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第113話 再戦

「よし、ここまで順調だな」


 リンネ達は原初ダンジョン特殊階層を進んでいる。リンネたちが目指すは特殊階層の五十階層のボス撃破である。


「今のところワルキューレ化もしていないし今までで一番順調だね」


 現在は三十階層相当のボス部屋を超え、次の三十五階層相当のボス部屋へと続く通路で休憩をしている。何度か特殊階層へ挑戦する内にボス部屋へと続く通路はタイムアタックに影響されない事がわかっている。


 その事は覚醒者協会へと報告もしており、今ではリンネたち以外の覚醒者パーティーも特殊階層に挑戦するパーティやクランが増えているようだ。ただしリンネたちのように切り札がないパーティが負傷もせずに帰還出来るかといえばそうでもないようだ。


「問題は次の階層ボスだな」

「あー次ってあれかー」


リンネ達は何度も特殊階層へ挑戦する内にある法則を見つけていた。それはパーティメンバーの人数や参加している者によって出てくるボスが変わるといったものだった。つまりは同じメンバーで特殊階層のボス部屋に入ると同じ魔物が出てくることになる。そしてリンネ達にはそのボスたちの行動から、過去の戦いの記憶を持っているようだと思っている。


 次の三十五階層に出てくるボスがどういったものかと言うと、ある意味リンネ達に因縁のあるボスである。今回ダンジョンに参加しているのは、リンネ、レイネ、アカリ、ミレイ、そしてサキナの五人になる。他のメンバーは平日なので学業に励んでいる。


「今回はボク一人でがやらせてもらうよ」

「それじゃあ私たちは周りの敵を受け持つね」

「そうだな、ただし危ないと感じたら手を出させてもらうからな」


 アカリが両手に持つ二つの手斧を構えて気合を入れている。


「それじゃあ行こうか」

「「「おぉー」」」


 相変わらずのゆるい返事とともにボス部屋へと突入する。ボス部屋に入ったリンネたちの眼の前に現れたのは、ゴブリン達だった。中央の玉座に座るはゴブリンキング、そしてその両脇にはゴブリンナイトとゴブリンジェネラル。それ以外にも各種ゴブリンが揃い踏みしている。


 この中で過去の記憶を持つと思われるのはゴブリンキングとゴブリンナイト、そしてゴブリンジェネラルの三体だ。その他のゴブリンにはそういった傾向は見られない事から記憶を持つものはいわゆる樹異種と呼ばれるものに限ったことなのだろう。


「それじゃあアカリ頑張ってね」

「任せてよ」


 アカリがゴブリンキングへと駆け出すのに合わせてそれを阻もうとゴブリンナイトとゴブリンへネラルが動き出す。リンネはゴブリンナイトをレイネはゴブリンジェネラルに単身で向かった。


 その他のゴブリンに関してはミレイとサキナが対処し始める。ミレイはゴツいメイスを振り回し確実にゴブリンを無力化していき、サキナは手に持つムチでゴブリンを打ち据え一撃で粉砕している。


 最初は使いこなせないでいたサキナだが、今では完璧と言っていいほどムチを使いこなしている。ムチ自体も幾度か強化がされており、ある程度の魔物ならその一撃で粉砕出来るほどの威力を出せるまでになっていた。


「あなたの相手は俺がさせてもらう」


 リンネがゴブリンナイトに剣を振るう。リンネの持つ武器は元はゴブリンナイトの持っていた直剣だが、サキナの手により幾度も鍛え直されたものになる。リンネの攻撃を何とか盾で受け止めたものの、防ぐだけで手一杯のようだ。


 一方レイネとゴブリンジェネラルは一定の距離を取り対峙している。レイネは刀を鞘に収めたまま居合の構えで間合いを計っている。対峙するゴブリンジェネラルはハルバートを待ち構えている。


レイネはジリジリとすり足で間合いを少しずつ縮めていく。それに対しゴブリンジェネラルは円を描くように横移動することでレイネの動きを乱そうとしている。


「ふっ!」


 レイネが止めていた呼吸を吐き出すとともに居合を放つ。ギャリッという音がなるとともにゴブリンジェネラルのハルバートの柄から火花が散る。お返しとばかりにゴブリンジェネラルがハルバートを振りかぶりレイネに飛びかかるがレイネは素早く後ろへバックステップすることで回避する。


 そしてゴブリンジェネラルがハルバートを振り下ろしたタイミングで再び居合を放つ。それによりゴブリンジェネラルの片腕が宙を舞う。


「グォォォォ」


 ゴブリンジェネラルは片腕を犠牲として居合を放った直後のレイネに向かいハルバートを片腕で振るった。レイネはあえて納刀していなかった刀でハルバートの軌道を反らし、その勢いを利用してゴブリンジェネラルとすれ違うように前進しその首を跳ね飛ばした。ゴブリンジェネラルはそのまま一歩前に足を進めた所でその身を泥に変え消えていった。


 レイネが残心を済ませ刀を一振して納刀すると素早く周りを確認する。ミレイとサキナの方は既にゴブリンの姿は無く全て倒しきったようだった。そしてリンネの方も丁度ゴブリンナイトにトドメをさしレイネの方へと歩いてきていた。


「残りはアカリとゴブリンキングだね」


 レイネはそう言ってアカリとゴブリンナイトの戦いへと視線を向けた。


 

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