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第132話 食堂

「結論から言おう。地球は狙われている!」

「「ナ、ナンダッテー……」」


 最近良く来る機会がある、白桜女子大学の研究室。リンネとレイネはとりあえずリオンに合わせてみたようだがセリフは完全に棒読みだった。


「こほん、冗談は置いておくとして。リンネ君から預かったマイクロチップの解析にはもう少し時間がかかりそうだ。それよりも体調は大丈夫なのかな?」

「ええ、まあ、コピーを実行しているときは頭痛やらなんやらがあったけど、その後はなんともないですね」

「そうか。まあなにか気になることがあれば検査をするから申し出てくれ」

「わかりました」


 そう返すリンネ。あれから一晩経ったが今のところ変わったことは一つだけだった。


「それで本当にそのμαというのは動いているのかい?」

「ええ、ただし外部から受診する情報が無いので表記は大体がno dataと表示されるだけですね」

「ふむ、やはりコピーしたことで起動したといったところだろうか」

「そうだと思います。というよりもそれしか考えられないですね」


 HMDでコピーをした後は気が付かなかったリンネだが一晩たち起きた時、視界の端にμαが動いていることを示す表記が映し出されていた。


 そこで試しにμαを起動させてみたところ動いたわけである。その後色々と試したところデータのたぐいは全て消えていて、通信や通話のログなども全く残っていなかった。


「なにかデータが残っていたら良かったのですけど」

「ちなみに、そのデータのたぐいは復帰する可能性などはあるのかな?」

「正直なところわからないですね。μαに関しては俺もわかっていないですし、物心がついた頃から自然と使っていましたから」

「まあわからないものは仕方がないな。何かわかったら教えてもらいたい。さてと、解析にはまだ時間がかかりそうだし食堂で昼食でもしようか」

「もうそんな時間ですか」

「確かにお腹が空きました」

「よしそれでは行こうか、ここの食堂のはまあま美味しいからな」


 リオンとリンネたちは研究室から出て鍵をかける。


「リオンさん、食堂って私たちが利用してもいいものなのですか?」

「問題ない。来客が利用する事が前提の食堂だからな」

「そうなのですね」


 研究棟から移動してたどり着いた食堂はかなりの大きさだった。そもそも白桜女子大学の敷地も大きいのだから、食堂もそれそうなのはおかしくないのだろう。


「ここで食券を買うようになっている。奢るから好きなものを選ぶといい」

「悪いですよ。お世話になっているのは俺たちのほうなので、俺が出しますよ」

「いやいや、貴重な研究をさせてもらっているんだ気にしなくていい」


 そう言ってリオンはお金を入れて自分の分を選んだ。


「何でも好きなものを選びたまえ」

「わかりました。それでは俺はこれで」

「リオンさんごちそうになります」


 リンネとレイネはお互いに顔を見合わせてから、ここはごちそうになろうというように目で会話してからボタンを押して食券を手にとった。


 リオンはお釣りを回収すると食券をリンネとレイネの分もまとめて窓口に出した。代わりに番号の書かれた札を受取適当な席に座る。食堂の中は閑散としていて座っている人はまばらだ。


「お昼時なのにあまり利用者が居ないのですか?」

「ん? ああ、ここは研究棟から近い食堂になるからな。普通の学生は本棟にある食堂を利用することが多いな」

「つまり来客が利用出来るのがここというわけですね」

「いや別に本棟も利用しても構わないがあちらは混むからな。こっちを利用するのが無難だろうな」


 リンネたちが食堂についての話をしていると、数分もまたずに注文した物が運ばれてきた。リオンの前にはカレーが置かれ、レイネの前にはBセットの野菜炒めと御飯と味噌汁、リンネの前にはオムライスが並べられた。


「ふむ」


 リオンは二人の注文したものを見て、それだけいうとみずからの食事を始める。


「言いたいことはわかるけど好きなんですよ」

「いや特に何もいうことは無いがそれで足りるのかと思っただけだ」

「そこまでお腹は空いていないので大丈夫だと思います」


 リンネはスプーンでオムライスをすくい口にいれる。


「美味しい。思っていたよりも学食って美味しいのですね」

「そうだろ? 値段も手頃で味は悪くない」

「これも美味しいよ」


 レイネが野菜炒めを美味しそうに食べている。


「レイネ少し貰っていいか?」

「いいよー、そのかわりにお兄ちゃんのオムライスも少しちょうだい」

「おう」


 レイネがあーんというように口を開ける。リンネは自然な動作でオムライスをスプーンですくうとそのままレイネの口へと運ぶ。


「うん、オムライスも悪くないね」


 今度はレイネが野菜炒めを箸で掴みリンネの口元へ運ぶ。リンネは特に戸惑うこともなく野菜炒めを口に入れた。


「確かに野菜炒めもいいな」


 リオンはそんな二人のやり取りを横目に見ながら、人前でそれはどうなのだろうかとツッコミを入れるべきかと珍しく常識的な事を考えていた。

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