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第102話 五十階層にて

 原初ダンジョンの最下層は百階層だという話がある。ただ誰もそこまで到達出来ていない事からもう少し手前という話や、もっと深いという話もある。


 なぜそのような話になっているのかと言うと、単純に現在の最高到達階層が七十階層というなんとも丁度いいのか中途半端なのか判断に困る階層だからだ。


 その七十階層というのも第一ダンジョン都市での最高到達点であり他のダンジョン都市では未だにその階層に到達されていない。一方他国の話になると全くわかっていない、そもそも現在は他国と通信や交流自体がほぼ不可能となっているためだ。


 ただし全く不可能というわけではなく、覚醒者が現れるとともに多くの国で支配階層の入れ替わりが起きており、交流チャンネルが切れているというのもある。中には魔物がダンジョンから溢れ出し国が滅んだという例もあったようだ。


 このあたりの情報も、数十年前の情報が入り混じっているために現在他国がどうなっているのかは誰にもわかっていない。今のところこの国では魔物があふれるという現象は起きていないために、ダンジョンから魔物が出てくるという話自体が眉唾だと思われている。



「最近私たちの出番がなくてつまらないです」

「そう言われても、スズネたちの出番がないということは安全に進めているってことだからな」

「それはそうですけど」


 ダンジョンを進みながらリンネがスズネの愚痴を聞いている。実際の所リンネも他の面々もワルキューレ化に否定的なわけではなくタイミングが合わないということが大きい。


 装備も充実して学園のダンジョンもほぼ攻略が済んでいる。原初ダンジョンに関してもリオンが安全マージンを取っているため今の所危険な場面もなかった。


「一度リオンさんに相談してみるのも良いかな」

「そうだね、私もワルキューレでの戦いに慣れておくのも良いと思う」

「ボクも同意見だね」

「わたくしもそう思いますわ」


 レイネにアカリとミレイも同じ考えのようである。


「それにあの三人はどうするのかなってのもあるね」


 レイネの視線の先にはナルミとヒビキとキラリの三人がいる。今の所この三人がリンネと新たにワルキューレを生み出すような雰囲気は無さそうであるが、戦力強化としてブリュンヒルドの可能性を考えている。


 そもそもブリュンヒルド化についてはワルキューレ化以上に何も分かっていないとも言える。キーとなるのがリンネなのは分かっているが、一度生まれてしまえばリンネを必要としない。


 リオンが言うにはリンネのクラス戦乙女が切っ掛けなのは間違いないがもしかするとμαに似たような機能が備わっているのではないかなどと言っている。


 リオンは密かに色々と実験をしていたようだが結局はワルキューレやブリュンヒルドのような存在は生み出されることは無かった。


 そもそもお互いに好意以上の感情が無ければ成立しないはずなので、性格に実験が出来たかは誰にも分からない。


「ボス部屋のゲートを見つけたよ」


 ライチが式神を使い森の中からゲートのある場所を見つけ出した。


「ここを超えたら五十階層になるんだな」

「意外と早く来れたよね」

「ただ五十階層以降は敵の強さも上がって今まで見たいに楽ではないみたいですわ」

「それってもしかして」

「ええ、ルビィさんからの情報ですわ」


 それを聞いて微妙な表情を浮かべるリンネ達と苦笑を浮かべるリオン。


「そうだなここまでは初級と言って差し支えないがこれ以降は難易度がかなりばらける。普通ならこうも短期間で到達できる物ではないのだがね」


 リオンが言うように普通のパーティーでは五十階層にたどり着くのに一年以上かかる。ただリンネ達の場合は引率としてリオンが付いているという事と通常のパーティーよりも多い人数で挑んでいることも理由になる。


「前々から言っているように私が一緒に潜るのはここまでになる。あとこれ以降の階層へは学園卒業後なのも変わりは無い」

「今後はパーティーを分けて一階層から回るのも良いね」

「先ほどリンネ君達が話していた事だが、ワルキューレ化を試しながらも良いだろう。その時は各自レポートを出して欲しい」

「それはこの階層のボスからでよろしいですの?」

「まあ良いだろう、ただしワルキューレ化を最低でも一人いつでも出来る状態は維持するように、ブリュンヒルドに関しては」


 リオンは一度言葉を止めてナルミたちとサキナに視線を送る。


「何か進展があれば教えて欲しい」

「分かりました」


 そうリオンに答えたリンネの後ろでは早速誰がリンネとワルキューレ化をするかの話し合いが展開されていた。


 この後五十階層のボスである身の丈五メートル級の巨大熊レッドベアが一瞬にして蒸発したのは言うまでも無いだろう。どう考えてもオーバーキルである。



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