器の使い手である。なぜその隣にミノ太郎が立っているのかはわからないが、リンネには意外とお似合いなように見えた。


 リンネが挨拶をする前に、ルビィはリンネに近づいて分厚いグローブのような手をリンネの額へ付けた。


「「「えっ」」」


 いつ近づいたのか部屋の中にいた誰もわからなかった。そもそも巨体のルビィがすり抜けるようなスペースはなかったはずだ。そしてリンネも額に手を当てられるまでルビィが目の前に現れたことに気がつくことができなかった。


「熱はなさそうね。気分はどうかしら?」

「あっ、はい、もう大丈夫です」

「それなら今日は帰ったほうがいいわよ」


 見た目はふざけているように見えるが、そう言ったルビィの表情は真剣だった。


「なにかあるのですか?」

「どうやらあなたたちがダンジョンをクリアしたことで何かがおきそうなのよね。これはあたくしの女の勘になるわ」

「それって俺たちもいたほうがいいんじゃ」

「んー、すぐにというわけではないかしらね。だから一度帰りなさい」


 リンネはレイネ、アカリ、ミレイの表情を見て、三人とも表情に出さないようにしているが疲れているのが見てろれた。


「わかりました。今日は帰ることにします」

「それが良いわ。それじゃああたくしは行くわね」

「はい」

「あっ、この子は借りておくわね。なんだか気に入っちゃった」


 ルビィはそういうと、ミノ太郎の腕を取り引きずるように去っていった。その時見せたミノ太郎の表情はどこか諦めたような達観したような表情に見えた気がした。


「あっ、えっと、帰ろうか」

「う、うん」

「それではわたくしたちは荷物をとってきますわ」

「ボクも行くよ」


 ミレイとアカリは部屋から出ていき、リンネとレイネが残された。


「ミノ太郎がここにいるってことは、サキナさんもいるのかな?」

「サキナさんは先に帰ってもらいました。ミノ太郎はその時にルビィさんに捕まって」

「そうなんだ」


 リンネはベッドから抜け出して、置かれていたブーツを履いて立ち上がる。


「そういえば、スズネたちは見当たらないけど」

「あの子たちはオロチを倒した後に休むといってたよ。今はお兄ちゃんのμαの中で休んでいるんじゃないかな?」

「そうか、無事なら良かった」

「無事も何もあの子たちには実体がないから問題ないと思うよ」

「そうかもな」


 リンネはレイネとともにテントの外へ出る。テントの外は相変わらず賑わっているようで、リンネたちが始原ダンジョンを攻略したことは関係ないように見えた。



 帰宅した四人は順番にお風呂を済ませ、リンネの作った簡単な食事を食べて泥のように眠った。全員が目を覚ましリビングに揃ったのは丸一日を過ぎて翌々日だった。


 その間は別々に起き出して、リンネの作り置きしていた食事を食べてまた眠るを繰り返していた。どうもμαの影響はリンネだけではなく、リンネとの繋がりを持つ三人にもなにがしかの効果が起きているようだった。


 いち早く普段通りに戻っていたリンネは改めて過去の世界のことを考え、百階層に付いてを考えていた。過去の世界。リンネ自身は過去の世界に行っていたつもりではあったが、今ではあれはμαによる記録がバージョンアップによって見たものだと今では思っている。


 念の為にリンネは姫咲家の家系に関して調べれるだけ調べてみた。およそ百年ほど前まではなんとか調べる事ができたが、その範囲内にリンネやレイネといった名前はなかった。ただし百年より以前の記録が残っていないことから、結局のところあの世界が百年よりも前の世界だったとすると調べようがない。


 その事も含めて叔父であるゲンタに訪ねようとしたが、忙しいようでコンタクトをトルことが叶わなかった。それはリオンも同様で、どうやら各所にあるダンジョンで何かが起きているようであった。


 そして今、リビングにはリンネ、レイネ、アカリ、ミレイ、そしてカリン、スズネ、リィンが勢揃いしている。そんな彼女たちはふだんはあまり見ないテレビを見ていた。今テレビでは生放送がされており、そこではダンジョン協会の職員が忙しそうにしていた。


「本当にダンジョンが減っていっているみたいだな」

「この放送が本当のことならそうみたいだね」


 どうやらリンネたちが寝ていた間にダンジョン都市の外にあった小規模のダンジョンが次々と消滅していたようであった。


「やっぱりボクたちが始原ダンジョンを攻略したからかな?」

「どうだろうな。始原ダンジョン自体は無くなっていないようだし」


 リンネはそういってみたが、タイミング的にそうとしか思えない。


「ダンジョンコアはそのままなんだよな? 壊していないよな?」

「ええ、リンネさんが触れただけで壊れてはいませんでしたわ」


 ミレイの言葉を聞いてレイネもアカリも頷いている。


「どちらにしても、この騒動が収まるまでは休暇ってことになりそうだな」

「そうだね」


 今後は何が起きるかわからないということで、第一ダンジョン都市内にある全てのダンジョンが閉鎖されている。そういった事情で、急遽リンネたちは思いがけない休暇を過ごすことになった。

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