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ユニーククラス戦乙女を獲得したのはいいのだが、その影響で美少女になったようだ  作者: 三毛猫みゃー


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第101話 卒業後の進路

 リンネたちは三年生になった。

 一足先に卒業していった刀燐サキナは実家で祖父と鍛冶の仕事と修行に勤しんでいいる。そのサキナとは今まで通りに原初ダンジョンへクランメンバーとして参加している。そもそも学園で作られたクランは卒業後も継続して参加する例が多い。


 中には卒業生が作ったクランを引き継ぎ、卒業後はその卒業生が維持しているとところに入るなどと、ある意味コネのような役割をしていたりもする。必ずしも継続して同じクランに入らなければいけないということはないが、一つの選択肢として選ばれているのも確かだ。


 学園卒業後の進路としてはこの時代、専門的な分野へと進まないのであれば大学へ行くことは稀になっている。理由としてはμαの存在がその一因を担っている。簡単な検索に知識の共有などμαがあればよほどの専門的な分野や研究のように、μαのシミュレーションでは補えないようなもの以外を学習する必要がなくなったとも言える。


 そもそもダンジョン都市内では政治というものが機能していない。都市運営をしているものもダンジョンを中心とした運営をしているので、税金などもそれをベースとして使われている。


 国という囲みはあるが、交通や通信がほとんど機能しなくなってからは、ダンジョン都市やその周辺の街が独自に代表を選びなんとか政治もどきとも言える機能が残っているのみとなっている。


 いくら世界の様相が変わってもなんやかんやと適応できているのは国民性というものなのかも知れない。問題が無いというわけでもないが、それでもやれているのはすでにダンジョン都市とその周辺の一定範囲ごとに一つの国のように政治が行われているからであろう。


 この国ではあと数年もしくは数十年すぎれば都市外の人たちも全て覚醒者になると言われている。どんなに都市外の広がろうとする小型ダンジョンを破壊して回ったとしてもその流れは逃れられないだろう。


 むしろそうなったほうが、全てのエネルギーを魔石で賄える事になり、インフラなどが再整備されて再び一つの国として機能を取り戻すと思われる事だろう。そのために今の大学とはその時に向けての人材を育てるという意味合いを多く持っている。それでも、大半の者は原初ダンジョンの攻略を優先している。


 一方リンネたち三年生組はいまだに進路を迷っているようだ。リンネとレイネがダンジョンへ潜る目的は両親を探すためであり大学に行く時間をダンジョン探索に当てたいと思っている。


「それで四人とも大学にはいかないのか?」

「まあ、別に行ってなにかしたいとかないし」

「私もそうかな、ちなみにゲンタおじさんは大学行ったの?」


 進路相談ではないが珍しくゲンタがリンネたちの暮らす家へと訪ねてきて進路について聞いている。一応ではあるが現在のリンネたちの保護者はゲンタと言うことになって、それはアカリやミレイも代わりはない。


「俺か? 俺は一応大学に行ったぞ。まあサボりまくっていたがな。ちなみにリオンの奴と出会ったのも大学だったな。あの頃からちょっと頭のネジが外れている感じだったが、リオンを見て大学とはああいうやつが行くところなんだと思ったな」


 どこか遠い目をしてそういうゲンタだった。その姿を見て四人とスズネたちワルキューレの面々が頷いている。リオンがマッドな人間だと皆の共通認識のようだ。むしろ昔からそうだったのかと言う納得感すらあったようだ。


「いやまああいつの話は今はいい。結局全員卒業後は今のクランを維持したまま独立するってことでいいのか?」

「まあそうなるかな」

「大学を出てから覚醒者協会に入るって道もあるが」

「別に協会に入るのに大学は必須じゃないでしょ?」

「そうだな、原初ダンジョンである程度の実績があれば問題なく入れるな。実際の所協会は人手不足でな」

「そう言うこと言っちゃっていいの?」

「すまん、聞かなかったことにしてくれ」


 ゲンタが言うように覚醒者協会第一支部は人材不足である、数年前にリンネたちの両親が失踪したことにより人材不足が加速したこともある。大学を出た場合研究施設のある覚醒者協会に入る例が多いが、それはそれで問題があったりする。


 問題というのが大学ではダンジョンへ潜る機会を減らし研究に明け暮れる物が多く即戦力としてダンジョンへ赴かせるわけには行かないからだ。結局の所大学に通わずに四年間ダンジョンへ潜り続けた人材のほうが即戦力とはなるのだが、ある程度実績がないとお声がかからないというアンバランス差が問題になっている。


「まあ言いたいことは分かるけどさ、それって支部長のゲンタおじさんがどうにかする問題だよね」

「そう言われるとそうなんだがな。まあお前らが大学に行かないということはわかった、そう言うふうに学園には報告しておく」

「アカリもミレイもそれで良いんだよね?」


 レイネが二人に尋ねるも、二人もすでにリンネたちとやっていくと決めているようで頷いて答える。


「おじさんそう言うことなのでお願いします」

「ああ、それじゃあ俺は戻るわ」


 ゲンタは学園から保護者宛に送られてきた進路相談の用紙を封筒に入れて振りながら出ていった。


「そう言えばライチとアズサは大学どうするんだろうか」

「二人とも家を継ぐって言ってたから大学は行かないんじゃないかな?」

「一度聞いてみたほうが良いかな、卒業後にこのままクランに所属するかもわからないし」

「明日にでも聞いてみるよ」

「今のうちに卒業後の拠点なんかも探しておきたいからな」

「確かにそうですわね、わたくしたちだけならこの家でもいいですけど」

「そもそもここってゲンタおじさんの家だからな、卒業後は引っ越すのも考えないとな」

「ゲンタおじさんは別に良いって言ってくれてるのだけどね」


 実のところリンネたちはダンジョンコアの売却によって大金が手元にあるのだが、常日頃全く使う用途がないことから完全に失念していた。それに気がつくには暫くの時が必要だった。

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