第6章 戦闘?
戦闘戦闘言ってた割にはたいした戦闘無いです。^^;
というかあんまり普通のと変わりないんで、今後もあまり戦闘なんかは期待しないで読んでってください。
「で、こっからどうすればいいんだ?」
「何が?」
「こいつを増やす方法だよ!」
翔輝は鞘に収められたままの刀を指差して怒鳴った。
倉庫の中には様々な種類の刀剣があったのだが、翔輝は無意識に刀を手に取り現在に至る。
「さぁ?念じればいいんじゃない?」
「意味が分からん」
「頭の中で『増えろ~!増えろ~!』って繰り返すってこと」
「呪いの儀式か何かか?」
「どうだろうね」
「そこは否定してくれよ」
とは言ったものの、他に方法がないので試してみた・・・のだが―――
「・・・何も起こらん」
「え、ホントにやったの?」
「てめぇ!」
「うるさいわね、いちいちあたしに頼らないで!自分でもなんか試してみなさいよ!」
「んなこと言われたって、俺はお前以上に知識ねぇんだぞ!?」
「知らないわよそんなこと!グダグダ言ってる暇があったらとっとと発動させなさい!」
「その方法を今グダグダ話してるんだろうが!」
「・・・翔輝さん、とりあえず刀を鞘から抜いてみてはいかがですか?」
「ん、何で?」
「翔輝さんの能力というのは『刀剣の増殖』でしたよね。しかし、その刀は現在鞘に収められています。つまりその状態は厳密に言えば『刀剣』ではありません。なので、鞘から刀を抜き『刀剣』の状態を作り出せばもしかしたら発動するんじゃないですか?」
「・・・成程、まぁ試してみるか」
右手で柄をしっかりと掴み、左手で鞘を支えゆっくりと刀を抜く。
するとその瞬間、白い光のようなものが天に昇り、翔輝の十数メートル上空で無数の何かを形成し始めた。
「な、何だ?」
「翔輝、あんた何したの?」
「俺が知るわけ無いだろ」
「翔輝さん、取り合えずそこから動くことを推奨します」
「は、何で?」
翔輝がそう言った直後、空の光の形成が終わり、それが全て翔輝めがけて降下してきた。
「うわっ!」
とっさの判断でそれを避け、自分がついさっきまでいた場所を見る。
するとそこには自分が持っているものと同じ刀が無数に突き刺さっていた。あと逃げるのが数秒遅かったらと思うと・・・ゾッとする。
「こうなるからです」
「何でこうなるって知ってたんだよ?」
「大体想像出来るじゃないですか」
「きょ、驚異的洞察力・・・」
「にしてもあぶなっかしい能力ね~・・・。気をつけなきゃ自分もろともグッサリ、か」
「つーかレイ、お前この能力の説明で『地面に突き刺さった状態で出てくる』とか何とか言ってなかったか?」
「そうだっけ?」
「覚えてない人は第4章を参照してください」
「そういうネタって言っていいの?」
「いいんじゃねぇの?いいのか、もみ・・・譲葉?」
「本当はダメです。あき・・・翔輝さんは迂闊過ぎです。次からはもっと気をつけてください」
「・・・二人とも今何と間違えそうになったの?」
「・・・さぁ?」
「何でしょうね?」
「何よそれ・・・?」
元ネタを知りたい人は作者のもう一つの小説へどうぞ。完結してませんが。
「それはさておき、そろそろ始めるわよ?」
「何だっけ?」
「練習でしょ!?」
「お前がずっと上にいたから練習なんてしてないんだよ!だから忘れてたんだ!」
「何言ってるんですか?翔輝さんずっと逃げる練習してたじゃないですか」
「お前は読書の練習しかしてないけどな!」
「あ~もういい!とにかくあたしに一撃入れればオッケー。あたしは基本的には死ぬような攻撃はしないから」
「怪我するような攻撃はするんですね・・・」
「それ位しなきゃ練習にならないでしょ?」
「まぁそれはそうですけど・・・」
「初めていいのか?」
「そうね、やりましょう。じゃあよーい・・・スタート!」
何だか訓練の割には間の抜けた掛け声だとひそかに呟きながらもレイにそれなりに本気で斬りかかる。
しかし難なくジャンプでかわされ、さっきのような硬直状態に逆戻りだ。
「お前また飛びやがって!俺達からはどうしようもないじゃねーか!」
「それも工夫して色々やってみなさい!」
レイはそう返事をするとまたコウモリを操り攻撃を仕掛け始める。
しかし、今度は翔輝も刀を持っているのでそれなりに対応することが出来たが、やはりコウモリに刀を当てるのは難しく結局は苦戦している。
一方譲葉はさっき翔輝に一緒に持ってきてもらったナイフでコウモリたちに応戦している。
それも、驚くことに翔輝のように適当に振って当たればラッキー、という感じではなく一匹一匹確実に倒していく。
「譲葉、お前ってそんなにナイフ使うのうまかったっけ?」
「ええ、昔からひそかに翔輝さんを暗殺するために訓練してましたから」
「あ、成程・・・ってオイ!」
「冗談です。半分」
「半分は本気なのか!?」
「かも知れませんね」
「・・・え、ホントに?マジで?」
「無駄口叩いてる暇があったらちゃんと応戦してください」
「なぁ、今思ったんだけどこれ俺がいなくてもいいんじゃねーの?」
「そうですね。でも全部相手にするのは骨が折れるのでやれるだけやってください」
「そうですねって・・・。まぁどの道休んだりはしないけどさ」
「そうですか、安心しました。じゃああまり役に立たないながらもせいぜい頑張ってください」
「随分な言われようだな・・・」
翔輝は苦笑して言った。二人はそんな会話をしている最中も確実にコウモリの数を減らしていく。
「そんなことより翔輝さん」
「なんだ?」
「さっきから翔輝さん刀一本しか使ってませんよ?」
「そうだな。それがどうかしたか?」
「あそこのはどうするんですか?」
譲葉は開いている左手で地面に突き刺さっている刀の山を見る。先ほど翔輝が殺されそうになったあの山だ。
「どうするってどういうことだよ?」
「アレだけ武器があるのに全部無駄にしてませんか、ってことです」
「んなこといったってどう使えばいいんだよ?俺あんなに手多くねぇぞ?」
「誰も翔輝さんにモル○ルになれなんて要求してません。ただもうちょっと使い方があるんじゃないですか?」
「例えば?」
「アレだけあるんだからアレを魔闇さんに投げるとか、両手に持って二刀流にするとか」
「・・・天才か、お前?」
「えぇ」
「そこは肯定するな」
「翔輝さんはバカですか?」
「違う」
「そこは否定しないでください」
「何故に!?」
二人が雑談を終えた頃には、辺りにいたコウモリは全滅していた。
翔輝は急いで刀の山に向かって走り出し、その中の一本を掴んで上空にいるレイに投げつける。
「はわっ!」
そんな使い方をされるとは思ってもいなかったのか、レイは面白い声を上げてそれを避ける。
翔輝はそれを見て、ここぞとばかりにそこにあった無数の刀を連続して投げ続けるが、間一髪で全てかわされ続けた。
「はぁ、はぁ・・・」
3分間投げ続けた刀を全てかわされ次第にイライラし始めた翔輝は全力投刀(?)を続けたため、攻撃する側がバテると言う残念な結果に終わった。ちなみにレイは無傷である。
「・・・やっぱり役に立ちませんね」
「そこ!黙れ!」
二人の3分間の攻防戦もといコントの間も読書を続けていた譲葉は残念な結果に終わった翔輝を見てため息をついた。
「仕方ないですね、私がやりましょう」
「おお、やっと」
「まったく、翔輝さんは情けないですね」
「何もやってないお前が言うな」
「だから今から私がやるんじゃないですか。恐れ入りますがこのナイフを翔輝さんの刀のように増やしてくれませんか?」
「え?あぁ、分かった」
先ほどと同じように翔輝は譲葉からナイフを受け取ると上空で光が形成され、無数のナイフが翔輝がいた場所に降り注いだ。
「・・・何回やっても怖ぇ~な」
「じゃあ出るところコントロールできるように特訓すれば言いだけの話です。まぁ何はともあれありがとうございます。あとは下がっていただいて結構ですよ」
「簡単に言いやがって」と呟いてから翔輝は言われたとおり譲葉の後ろに下がる。
譲葉はナイフの束の前に立つとその中から2本を拾い、レイを見上げた。
「あ~疲れた。次は譲葉?」
「えぇ、覚悟してくださいね」
「いいわよ、かかってきなさい」
「では、お言葉に甘えて―――」
譲葉がそういい終わると、地面に刺さっていたはずのナイフが全て消えた。
いや、正確に言うと消えたのではなく、飛んでいった。全てレイめがけて右からも、左からも、前からも、後ろからも、下からも。
「・・・え?」
「きゃああぁぁ!」
ほぼ全方向から猛スピードで接近するナイフを全て避けきれるわけも無く、レイは無数のナイフによって串刺しにされた。
「うげっ・・・」
「・・・すごい罪悪感です」
本人に死なないとは知らされていても、串刺しになったレイは見ていて決して気持ちのいいものではなかった。
腕に、足に、体に、顔にまで刺さっているナイフは言うまでも無く痛々しく、それぞれ全てから流血しているとなればもう惨劇だ。グロテスクを通り越したグロテスクである。どんなグロテスクなのだろうか?
「この状況で冗談飛ばしてるバカがいるぞ?」
「ほっときましょう。それで、あの・・・魔闇さん?」
「・・・い、いった~~~い!!!」
レイはしばらく硬直した後、急に飛び上がって痛がり始めた。
想像してみてください。全身ナイフと血にまみれて倒れていた人間の容姿をした女の子が急に飛び上がってそれを痛がる。・・・下手なホラーよりよっぽど怖いです。バイ○ハザードもビックリです。
「あ、あ、あの、魔闇さん、も、申し訳ありませんっ!」
「え?あぁ、いいのよ、こうなるのは分かってたし。ただあまりにも予想外だったからちょっとビックリしてね」
「俺はお前のリアクションにビックリだよ。」
「うるさいわね。それにしてもあんた達すごいわね~。普通始めてここに来た人たちはここまで容赦なく攻撃できないわよ?」
「ある意味吹っ切れましたから」
「そんなもんでここまで出来るなら上出来ね。とりあえずさ、これ抜くの手伝ってくれる」
「え゛・・・」
無茶な要求である。見ているだけでも拷問のようなのにその上抜けと言われるのはかなりきつい。特にこういうのが大の苦手な譲葉には最上クラスの拷問だ。
「いや、それはちょっと勘弁して欲しいです・・・」
「え~?分かったわよ、一人でやるわ・・・」
レイはそう言ってまずコメカミに刺さっているナイフに手を掛ける。顔を苦痛に歪ませながら一気に引き抜くと、血が盛大に噴出してレイの左側にいた譲葉にかかった。
「・・・」
「ってオイ譲葉!無言で気絶するな!」
ショックが強すぎて気絶してしまった譲葉をゆっくりと寝かせ、レイに近づく。
「手伝うよ、ってかお前本当に大丈夫か?」
「言ったでしょ?痛いだけで別に問題はないわ。不死だしね。傷だってすぐに直るわ。ホラ」
そう言って翔輝に見せた例のコメカミには、先ほどのナイフの傷はもう無くなっていた。
「驚異的だな。お前を本気で相手にしたら誰も勝てないんだろうな・・・」
「そうね。さ、手伝って。あたしは腕の抜くからあんたは足の抜いて」
「了解」
役割分担をして二人で作業を始めた・・・のだが―――
協力しているはずなのに、ナイフを手に持っていて返り血を浴びている翔輝と血まみれのレイ・・・。
「・・・虐殺現場にしか見えないな」
「虐殺されてるのはあんた?」
「何で俺の周りには気の強い女しかいないんだ?」
「運命じゃない?」
「そんな運命俺は呪うぞ」
苦笑しながら冗談交じりにそんなことを呟く。そうでもしないととてもこんな作業をこなすことが出来ないのであろう。
「勝手に呪いなさい。運命なんて、自分で変えられるものじゃない。どんな運命だろうと、それには抗えないんだから」
「・・・レイ?どうしたんだ?」
「・・・ん、なんでもないわ。ほら、さっさと手を動かしなさい!」
「分かったよ、分かったからあんま動くな、気持ち悪い」
「何ですって!?」
「その格好でじたばたやられたら誰だってそう思うわ!」
「こんな格好にしたのは誰よ!?」
「譲葉だ!」
「・・・あ、そうか」
「おぉ、初めてお前に口げんかで勝った」
「・・・でもナイフ増やしたのはあんたじゃない」
「う゛っ・・・!」
「ふん、甘いわね」
「ちくしょー・・・」
「・・・それにしても、あの子いったい何したのかしら?」
「あぁ、あのナイフの流星群みたいな奴のことか?」
「そう。あれどうやったらあんなことできるわけ?」
「そりゃお前、時間止めてナイフを全方向から投げて回ればいいんじゃないか?」
「・・・は?」
「・・・いや、忘れてくれ。うまく説明できねー。とにかく、アイツが起きてから説明してもらえばいいだろ?」
「そうね。そう言えば翔輝」
「ん?」
「明日からあんたはあたしと特訓ね。役立たずにも程があるわ」
「・・・マジ?」
しっかし酷いですね^^;
戦闘中にこんな冗談飛ばせるほど達人にした覚えは無いんですが・・・。
やっぱり戦闘は難しいですね、細かく伝えようとすると説明口調になってしまい、逆に説明口調をなくすと全然伝わらなかったり・・・。
僕はあえて後者を選ばせていただきました。ぶっちゃけ会話のほうが楽しいんで^^;