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第108話 年末の過ごし方

 時は経ちリンネたちは年末を迎えようとしていた。

 原初ダンジョンの特殊階層攻略は遅い歩みながらも進んでおり、現在は三十階層まで到達した。普通にダンジョンを進むよりもかかる時間は短いはずなのになかなか進めないのにも理由はある。


 一つはタイムアタックにより、突破に時間をかけてしまうと通常階層に変わること。二つ目としては、ワルキューレ化をして一つのボス階層を早々に突破できたとしても次の階層ではワルキューレ化をすることが出来ないためだ。


 ワルキューレ化やブリュンヒルド化は一度使用してしまうと、暫くの間は再使用ができないためだ。それもゾンビ軍団の例でわかるように相性が悪ければ突破に時間がかかり結局はタイムアップになってしまう。


 解決方法としてはワルキューレ化やブリュンヒルド化が出来るメンバーを増やすというものも考えられたが、それは未だに叶わずにいた。せめてブリュンヒルドは、とサキナや後輩三人とも話しあいをしてみたが、何らかの原因があるのか成功することはなかった。


 そして現在リンネは卒業後のために奔走している。結局のところリンネたちは卒業後は大学へと進学すること無く立ち上げたクランをそのまま会社として運営していく事にした。細々とした手続きの大半は叔父であるゲンタやリオンが手伝う事で済ますことが出来、年末をそしてクリスマスを迎える頃にはなんとか落ち着きを取り戻すことが出来ていた。


「久しぶりにゆっくりできそうだ」

「リンお疲れ様、私も手伝えればよかったのだけど」

「μαがあるから全部電子上で出来たら良いのに、なんでか書類関係の署名は手書きになるんだろうな」

「お役所仕事ってやつかな」

「そうなのかも知れませんね」


 学生最後のクリスマスはリンネ、レイネ、アカリ、ミレイの四人で過ごすことになっている。場所は昨年とは違い暮らしている家となった。


「もう年を越したら卒業まですぐか」


 課題としてのダンジョンを攻略済みのリンネたちは既に学園に通う必要がなくなっている。進路も決まり忙しくしていたリンネも一通りの手続きが終わり落ち着きを取り戻した。


 実のところクランとしてはメンバーが増えていて、活動自体は続いている。増えた理由としては、リンネたちの後輩であるナルミたちのためなのが大きい。そのためにリンネのいない時などは、レイネが後輩の指導にあたっている。


「一年生とかどうな感じなんだ? 結局俺は最初に挨拶した後はあってないが」

「みんないい子たちだよ、実力はまだまだだけど一年生だからね」

「俺も手が空いたことだし顔を見せたほうが良いかな」

「それはやめたほうが良いかな」

「ですわね」

「なんでさ?」


 なぜかアカリとミレイに否定され疑問に思う。


「リンは有名人だからね」

「なぜ?」

「見た目は可憐なお嬢様、実力もあって卒業後自分のクランとしての会社を立ち上げる。これだけでも有名に鳴るのは仕方ないかな」

「そういうことならレイネたちも一緒だろ」

「いやー、私達はそうでもないかな?」


 そう言っているレイネたちだが、レイネたちはレイネたちでファンクラブがあるほどの人気は変わらずである。ただリンネたちのクランへ新しく入ったメンバーはそう言ったミーハーな者はいない。


 そう言った者は面接時に弾かれたというのもある。ただしそれはリンネに関してのみ考慮外のために、新メンバーの中ではリンネを「お姉様」と言って慕っているものもいる。レイネたちが警戒しているのは新たなライバルの存在なのかも知れない。


「さてと、それじゃあそろそろ寝ようか」


 既に夕食も終わりケーキも食べ終わりお風呂も済ませたこの時間、夜も更けてきて就寝時間である。


「今日くらいは一緒に寝たいなー」

「えーそれならボクも一緒がいいな」

「そういう事でしたら、たまにはわたくしも」


 三人の言葉にどう反していいか困ったリンネだがそういう日もあっていいかと思い直す。だからといってリンネのベッドは四人で寝られるほどの大きさはない。


「流石に四人で寝られる場所がないからな」

「それって寝られる場所があれば一緒に寝てもいいってこと?」

「まあ、どうだろ」

「それじゃあさここを片付けてそれぞれが布団を持ってくるってどうかな?」

「流石に絨毯があるとはいえ下が硬いだろ」

「そこはほら来客用の敷布団があるから」


 結局はレイネたちの追い込まれる形でリンネたちは布団を持ち寄りリビングで寝ることになった。問題は誰がどの配置で寝るかで少しだけ揉めることになったがミレイが引くことでリンネを挟むようにレイネとアカリが左右に布団を並べた。


 翌朝、あまりの暑さに目を覚ましたリンネの両腕がレイネとアカリにホールドされており、更に足にはミレイが抱きついていて動くに動けない状態になっていたのは言うまでもないだろう。

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