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第103話 整理整頓

「あー雨ー」

「雨だね」

「雨ですわね」


 レイネ、アカリ、ミレイの三人はクラン室の窓を激しく打ち付け始めた雨に気が付いた。いつもならリンネについて回る三人だが今日はそのリンネは居らず、他の面々もいない。


「何だか久しぶりな気がするね」

「まあ大体ボク達ってダンジョンに潜っているから降っても気が付かない事が多いね」


 確かにとレイネは頷く。


「なんて言うかこういう大雨の中を全力で走ってみたくならない?」

「別になりませんわね。そんな事をしても風邪をひくだけですわ」

「ミレイには分かって貰えないか。アカリはどう?」

「んー分かるような分からないような」


 どうやらレイネの青春的な衝動は二人には理解されなかったようだ。


「そんな事より早く整理を終わらせて帰りますわよ」

「おっと、そうだね。それにしてもかなり素材というかゴミというかたまったね」


 レイネの目の前には適当に箱に詰められた素材や武器防具が無造作に積み上げられている。これらは全て学園のダンジョンで手に入れた物になるが殆どが今のレイネ達には価値のないものになる。


 レイネ達には三人だけが集まって何をしているのかというと、これらの素材の整理である。下級生の三人はまだ授業中のためおらず、リンネはレイネ達が家のことを頼み帰らせライチとアズサは家の用事ということで先に帰ったことで今は三人となっている。


 当たり前のことだがクランメンバーであるサキナは卒業しているのでいない。なぜ今整理をしているのかというと、現在原初ダンジョンに本格的に潜るためのクランハウスを探しており、その購入ないし賃貸のための資金とするために整理をしている。


 つまりは整理した素材や武具を売る事でクランハウスの資金にしようとしている。適当にまとめて売ればいいという意見もあったが、学園側が未整理の物の受け取りを拒否した故でもある。


「取り敢えず今日は細かい素材は置いておいて装備品だけまとめない?」


 激しさを増す雨とゴロゴロと鳴り始めた雷を見ながらのレイネの提案にアカリとミレイも頷いている。


「あっ懐かしいなー、これ中等部の時に使っていたやつだね」


 アカリが手にしているのは一本の手斧だった。凝った装飾もなくゲームでいうところの初期装備といえるような代物に見える。


「それって中等部の貸し出し品じゃないの?」

「……あー、返し忘れてたみたい」

「そもそもどうしてここにあります?」

「あれ? 何でだろう?」


 アカリにとっては見慣れた手斧だがなぜ高等部のクランハウスに有るのかが思い出せないようだ。


「まあそれは帰りにでも返却して片付けを続けよう」

「うん、そうだね」


 アカリはまあ良いかと手斧を別の場所に置き整理を再会する。その後も懐かしいと思える物が出て来たりで手を止め、授業の終わったナルミ達三人も合流した事により下校時間までには武具の整理を終えることが出来た。


「三人とも助かったよ」


 武具の乗った貸し出し用のカート押しながらレイネがナルミ達にお礼を言っている。


「いえ僕たちが来た頃には殆どが終わってたので、もう少し早く来れたら良かったのだけど……」

「私たちは学園のダンジョン課題は最終課題まで済ませたからね、気にしなくて言いよ。それにしても思ったより量があったから来て貰えて助かったよ」


 武具を購買の買い取り所まで運び込むと査定が始まる。買い取られた武具はメンテナンスの後に大体は購買に並ぶことになる。


 使い物にならないものは学園外部に持ち出され処分されることになるが、それも外部の武具を扱う業者が引き取り解体や鋳つぶしたりなどして再利用されることになる。


 レイネ達は査定が終わるまで購買内の武具を眺めている。ただ購買に売られている物は学園内で作られたり学園内のダンジョンで手に入れた物になるのでそこそこといったところだろうか。


 良いものだとリンネがゴブリンナイトから手に入れた武器程ではあるが今のレイネ達にとっては大した物ではないように思えている。


 今のレイネ達の装備は原初ダンジョンで手に入れた素材や武具をサキナが加工した物になっているので、購買に置かれている装備よりも数段上の物になっている。


 ただそれはリンネ達のパーティー及びクランが特殊なのであって学園生にとっては破格ともいえる物になる。


 その上いい装備という物は手に入れたパーティーやクランで分配され下級生では手に入りにくい、そのため今回レイネ達が売りに出すことにより装備品が充実することになり上級生だけでなく下級生にも恩恵がもたらされることになる。


 ただし値段もそれ相応なので購入できるかはクランの規模や所持金次第ではある。


「それじゃあボクはこれ返却してくるね」

「分かったよ、下校時間までまだ時間があるから食堂で集合ね」

「わかったよ」


 アカリはレイネにそう返事を返して中等部の校舎へと歩いて行った。

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