第117話 サブクラスの解放
この日は、ミノ太郎が不本意ながら仲間になったということで、リンネたちはダンジョンから戻ることにした。ミノ太郎がサキナの従魔となったことで倒したとみなされたようで、次の階層へのゲートと期間のためのゲートが出ている。
「それでその、ミノ太郎はどうするの?」
「さ、さあ?」
リンネたちにとって、それどころか世界初となるであろう従魔のミノ太郎の扱いがわからないでいた。このまま外まで連れ出すものなのか、置いていった場合は次にダンジョンに入った所で合流できるのかと言ったところだ。
「どうやら連れ出せるみたいだよ。むしろ置いていくと再度倒して従魔かしないといけないみたい」
ミノ太郎とのパスを通じて情報を受け取ったサキナの言葉である。むしろそれなら置いていったほうが良いのではとリンネは思ったが結局は連れて戻ることにした。
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結論から言うと大騒ぎになった。ただし騒ぎの原因は魔物がダンジョンの外に出てきたことというよりも、ミノ太郎の存在そのものに騒ぎが起きたようだ。実のところミノ太郎は一部界隈では有名なミノタウロスだったようだ。
中でも騒ぎを聞きつけてやってきた防出ルビィと何らしかの因縁があったようで、ルビィとミノ太郎は熱い視線をお互いに交わしていた。
そんなこんながあり、最終的には護送車がやってきて覚醒者協会まで運ばれる流れになった。実のところ調教師とテイマーというクラスが新たに出来たことはμαに通知が届いているとのことだった。
「はっはっはっは、それは災難だったね。新たなクラスの通知はμαが出来た頃は頻繁にあったらしい。それこそ最低でも一日一クラスが生まれるなんてくらいだったようだ」
「そうなんだ」
護送車でミノ太郎と共に覚醒者協会に運ばれたリンネたちを待っていたのはリオンだった。リンネたちはミノ太郎とは別に検査を受け、ミノ太郎も様々な検査を受けることになったようだ。結果としては特に以上は無いとのことで、数時間後開放され現在となる。
「私の知る限り新しいクラスが生まれたのはリンネくん以来ではないかな?」
「俺ですか?」
「あれ? それならリンがクラス戦乙女を手に入れたときに通知が来てないとおかしくないですか? 私はそんな通知を受けた覚えはないんだけど」
レイネがそう言うと、アカリとミレイも同じように通知を受け取ってないと答える。
「リンネくんの場合、というよりもユニーククラスは通知がないようだね。もしくはμαが出来る前に生まれたクラスという可能性もあるが、ユニーククラスの通知はされないと考えるほうが自然だろう」
「つまりは今回サキナさんが手に入れた調教師とテイマーは一般に習得が可能なクラスってことですね」
「そうなるな。ちなみにサキナくんの場合は、メインはそのままオールスミスのままでサブクラスとして調教師とテイマーがついているようだ」
「そういうことって普通なんですか?」
「いいや、多分サキナくんのようにサブクラスというものを持つものは世界で初めてではないかな。ただしサキナくんという実例が出来たことで、今後はサブクラスというものが出始めると私は考えているよ」
リオンが言うように今までサブクラスというものは存在しなかった。これは調教師とテイマーをリオンが手に入れた事の辻褄合わせのように新たに適用されたと考えられているようだ。
「それにともない、今後はサブクラスが各人に現れることになると思う」
「俺達もそういうサブクラスを手に入れられるってことですか?」
「ああその認識で間違いないだろう。ただし合意うクラスがどういったタイミングで手に入るかや、クラスを付替えが可能なのかなどは今後調べる必要があるだろうね。そしてサキナくんのように複数のサブクラスを持てるのかというのも、今後調べていけば判明するだろうね」
この日はこれで解散となった。結局ミノ太郎はサキナが連れて変えることとなり、そのことに関してリンネたちはホッとしたようだ。流石にミノ太郎を家につれて帰るのは遠慮したいといったところだ。
「サキナくんはなにか気になることや変化があればすぐに連楽をしてほしい」
「わかりました」
問題はミノ太郎をどうやってサキナの家まで連れて行くかと、ダンジョンへ潜る時どうやってミノ太郎を伴って行くかという話をした結果は、ミノ太郎の事が周知されるまでは護送車で運ばれることになった。
「本当に乗っていかなくてもいい?」
「え、あ、はい、俺たちは歩いて帰りますので、それではサキナさんお疲れ様でした」
「皆おつかれ」
リンネたちは護送車に乗り込むサキナとミノ太郎を見送る。流石に護送車で家に帰るのは色々と問題がありそうなので断ったようだ。
「それじゃあおれたちも帰ろうか」
「ねえ帰る前に何処かでご飯食べていかない?」
「そうですわね、今から帰って用意をするのもあれですわね」
アカリとミレイが言うように、リンネも今日は肉体的な疲れよりも精神的な疲れにより晩ごはんを作る気力が湧いてこなかった。
「そうだねなんだか疲れたし食べて帰ろうか」
「そういことならうちとアズサも一緒させてもらうわ」
ライチの言葉にアズサが頷き全員で食事を摂ることになった。特に何を食べたいという意見がなかったので、リンネたちは帰り道の途中にあるファミレスへと向かった。