第51話 アレは風邪をひかない
申し訳ありませ~ん!
もうなんか恒例になってしまったこのセリフ!w
実はですね、ブログのほうでも言ったんですが、先日テニス部に入りまして、執筆の時間が大幅に減ってしまったという事情がありまして・・・
それにしたって一週間はないですよね・・・;ごめんなさい
でももしかしたらシーズンが終わるまでこんなペースが続いてしまうかもしれません、ホントにごめんなさい・・・
・・・皆さんおはようございます、いつものように寝起きで機嫌が悪い翔輝でございます。寝ぼけているので若干口調もおかしいです。
さて、と言うわけで今日も行きたくない学校に行くために準備を始めましょう。と、俺が支度をしようと立ち上がると、
「・・・譲葉?」
譲葉がいない。どこ行ったんだあいつ、いつも先に起きた時は俺のことたたき起こすくせに、今日に限って俺放置?
や、別に俺の安眠を妨害しないでくれるならそれはそれで一向に構わないんだけどさ、何か調子狂うと言うか何と言うか・・・。
とりあえず倉庫を出て小屋へ・・・と思ったら。
「・・・」
「・・・何やってんだこいつ」
譲葉発見。何故か外で寝ていた。その割には結構幸せそうな顔をしていて、若干顔が赤い・・・ように見えなくもない。
・・・まぁ色々言いたい事はあるけど何よりも先に、何故こいつが外で寝ている?ホワイ?もっと発音よく言うとWhy?Why is she sleeping outside?
おぉ、意外と覚えてる、何て心の中で自分に感心しながら譲葉に近づく。とりあえず起こさないと何がなんだか状況がさっぱり分からん。
「譲葉、起きろ」
「・・・やだよ~、働きたくないよ~」
「急にニートになるな、とっとと起きろ」
「・・・あぁ~、やめてくださいお代官様~」
「何を言ってるんだ何を」
「・・・寝ぼけているので分かりません」
「自分で寝ぼけてるとか言える時点で寝ぼけてないだろ。早く起きんと遅刻になるぞ?」
「・・・それはまずいですね」
譲葉はそう言うと寝袋からノソノソと這い出てきた。しかし、目はまだ虚ろなので、おそらくまだ完全には覚醒していないんだろう。
「・・・おふぁようございます」
「おふぁよう?」
「・・・はい、おふぁようです」
「・・・おふぁようございます」
「・・・はい、おふぁようございます」
「・・・うん」
「・・・おふぁよ「いやもういいよそれ。エンドレスリピートじゃねぇか」うみゅ・・・」
寝袋から出たくせにさっきより寝ぼけてないかこいつ?寝袋の中にいた時の方がまだまともに喋ってたぞ?
「で、何でこんなとこで寝てたんだ?」
「・・・」
「・・・あの、譲葉さん?聞いてます?」
「・・・ぇ、私ですかぁ?」
「あなた以外に誰がこの場にいらっしゃるんでしょうか?」
「・・・きょうきさん」
「そんないかにも「おかしな人」みたいな名前ではございません。翔輝です、翔輝」
「・・・あぁ、そうでしたね」
「そうでしたよ。さて、そろそろ目が覚めましたかな?」
「・・・全然」
「ですよね~」
何故こんな喋り方か?何かこの譲葉見てるとなんとなく口調変えたくなったから。理由は特になし。
しっかし全然起きない、と言うか活性化しないなこいつ・・・。よし、プランBに変更。そもそもAなんてないけどな。
「譲葉、涎の跡ついてる」
「・・・はい」
「寝癖もすごいぞ」
「・・・そうで・・・え゛?」
おぉ、さすがに少し反応あった。もう一歩。
「服も肌蹴てる、おまけに下着見えてる」
「・・・!?」
そこまで言うと、さすがに完全覚醒したのか顔を真っ赤にして再び寝袋の中に潜り込む。そして顔だけ出してこっちを物凄く恨めしそうに・・・ん?
ちょっと待て、何でこんなに俺睨まれてんだ?そもそも起きない譲葉の自業自得なんじゃ・・・?
「・・・翔輝さん」
「うん?」
「ちょっとあっち向いててください」
「ん、はいよ」
とりあえず言われた通りに後ろを向く。後ろから衣擦れの音が聞こえたので、とりあえず制服の肌蹴を直しているのだろう。
しばらくして・・・。
「・・・いいですよ」
「終わったか?」
「・・・終わりました」
そういわれたので振り向くと、そこにはまだ寝癖はあるものの、制服はピシッと着ていて涎の跡もない譲葉の姿があった。
相変わらず目は俺を恨めしげに睨んでいるが・・・。
「ったく、相変わらず朝は苦手か?」
「翔輝さんほどじゃありません」
「それならさっきまでの体たらくはどう説明するんだ?」
「う゛・・・」
「朝ならお前との口論なんて楽勝だな」
「く、屈辱です・・・!」
「はいはい、屈辱でも何でもいいからとっとと準備しろ。遅刻してもいいのか?」
「え、もうそんな時間ですか!?」
「だから急いでんだろうが。分かったらとっとと準備しやがれバカタレ」
「日本一頭のいい高校生に向かってバカタレとは翔輝さんも偉くなったものですね」
「少なくとも今のお前よりは秀才だろ」
「・・・」
「つかお前顔赤いぞ?どうした?」
「ど、どうもしません!」
や、でもホントに顔赤いぞ?何となくフラフラしてるし・・・。
なんだかちょっと心配だったので大丈夫か聞こうとしたその時。
「翔輝~譲葉~ご飯だよ~・・・って何で二人とも外にいるの?しかも寝袋まであるし」
小屋の中からエプロンをかけたウルがおたまを持って出てきた。今日の弁当に使ったのだろうか?
「あ、はい、今行きます・・・」
「うん。じゃあ翔輝は寝袋片付けといてね?」
「え、何で俺が?まぁ別にいいけどさ・・・」
若干納得いかない感はあるけど、まぁ別にそれほどの手間じゃないので一度反論しながらも引き受けた。
さて、そんなやり取りも程々にいざ学校。教室には相変わらずエミーがいて、入るなり「遅い!」と一喝された。
そんな俺達の騒ぎをよそに、譲葉はとっとと自分の椅子に着席して鞄を机の傍らに置き、机にぐったりと突っ伏した。
「・・・あんた譲葉になんかした?」
「何故そうなる?」
「譲葉今日朝から変なんだ~。なんか元気ないしフラフラしてるし」
「ふ~ん・・・。あたしちょっと様子見てくる」
エミーはそういい捨てて譲葉の元に駆け寄る。ウルもエミーに続いたので、俺もウルに続いた。
「譲葉、あんたホントに大丈夫?」
「だ、大丈夫ですよ。皆さん大袈裟ですよ、ちょっとフラフラしてたからって。寝起きでちょっとフラフラしてるだけです」
「ホントに?それならいいんだけど・・・」
「別に具合が悪いとかじゃないですよ、単にまだ頭が覚醒しきってないだけです。あと30分もすれば完全覚醒しますよ」
「だってさ。じゃあそろそろ授業始まっちゃうから自分達の席にいこ?」
「う、うん・・・」
と言うわけで授業開始。と言いたいところだが、実際は譲葉の様子ばっかり見てて授業なんか頭に入ってない。
なので譲葉の近況報告(?)。さっきから頭押さえたり机に突っ伏したり、かなり辛そうだ。完全に病気っぽい。
仕方ないな、助け舟助け舟っと・・・。
「先生、ちょっと具合悪いんで保健室行っていいですか?」
「ん?あぁ、別にいいわよ、行ってらっしゃい」
テキトーな先生でよかった。
「譲葉、一緒に頼む」
「・・・ぇ?あ、はい、分かりました」
と言うわけで譲葉と共に保健室へ。
「翔輝さん、大丈夫ですか?」
「何言ってんだ、具合悪いなんて嘘に決まってんだろ?」
「え?」
「ってか具合悪いのはお前だろ」
「・・・あはは、やっぱり、ばれてました?」
「授業中あんなにフラフラしてたら誰でも気付くって。ホントに大丈夫かお前?」
「正直ちょっと辛いです・・・。咳が出ないので風邪じゃなくて熱だと思うんですけど・・・」
「まぁどっちでもいいや、とりあえず具合悪いと。じゃあとりあえず保健室な」
「・・・ごめんなさい」
「ったく、遠慮しすぎだ。どうせ具合悪いとか言って周りを心配させたくないとかそういう理由だろ?」
「・・・何もかもお見通しって感じですね」
「伊達に昔から幼馴染やってるわけじゃないからな。昔もほぼ全く同じケースがあったし」
「そんなの、ありましたっけ?」
「あったよ。学校行く時いつもは家に迎えに来るのにその日は来なかったから様子見に行ったら滅茶苦茶寝ぼけてて、しばらく話してたら目が覚めて、授業中にフラフラしてて様子がおかしかったから俺がしょうがないから「頭痛い」って言ってお前を保健室に連れてった。覚えてないいか?」
「・・・なんだかぼんやりと覚えてます」
「昔から何にも変わんないな、お前は」
「失礼ですね、まったく・・・」
「ただ今回は寝起き姿見られて恥ずかしがってたよな?」
「当然です。それが何か?」
「だって前は全然そういう素振りは無かったぞ?」
「そ、それはまだ子供だったからで・・・」
「あん時って俺ら中3だぞ?たった1年前だぞ?」
「・・・それじゃああの時はまだ翔輝さんを男の子として認識していなかったという事で」
「って事は何か?今は男として意識していると?」
「『意識』じゃありません、『認識』です」
「どっちも同じなんじゃ・・・?で、大丈夫か?」
「あ、あんまり大丈夫じゃないです・・・」
「もう少し頑張れ、保健室すぐそこにあるから」
「は、はい・・・」
ゆっくり歩く譲葉を励ましつつ保健室へ入る。中には先生が待機していて、軽く診察してから譲葉をベッドに寝かせて後は任せろと言ってくれたので俺はとりあえず教室へ帰る・・・と見せかけてサボる。
だってそうだろう?具合悪いはずの俺が帰ってきて付き添いのはずの譲葉が帰ってこなかったら不審に思うことだろう。それじゃあ我慢していた譲葉の苦労が台無しになる。
・・・という建前のただのサボりだ。だってどうせ譲葉が帰らなかったらおかしいと思うだろうしな。
ま、ホントの事はまた今度説明すりゃいいだろ。あの先生だから別にたいした罰は無いだろうし。
さて、いつも教室で済ませているはずの安眠を中庭の芝生で済ませて期分快適な俺視点からお送りする放課後です。
とりあえず教室に戻り、俺と譲葉の荷物を取る。事情を聞きに来たウルとエミーに軽く説明してから保健室へ。
「譲葉、大丈夫か?」
「あ、翔輝さん・・・。ウルさんとエミーさんも・・・」
「大丈夫?心配したよ、二人とも帰ってこないんだもん・・・」
「ご迷惑をおかけしま・・・え、二人とも?」
ウルの発言を聞いた譲葉は俺のことをジトーッとした目で俺を見る。俺はさり気なく視線を外してそれを回避した。
「それで譲葉、あんた大丈夫なの?」
「はい、教室にいたときよりは随分楽になりました。翔輝さん、どうもありがとうございます」
「気にすんな、ってかもし『ありがとうございます』なら次からこうなる前に言え」
「・・・はい」
「よろしい。帰れるか?」
「帰れない事は無いですけど、ちょっとあの小屋まで帰るのはきついですね・・・」
「じゃああたしん家泊まってく?」
「え、そんな悪いですよ!急ですし、風邪が移っちゃうかも・・・」
「大丈夫大丈夫、あたしの親はそういうの大歓迎って人だし、あたしん家バカばっかりだから♪」
「・・・バカは風邪をひかないってか?」
「・・・それ言ってて悲しくない?」
「やかましい!」
「自分から言ったくせに~!」
「だからやかましい~!」
なんかバカコンビが勝手にケンカ始めたんだけど・・・。あ、先生に怒られた。
「とにかくさ、ホントに問題無いから来なよ」
「・・・じゃあお言葉に甘えて、お願いします」
「オッケー。それじゃあ帰りましょう?」
「ほい譲葉、お前の荷物」
「あ、すみません、ありがとうございます」
「じゃ、俺とウルはもう帰るから。また明日な」
「譲葉、お大事に~!」
「はい、ありがとうございます。また明日」
と言うわけで珍しく譲葉抜きで歩く帰宅路。何となく新鮮な感じだ。
まぁだからと言って何かあるわけでもなく、その日は普通に過ごして普通に寝た。
~翌日~
「・・・お」
「あ、譲葉~!」
「あ、翔輝さん、おはようございます。昨日はご迷惑をおかけしました」
「気にすんなって。で、体調は?」
「えぇ、昨日より大分楽になりました。ありがとうございました」
「だから気にすんなって。で、エミーは?」
「あ・・・それが・・・」
「・・・もしや?」
「・・・」
「・・・え何、エミー風邪ひいたの?」
力なく頷く譲葉。
・・・まぁ、その、何だ?ご愁傷様です。
~譲葉・エミーの帰り道~
「・・・」
「どうしたんですか?黙り込んで・・・」
「いや、大したことじゃないんだけどさ?」
「はい」
「誰一人として私がバカだって事否定しなかったな~って思って」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
以下略。
ドンマイ。