表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/56

第53話 ハッピーバレンタインズデー♪

当日に更新できなかったあああぁぁぁ~!!!T_T

いや、もし楽しみにしてくださっていた方がいれば本当に申し訳ありません、実は当日は友達の家でお泊り会がありまして;

まぁなにはともあれ今回は少しはコメディー多目のつもりです

2月14日、月曜日。そう、月曜日。何故か、月曜日。

俺は覚えている。あっちのカレンダーで確認したときは、確かに2月14日は日曜日だったはずだ。

なのに、何故か月曜日。つまり、登校日。

この気持ちが分かるか?「その日は休みですよ~」って言われていた日が急遽変更になって登校日になってしまった。これほどムカつく事はない。

と言うわけで、現在超不機嫌です。天助がいたら殴ってるな、問答無用で。

が、いくらそれがしたくても肝心の天助がいないこの世界。イライラは募るばかり、最終的にはイライラは全てため息に変換されていた。


「翔輝さん、あんまり朝からため息ばっかりつかないでください」

「どうしたの?元々ため息多いけど今日はいつものの3倍くらい多いよ?」

「いや、何で本来休日のはずの日に登校せにゃならんのかと思ってな」


俺がそう言うと、譲葉は何故かガクッと体の力が抜けたみたいに項垂れた。


「そ、そっちですか?」

「他に何がある?」

「いや、今日はバレンタインデーですし、『俺今日チョコもらえるのかな~・・・?』みたいな意味のため息かと」

「お前は何年俺の幼馴染やってんだ?」

「?」

「バレンタインか休日かって聞かれれば、俺は迷わず休日を取るぞ?」

「・・・そういえばそういう人でしたね、翔輝さんは」

「ねぇねぇ、本来休日って?」

「あっちの世界ではバレンタインデーは日曜日だったはずなんだよ。それが何故かこっちの世界では月曜日だったからガックシきたんだよ」

「そんな事覚えてるって事は、なんだかんだ言ってやっぱり期待してたんじゃないですか?」

「んなわけあるか。単に天助が『バレンタインが日曜だと!?それじゃあ学校でチョコをもらえないじゃないか!』とか何とかやかましく言ってたのを思い出しただけだ」

「・・・そう言えば叫んでましたね、3月に」

「3月!?」


譲葉の言葉にウルは呆れたような感じで驚いていた。

そりゃそうだろう。「さて、バレンタインデーも終わったし、後は雛祭りがあって、ホワイトデーがあって・・・」って感じの雰囲気になりつつある3月にもう来年の2月のバレンタインデーの情報をチェックしているのは普通じゃない、少なくとも俺の知ってる限りでは特殊だ。


「でも本当に興味ないんですか?それに自分が好きな人がいるのか気になったりしませんか?」

「しないし興味も無い。大体バレンタイン関係ってろくな話が無いだろ」

「どういうことですか?」

「1929年には血のバレンタインで虐殺事件発生、『バレンタイン』って言葉が入ってる映画は基本的にホラーばっかり」

「・・・た、確かに不吉な事、と言うかよろしくない事ばっかりですけど、現実のバレンタインデーって言うのはロマンチックな日じゃないですか」

「んなもん恋人いる奴限定だろ。もしくは恋してる奴」

「・・・」


どうあっても俺を説得する事はかなわないと察したのか、今度は譲葉が大きなため息をつく。散々俺に言っといて自分でつくとはどういう了見だ。

そんな会話も程々にしつつ、今日新たな血のバレンタインを作り出してやろうかなんて不吉な事を考えつつ学校へ。

授業中に夢の世界へ旅立ち、廊下にて足の鍛錬をしていると、あっという間に昼休み。


「翔輝、そういえばあんたチョコもらえたの?」

「そもそももらえると思ってない」

「譲葉はくれないの?」

「いつもはもらってるけど今年は特に」

「つまり誰にももらってないと」

「まぁ」

「・・・」


俺が普通に質問に答えると、エミーは何か考え込むように口元に手を持っていき俯く。

何をやっているのかとしばらく観察していると、肩がかすかに震えている事に気付いた。なるほど・・・。


「何笑ってんだバカタレ」

「・・・ぷっ!あははは!」

「・・・アホらし」


俺は少し腹が立ったのでそう呟いて昼飯を食べ始める。

今日のメニューは学校の食堂で売っている小さなピザ。普通のピザの5分の1くらいの大きさで、トマトソースの上に溶けたチーズがのっているだけのシンプルなものだ。

だが、正直言ってあまり食べたいものではない。いつだか言ったようにここの食堂の飯はお世辞にもうまいとは言えず、それはこれも例外ではない。

このピザ、前に一度だけ食べた事があるが、チーズが何か異物が入っているのではないかと思えるくらい異様に硬くて食べにくかった覚えがある。チーズと言うよりはシリコンをかじる感覚に近いと思う。

それを裏付ける証拠もある。実際に見たわけではないのだが、生徒の一人が実験で壁にこのピザを投げたところ、ピザとは思えない弾力で跳ね返ってきたそうだ。

それ以降このピザは「ゴムピザ」と呼ばれているらしく、この学校でも1、2を争うほどの不人気商品だそうだ。

そんなピザを食べているのも友達が譲葉が弁当を作っている最中に不注意で焦がしてしまい、しょうがなく学食になったのだが運悪く今日は業者の都合やら何とやらでこれしかなかったのだ。

何てことを思い出してまた少し不機嫌になっていくと、エミーが鞄から何やら小さめの箱のようなものを取り出し、俺に渡した。その顔は若干赤く染まっている・・・ように見えなくもない。


「・・・しょ、しょうがないわね。はい、これ」


この大きさで、この時期にもらい、丁寧に包装されているプレゼント。

話の方向から考えてもそれはパッと見チョコだったのだが、あのエミーがチョコをくれるワケ無いと思った俺は、


「ビックリ箱か?」

「いらないの?」

「いや、くれるならもらうけどさ。これ何?」

「・・・今日渡すプレゼントなんてチョコ以外に何があるわけ?」

「まぁそうだけど、お前がチョコくれるなんて信じられないんだよ。まだ熱あるんじゃないか?」

「し、失礼ね!言っとくけど、義理よ義理!ほら、熱があるとき看病してもらったし、それのお礼みたいなものよ、うん!」


最終的に何故か自分に説明(もとい言い訳)すると勝手に納得してしまったエミー。


「分かったからそんなに必死になるな。とにかくありがとな、後で食べるから」

「とか言って捨てたりしないでしょうね?」

「しねーよそんな事。ったく、少しは俺を信用しろよな・・・」


何となくエミーに信用されてない様な気がした俺はさらに不機嫌になってしまい、軽く舌打ちをする。

ついでにエミーから顔を背けたので自然と視線は教室の別の場所に注がれ、たまたまウルと目が合う。


「あ、翔輝~」

「ん?」

「はいこれ、チョコ」

「ん、サンキュ」


俺はエミーのときのように特に疑う事はせず、普通にエミーのそれよりも小さい箱を受け取る。

初めて他人と迎えるバレンタインに興奮していたらしく、手には大量のチョコレートが入っているの袋を持っていた。


「はい、エミーにも」

「あ、あたし?」

「うん、皆に配ってるから、エミーにも渡さないと」

「あ、ありがと」


エミーの礼を聞くとウルは楽しそうに笑いながらチョコ配りを再開した。

俺は二人にもらった箱を潰れたりしないように鞄の普段使わない所にしまい、再びエミーに向き合う形でピザを口にする。

すると、ふとエミーがこっちをジトーッとした目で見ていることに気付いた。


「何だよ?」

「べつに~?あたしのはあんなに警戒してたのにウルのは素直に受け取るんだなって」

「日頃の行いの差だろ」

「・・・そこは素直に認めるしかないわね。でもなんか納得できない」

「じゃあ日頃の行いを少しは改めろ」

「もう習慣だもん、今更直らないわよ」

「じゃあこうなっても我慢しろ」

「・・・翔輝さん」


俺達の話が一段落付いたと判断したのか、今まで沈黙を保っていた譲葉が不意に俺を呼んだ。


「ん?」

「その、今日も幼稚園の手伝いに?」

「そうだな、先生そろそろ子供生まれるらしいし忙しいから」

「そう・・・ですか」

「なんか用事でもあったのか?だったら今日はちょっと先生に言って一緒に帰らせてもらうか?」

「いえ、いいですよ。何時くらいまでいるんですか?」

「そうだな~・・・多分5時半くらいにはなるかも」

「分かりました、じゃあ先に帰ってますね」

「悪いな」

「気にしないでください。じゃあ私はいつものように皆さんと一緒に帰ってますから」

「あぁ」


というわけで放課後、と言うかガキ共の面倒を見終わっていざ帰ろう廊下を走る。

途中先生に見つかり怒られたが、先生がいるときだけ歩いていないときはお構い無しに走る。

時間は午後6時半。譲葉に教えた時間より1時間も遅くなってしまった。まぁ別に何か約束をしているわけでもないし、いいか。

何て頭の中で呟きながら学校を飛び出して校門をくぐったその瞬間、


「ぁ・・・」

「・・・譲葉?」


校門の裏側に譲葉が立っていた。

2月とはいえまだ雪が降っているような寒い時期。譲葉は悴んだ手をさすり合わせて寒さを紛らわせていた。


「ど、どうもです・・・」

「何やってんだお前、ウルとエミーは?」

「さ、先に帰ってもらったんです」

「そりゃまたなんで?」

「・・・な、何となくですよ、何となく」

「何となくでこんな寒い中待ったりしないだろ」

「・・・」


俺が少し問い詰めると譲葉は辺りを見回し、誰もいない事を確認すると鞄の中から小さな、綺麗に包装された箱を取り出した。


「ば、バレンタインチョコレート、です。ど、どうぞ・・・」

「あぁ、ありがと。・・・え、これだけのために今まで待ってたのか?」


譲葉はその問いに、首を縦に振って肯定の意思を示した。


「何で?」

「だ、だって今日はバレンタインですし・・・」

「まぁ確かにそうだけどさ、去年は朝会うなり渡してくれただろ?何で今日に限ってこんな寒い中待ってわざわざ?」

「が、学校の方々に何か勘違いされると困るじゃないですか・・・」

「ま、まぁそうだけどさ」


なんかいつもの譲葉と様子が違う。調子狂う・・・。


「な、なぁ」

「ぇ?」

「これって・・・義理、だよな?」

「・・・えぇ、そうですよ。何ですか、もしかして期待してました?」

「あ、いや、そういうわけじゃないんだけど・・・」


沈黙。・・・お、重い・・・!


「か、帰るか?」

「はい、帰りましょう」


と言うわけで帰宅。ここからは特別な事はないだろうと思っていた矢先、


「あぁ、そうだ翔輝。これ、チョコレート」

「おぉ、サンキュ」


ミラも俺にチョコレートをくれた。まぁ他の人のと違ってむき出しだったけど・・・。

まぁでも普通に嬉しい。予想以上に皆からもらえたらやっぱなんだかんだで嬉しいんだな。

あっちにいたときはせいぜい譲葉と恭子にもらうだけだったから、新しい人たちからももらえてやっぱ嬉しいな。

・・・何だよ、嬉しくないとか言っといて結局もらえたらもらえたで嬉しいなんて、現金な人間だな、俺って。

さて、と言うわけでそれぞれのチョコ報告~

順番で紹介していくので、まずはエミー。

ん~、特に何の変哲も無いチョコレートだな。まぁ若干高そうな感じだけど。いくら位したんだろうな・・・?

味は・・・うん、下手なチョコとは比べ物にならないくらいおいしい。

エミーありがとな。

次、ウル。

・・・うん、これこそ何の変哲も無いチョコだな。いかにも100円くらいで買えるようなチョコだ。まぁ全員に配ってたしあんま高いものは変えないだろうし、もらえるだけありがたいか。

あ、ちなみにミラにもらったのも完全に同じだった。やっぱ二重人格だから考えることも同じなのかね?

味は勿論商品なので申し分ないが、エミーのに比べるとやっぱ若干劣る。

で、最後に譲葉にもらったのだな。

・・・何かすごい形だな、歪って言うかなんていうか・・・。

でもこんな歪って事は・・・手作り?

・・・何故だろう、気付いてはいけない事に気づいてしまった気がする。

と、とにかく食べてみないことには何ともいえないよな!頂きます!




結果はご想像にお任せします by作者

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ